見出し画像

製造業にみる景気と経営

仕事というのはなんでもそうですが、売り上げを上げていかないと立ち行かなくなります。もちろん経営理念と事業目的は大切ですが・・・資金が回らなくなるとその実行すらできなくなる。なので、事業において金を血に例えることもあるのですね。

なので、どこから売り上げを上げるのかというのは常に見直していかなければいけない部分です。これ、事業のビジネスモデルに立ち返ってみるとわかりやすいですね。経営用語ではドメイン(事業領域)といいます。「誰に 何を どのように」3つのトピックで自身の事業を説明するものです。ドメインというと現在はインターネットのサイトアドレスを思い浮かべやすいですが、どちらも一定の領域を指している英語からきています。

このドメインの誰にの部分が一つの場合にリスクがあるというのが今日の話です。

診断士一次試験の発表が先日ありました。一次試験の中に経済学の科目があり、私が受けた頃は難易度が高く結構苦戦しました。よく診断士の予備校で「経済学は試験だけで実務ではあまり使わない」という話を聞いていましたが、独立してコロナがあって、世の中の流れが早い今は結構役に立っている気がします。

ちょうど、先週のニュースで調査会社IDCの2023年スマートフォンの出荷台数が4.7%減と過去10年で最低になるとの見通しが発表されています。日本の製造業は以前、大手メーカーの系列に依存する状況が続いていましたが、2000年ごろからのメーカーの生産量減少と取り扱う部品の変化(その多くはIT化の進展)により多くの中小製造事業者がその系列に頼れなくなりました。そういった事業者は国内から海外や別の事業へのシフトし生き残ってきた背景があります。ちょうど2010年ごろの診断士試験でもこの辺りがよくテーマと仕上がっていました。

そのシフト先の一つとしてスマートフォン関連へ多くの企業が移行してきました。スマートフォンはこれまでの家電に比べると技術の進歩が早く、数年で買い換える傾向がありました。日本では携帯電話販売会社の戦略もあって買い替え需要を頻繁に促してきたこともあります。ただ、社会の流れというのは以前よりも早くなっているので、約10年でこの戦略が効かなくなってきたということです。

例えば、A社のドメインは2000年ごろまで何十年に渡り、家電メーカーB社向けに家電に装着されるバネを生産していたとしましょう。B社の系列メーカーとしてずっと保護されていたわけです。しかし、サブプライムを機にメーカーBからの系列メーカーへの発注量が激減、こんごのけいやくもやくそくできないといわれてしまいました。困ったA社はその頃引き合いがあった携帯電話メーカーC社への部品提供へ徐々に切り替えていきます。スマホに使われる部品で世界的に販売される規模の製品向けでした。売り上げが回復し、専用ラインも投入、これで安泰かと思ったところへ、上記のニュースが飛び込んでくるわけです。ずっと好調だったので、B社の系列は外れており、売上の9割がC社という状況。これはハイリスクになってきます。これから、別の販売先を探していく必要あります。

とこれはわたしが勝手に作った事例ですが、産業構造の転換が頻繁に起こり、それを見据えた経営戦略が必要になってきているのは事実です。

日刊工業の9月8日付の記事ではモノ不況が電子部品メーカーを直撃しているという記事がありました。これは、コロナによる在宅需要によりコトからモノに一時的にシフトした特需により、この数年好調だった電子部品メーカーが今、消費者の買い控えによる減産の影響を受けて不振に陥っているとのこと。これに上記のスマートフォンの市場縮小が被り苦境に立たされているという話でした。

景気というのは長期的にみると循環しています。ただ、以前と異なるのはその循環の対象となる市場が異なっています。これから5年、10年先を読む力が経営者には求められてきてい

例えば、自動車関連ではEV関連が伸びると言われているので、この分野への進出は一つあります。また、ロケット産業は内燃機関を必要とするのでまだまだ黎明期ではありますが、考えることができます。

景気というのは長期的にみると循環しています。ただ、以前と異なるのはその循環の対象となる市場が異なっています。これから5年、10年先を読む力が経営者には求められてきています。

サポートいただけると嬉しいです。サポートいただいたお金は移働する資金に使わせていただきます。