実体験のない業務をいかに自動化するか

みなさま、こんばんは!GELの代表の石津です。

自動化のツールを誰が担うべきか、BIMエンジニアは誰が担うべきか、キャリアなどに関する話は、様々な議論が生まれています。今回は、現時点でどのように考えているかをまとめてみました。

実体験に基づく経験は強い

大前提として、実体験に基づく経験は貴重です。例えば、建築設計業務がわからないと業務フローをいかに改善するかというアイディアが浮かびません。実体験に基づく長年の経験や勘所がテクノロジーと融合したときに、はじめて使えるツールができるのだと日々実感しています。つまり、テクノロジー+ドメイン知識、この2つが必須だということは、自明です。

料理をしたことがある人がつくるキッチンは使いやすい

建築家のインタビューでもよくこのフレーズは聞くことが多いように感じます。料理をしたことがある人は、実体験に基づく経験から料理を作る人にとって使いやすいように想像力を働かせてデザインができるのだという話です。


実体験を得るのは難しい

そのような話は大前提として、だれが業界のBIMやテクノロジーのツールをつくるのかという話をしていくと、確かにツールを作る人がその業務の流れの一連を経験しておいた方がよいということになります。
しかしながら、料理をしたことがあるという程度であれば、建築家の努力次第で今まで料理をしてこなかった人も建築デザインのために、料理をしたり習慣に取り組むことはできても、例えば、建築設計、設備設計、構造設計、施工管理という話になると、それらをツールをつくるための業務フローを理解したいために未経験から経験し、○○を知っている、業務のフローがわかるレベルになるには、かなりの時間と経験を得るための運も必要になります。

実体験が豊富な人からヒアリングしてツールをつくる

そこで、我々のようなツールづくりの専門職が何に努力をしているのかというと、ヒアリングと観察です。
料理をしたことがない人がつくったキッチンは、使いにくいキッチンかもしれません。しかし、料理をしている人からフィードバックをもらいながら、変更を何度も加えることで、そのフィードバックをもらった人たちにとっては使いやすいキッチンが出来上がります。そのユーザーが普段どのようにキッチンを使っているかを想像できれば、このやり取りは省くことができますが、そもそも実体験というは人によって変わります。
料理を普段作っている人からすると、自分にとっての使い方でこの方が良いはずだというバイアスもあるかもしれないですが、それがない分、柔軟に慎重にそのユーザーにとって何が良いかを対話していこうという姿勢が身に付きます。
何も言わずに何かが出てくるというところを重んじるのであれば、経験者が技術と業界背景知識との両方を得て、業務に取り組むという話になりますが、その分もちろん勉強コストは上がります。

何も言わず出てくるのではなく、何か言いながらその過程を楽しんで作る

言語や図式、ダイアグラムを通して、様々な合意形成を日々仕事にしているために、コミュニケーションが上手な人達が多く集まる建設業界だからこそ、コミュケーションの過程を楽しみながら何も言わずに出てくるを目指さずにツールを育てる視点で取り組むことができれば、BIMやツールつくりの担い手の負担も、実務を取り組む人たちの負担も軽減されるのではないかと考えたりします。
すべてが最初からわかるのではなく、わからないところを聞いて直していくスタイルで、何度も直して良いものをつくることを心掛けたいなと考えています。
そして長い時間軸で、このような業務に関してはこういうことがしたいんだろうなということが想像力が働くくらいにツール作りを続けていきたいとも思います。

実体験が少ないなら粘り強く

実体験が少ないなら粘り強く対話していくことでユーザーにとって価値があるツールをつくれるように、対話をして頂きやすい雰囲気やアイディアを出しやすい関係性の構築といったソフトスキルも今後磨いていけるように頑張ろうと思うので、実体験が少ないからツールを作れない、実体験が少ないからBIMエンジニアになれない、と言われた方々も一緒に頑張りましょう!
おそらく、10年~20年経った頃にこのツール作りの経験も実体験として経験値がつき、経験がない人から豊富な経験がある人と続けていれば周りからの見られ方も変わっていけることと思います。続けることを目標に、今持ってるもので最大限に努力をしていきましょう。

50代~60代の方々で建築知識が豊富で、しかもBIMもツールもプログラミングもできるという方々も、もちろんいらっしゃいます。はっきり言って最強でしょう。ただし、少数派であるのは間違いないです。また、若手が育つ環境も今は残業できないから難しい、せっかく豊富にある知識を何かに残したいという声も頂いています。DXにおいて、テクノロジを自分自身で扱うことには興味がそこまであるわけではないけど業界経験が豊富だという方々が、ツール作りを楽しみながらツールを育て、その育てたツールを通して若手を育てるというような取り組みも有効化もしれません。
※幼児教育でも今は人が間違いを指摘する機会よりもアプリによって判定されることで学ぶことが多く、人から指摘されることを昔以上に嫌う傾向があるように感じます。新世代の教育システムなど、様々アイディアををお待ちしております!

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