入試問題にチャレンジ!
2018年南山大学。
『 A 』は,中世から近世にかけて,手習いの教科書として広く用いられた書物である。それは,1月の「新年の会」など,月ごとの主題に寄せた手紙文で構成されている。将軍の権威が確立した南北朝後期から室町時代前期の頃aに成立したとされる『 A 』は,学習者として中層の武家子弟を想定しており,武家の間で教養を身につけることが重要となっていたbと思われる。
『 A 』は,手紙文を模範文として提示するだけでなく,文中の語彙をも学ばせることを意図していた。たとえば,「領国の経営」を主題とした4月の手紙文には,職人や専門業者の呼称,特産品と産地などの語彙が列挙されている。
(7) 空欄 A に入る語として,正しいものを,下記の㋐~㋓から選びなさい。
㋐ 応安新式 ㋑ 節用集 ㋒ 千字文 ㋓ 庭訓往来
エが正解。
(8) 室町時代の前半に関して述べた次の①~④の文について,年代の古い順に配列したものとして,正しいものを,下記の㋐~㋓から選びなさい。
① 南朝の後亀山天皇が退位し,天皇は北朝の後小松天皇のみとなった。
② 足利義満が,出家して京都北山の山荘に移った。
③ 九州探題の今川貞世(了俊)が,大宰府を制圧した。
④ 京都の室町に,足利義満の邸宅が造られた。
㋐ ③-②-①-④ ㋑ ③-④-①-② ㋒ ④-②-①-③
㋓ ④-③-②-①
難しいな。イかな。3が1372年。4が1378年。1が1392年。2が1397年。
(9) 武家の教養に関して述べた次の文X・Yについて,その正誤の組合わせとして,正しいものを,下記の㋐~㋓から選びなさい。
X 足利学校や閑谷学校などに,全国から多くの武士の子弟が集まり,高度な教育を受けた。
Y 武士たちも連歌をたしなみ,『莵玖波集』や『凌雲集』などの勅撰連歌集が編まれた。
㋐ X-正 Y-正
㋑ X-正 Y-誤
㋒ X-誤 Y-正
㋓ X-誤 Y-誤
Xは誤。閑谷学校は江戸時代。Yも誤。『凌雲集』は弘仁・貞観文化。エが正解。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?