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他劇団公演観劇記 劇団KYs第2回公演「居眠りしてんじゃねーよ」@STスポット

前書き

他劇団公演観劇記、今回は劇団KYs第2回公演「居眠りしてんじゃねーよ」です。
ねこのバロンの公演「大人の友情実験室」にフライヤーを折り込ませて欲しいと連絡があったことが、劇団KYsを知るきっかけでした。
指定日時に、主宰の山澤さんが自ら折り込んで行かれました。その時、ちょっとお話しをして、フライヤーもいただきました。
あらすじのドタバタ政治コメディ!?というのに惹かれ、観に行ってきたものです。

公演概要

劇団KYs第2回公演「居眠りしてんじゃねーよ」
作・演出:山澤憲治
日時:24年7月6日(土)、7日(日)(時間はフライヤーを参照ください)
会場:STスポット(横浜)
内容:フライヤーの裏面を参照ください。

フライヤー

感想

開演して少し経った頃、「これはトンデモないところに来てしまったかもしれない」という感覚に襲われました。
・何も舞台装置が置かれていない平の舞台に貼られた夥しい数の蓄光テープ。
・客入れの音楽の代わりに流れてきた劇団KYsラジオ。それもひとりのDJが寝坊して遅刻したり(演出かもしれないが)、内容もなんか緩いことを話している。
・9人のキャストが入場して始まったのは、何やらパフォーマンス。しかも中国語、フランス語、英語、手話付き日本語など。どうもこの後に続く芝居の前振りらしいのだけど、ちょっとわからない。
・妙に長い暗転や台詞の無い微妙な間があり、ちょっと不安になる。
・我々が芝居をするときには起承転結や、ストーリーというものがあるのだけど、それがあまり感じられない。
・ドタバタ政治コメディーというのだが、あまりドタバタしていないし、国会議員に選ばれた若者たちが、居眠りしているような国会議員や大臣をやり込めるのかと思ったら、全然そんなことはなくて、若者の一部は私たちも頑張ります!ってなってるし。
・発声が通りにくいなという人がいる。
・中途半端な展開で終わったお話の後に休憩を挟んで、トークショーといって、キャストの自己紹介や裏話を披露したり、山澤さんによる質問コーナーがある。そのトークショーが緩い。
・トークショーの後には、カーテンコールであろうダンスパファーマンスのようなものがあり、やっとこれで最後なのかとわかる。

このように、ねこのバロンで作ってきたり、他の劇団でも作ってくる舞台とは全く異なる作り方をしていることに気がつきました。
それに気がついてからは、これが面白くなってきました。KY(空気を読まない)という作りが徹底しており、自分たちが意見を出しながら作り上げてきているというのが伝わるし、自分たちがお客さんに種をまくという舞台作りの考え方がわかる気がしてきました。
発声が通りにくい人がいるなんて失礼なことを言いましたが、声が聞こえないわけではなく、むしろ非常にナチュラルで日常会話に近く、これは台詞なのか、キャストの素の姿で自分の言葉を話しているのか、ちょっと混乱するくらいでした。言葉に詰まっていることがあったので、台詞なんだと思いますが。そのくらいとても自然な台詞回しでした。これはなかなかできないなと思います。
とても真面目な人たちが、本当に真面目に作ってきたんだなということが想像できました。

ねこのバロンがこのような作り方をすることはないと思います。しかし、芝居を作るときにこうあるべきだみたいに、ちょっと自分たちが固まっているのではないかということを考えながら帰宅の途につきました。

お疲れ様でした。

折笠安彦


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