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海外との取引に

この一年ほどの大きな変化というと、やはり原油高を起因とした物価高と、円安による為替差損の影響を受けた事業者が多いことではないでしょうか?

特に、海外に生産を依存している業種での影響が大きく、コロナが明けたことで売り上げは戻ってきているものの、費用が輸送費や為替の影響で想定以上にかかり、収益を圧迫しているケースが多々あります。(窓口に相談に来られるケースも増えています)

また、最近は手軽に越境ECができるようになったことから、多くの方が海外の需要を見越して参入しています。こちらは、基本的に売上が現地通貨なことも多いので、急激な円安により為替差益が出たケースもあるようです。この辺りは値決めに大きく依存する部分ではありますね。

海外生産の場合は、海外へ発注する時点で日本側の売値が決まっていることがほとんどです。この場合は事業者側が社内でおおよその為替レートを見越して値段を決めているので、そのレートよりも円安になれば損をします。

例えば、1ドル120円で想定して、生産原価が200ドルだとすると、24,000円の原価になります。利益率20%とすると、価格は30,000円で設定するわけです。
しかし、支払時が1ドル150円と円安になってしまうと、原価が30,000円で利益が全く出なくなってしまうわけです。

実際にこの一年はこのようなことが多く起きていました。

これに対する対応方法として、
①値決め時の為替レートを高く設定する
②適切なタイミングで外貨を購入しまま保有し支払いに充てる
③為替予約をおこなう
が考えられます。

①に関しては一長一短です。今であれば円安を見越して高めに設定することで円安リスクはある程度抑えられます。また、想定に反して円高となった場合は、原価が安くなるので利幅は大きく増えます。しかし、この場合は売値が高く設定されるため、顧客との交渉も必要になりますし、場合によっては競合へ顧客を取られる可能性もあります。そう考えると、市場と顧客の反応をみて設定するのが現実的です。

②の方法では、円高局面の時に、円安になることを見越して、それなりの期間分の運転資金を外貨にする必要があるため、資金が必要になります。また、適切なタイミングがいつなのかの判断も必要になります。この辺りを自社でやろうとすることはかなり大変だと思います。

③は、1ドル120円で×月○日にドルを円にすることを先に取り決めてしまう方法です。この場合は確実にそのレートでの交換が保証されるため、為替差益も為替差損も出ません。ただ、為替予約をするためにはある程度の信用がないとできないので注意が必要です。また、仮に円高になった場合は、本来得られる利益を得られないことになるります。

①〜③、どれが一番適しているかは自社の状況によって変わってきます。また、今回は海外からの仕入れを前提に話をしましたが、海外での販売の場合は高いと安いが反対になると考えてもらえればいいです。
例えば①は海外へ対しての売値の付け方がポイントになります。ただ、円安の状況で円高な設定に寄せてしまうとこちらも同じく顧客から見たら割高感が強まってしまいます。特に日本のものを外に出すケースが該当するので、同業他社の価格も気になるところ。一方で付加価値があれば、それなりに高くても大丈夫そうではあります。②については、現地通貨払いにしてもらい円転(外貨から円にする)のタイミングを見計らうことになりますね。こちらも、どのタイミングが良いのかの見定めは重要です。③は同じですね。予約して固定することでリスクはほぼないと考えておけばいいです。

このように、為替については事前に考えておくことで、対応することは可能です。ただ、自社だけで商売をするわけではないので、調整力が必要となることは変わりませんね。

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