コロナとたけのこ弁当屋

リモートワークが始まって2週間が経った。
なんとかルーチンを確立し、今や平常時より健康的だ。免疫力も爆上がりに違いない。

外出自粛とはいっても、人間そういう風にはできていない。
たしかにコロナにはかからないかもしれないが、出かけなければ別の病気になりそうだ。
そういうわけでお昼ごろ、短時間の散歩を兼ねてコーヒーや弁当を買いに行ったりコンビニの喫煙所を借りたりしている。

私が住んでいるのはオフィス街と住宅街の境界のような部分で、お昼はランチ営業の居酒屋が賑わっている。散歩の道すがらそういう居酒屋に目をやると、いつの間にか弁当販売を始めている。
主要道路に面しているかを問わず雨後の筍のように日に日に弁当屋が芽吹いていき、今や目に付く居酒屋はほとんどが弁当を売っている。
たまに行くジャパニーズウィスキー専門バーも、フィッシュアンドチップスとハイボールのテイクアウトを始めた。
まさにピンチの可視化だが、純然たるバーがテイクアウトだなんてちょっと面白く思ってしまうのは不謹慎だろうか。

もともとランチのときに弁当を売り出す店舗がなかったわけではない。一店舗だけ、平日は毎日弁当屋が現れる一画がある。
一画があるというのは、実店舗が見つからないからだ。
歩道からオフィスビルの入り口へ続く道、そのあたりにキャンプ用テーブルに弁当を平積みした明らかに本業ではない弁当屋が出現する。
明らかに本業ではない風なので店舗はありそうだが、そのオフィスビルには飲食店が居を構える雰囲気はない。
平常時は弁当売りとしてはこの謎の弁当屋が頑張っているのみだった。

ところが、その謎の弁当屋の横に芽吹いた臨時弁当屋が2店舗ある。
うち一軒はちょっと高級路線のチェーン店で、普通の弁当屋には出せないような手の込んだ弁当を同じ価格の500円で出してきた。
その店、店内で食べるランチは1200円をゆうに超える価格帯であり、弁当ではあるが平常時の数分の一という値段で購入できるのだ。
どうする、謎の弁当屋。普通の弁当では勝ち目がないぞ。

という感じで通るたびにハラハラしているのだが、どっちが混んでるとかないの。どっちも空いてるの。コロナだから。
でも主要道路で人が居ないわけではないからちゃんと売れてるっぽいし私も買ってる。どっちのも美味しいから。

どっちも負けずに頑張ってくれ~~~

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