見出し画像

産業転換について思うところ

 最近、色々とやりたいことが溢れていて本を読む機会が減ってしまっていました。ちょうど近所の図書館が数ヶ月間閉館(厳密にいうと閉鎖移転)になるので、今のうちに借りておこうと、借りてきた本の一つに、堀江貴文さんの「ゼロから始める力」がありました。堀江さんといえば、僕らの世代からはちょっと上のITの人というイメージが強いのですが、この10年ぐらいロケットを打ち上げようとしていることはなんとなく認識していました。この本では、この辺りの経緯や想いが書かれていました。

 なんでロケットにというのが、日本の基幹産業の転換先として、日本の強みを活かせる分野が宇宙開発、特に内燃機関が今後も主力になるロケット産業だからということでした。この本を読みながら、私の頭の中では、SWOTやら経営デザインシートが飛び交いつつ、内容を整理していったのですが、妙にパズルが組み合わさるくらいストンと言って面白かったです。書評ではないので中に書かれていたことは、皆さんが実際に読んでいただければと思います。

 で、「基幹産業」です。日本の基幹産業といえば、やはり自動車ですね。世界と戦える分野でもあります。これを支えているのが、日本の製造業。だから、多くの技術力がある企業は自動車産業に関わっていることが多いのです。数年前の診断士試験から、製造業を取り扱う事例ではこう言った企業が今後も事業を継続するために自動車の系列から離れて他分野へ移るというテーマはよく取り上げられていました。とくに、電装品を扱う場合は家電といった具合ですね。ただ、あくまでこれは試験事例で、そう簡単に移れていないのが現状だと思います。また、診断士になって分かったのが、経営者にとってこれまでの取引関係を変えていくことは、なかなか難しいものです。数は減っても依頼が来るのであれば、これまでの関係もあり、引き続き重要視してしまうもの。電気自動車が主になることで多くの分野で受注量が減ってきますが、心のどこかでは、取引先は裏切ることがなくて、また以前のように注文が来るようにあると、なんとなくで思い続けていることが多々あります。一方で、高齢化のために自分の代で事業自体を閉じてしまおうという経営者も出始めています。

 20年ぐらい前、これからの時代はITという時も、まだまだ日本の製造業は元気だったと思います。その頃の日本の携帯電話は最先端を行っていて、海外に行って知人に見せるとこの小さい中でここまでできるのかとびっくりしていました。これらを支えていたのも、日本の中小製造業でした。しかし、あまりにも世界の流れを無視したものづくりが、気がつくと見捨てられてしまい、結果、大半の日本メーカーは撤退してしまいました。そのくらい、社会の流れは早いし、世界を無視した経営が成り立たなくなっているといえます。これ、大手企業も中小企業も同じですね。特に製造業は大手メーカーあってのものなので尚更です。

 堀江さんの本では、日本は自動車産業ではトップに立てましたが、電気自動車の分野では出遅れてしまっています。ITもすでに追いつくことはできません。そこで、日本の技術力を移転するのにはロケット産業へということでした。「いやいや全部が電気自動車に変わることないよ。日本はハイブリッドでは先端だからこちらが残るよ」という声も聞こえてきそうです。大前研一さんは、「日本はHVに特化を!」といったことをおっしゃっています。その分野で残る企業もあると思いますが、今の自動車産業がそれでは維持できません。ここからは、世界の流れを見据えてという状況がこの数年続くとは思いますが・・・・全体としては自動車が売れなくなる未来が確度が高いのかなと思っています。

そんなことを思っていたら、この数年ですっかり定着した事業再構築補助金が頭に浮かびました。これ、当初はコロナによる社会変化を乗り切るための出てきたものですが、次回からは「コロナ」の意味合いが薄すれ、「産業構造の変化に対応」が強まります。経営者の方々はこれからこの変化を乗り越えていかなければならないので、現状の再確認から進めたほうがよさそうですね。

サポートいただけると嬉しいです。サポートいただいたお金は移働する資金に使わせていただきます。