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子供達の奮闘 in ドイツ〜韓国のとある家族〜②

薄々はわかっていたことですが、こちらの家庭は日本嫌いの国推主義の家庭なのです。以前家に来たとき、この子は私とあまり話さなかったのですが、この日は自分の家庭がいかにうちより優れているかという主観に基づいた発言でとても交戦的でした。キッチンにやってきて何があるのかしげしげとチェックし、ランチやスナックもほとんど手をつけず。出したリンゴまで「うちのリンゴは赤い。赤くないから食べない」といって食べませんでした。前の日にでも何か日本について嫌な話を聞いたのかもしれません。

はじめは韓国の補習校で聞いてきた事なのかと思ったりもしたのですが、Tunaが「彼女のママが日本はひどい国だと言ってるって前に聞いたの。日本は酷い国なの?」と私に遠慮がちに聞いてきた事で決定的になりました。

彼女のママがそういう考えなのです。

この子のママとはカフェやランチも行っており、それなりの友達だと思っていましたが、それは表面だけで実は日本が嫌いでそういう洗脳教育をしてるんだと思ったら、とてもショックでした。これまでこんな風に国家間の問題で個人攻撃を受けた経験はなく、こんな形で世の中に蔓延る差別や偏見の実態を知る事になるとは思ってもみませんでした。しかも相手は娘の友達。不意打ちで、突然頭をぶん殴られたようなもので気が遠くなりそうでした。

韓国の教育

もう2度とプレイデートはしないつもりで、Tunaには悪いけれど、うちには呼ばないし行かせないつもりでいましたが、彼女からTunaにその夜にきたメッセージは「今日は楽しかった!次はうちに来て」というものでした。

この行動と言動にはとても矛盾があり、しばし考え込んでしまいました。

考えてみれば、7歳の子供が日本と韓国の国際問題を正しく理解し、結果憎悪を持っているわけはありません。

娘への純粋な友情。
親や韓国社会により刷り込まれた日本人への敵対心。

この2つが共存した結果、こういった矛盾が起きていたのでしょう。

国際社会での生き方

それぞれの国家間ではこれまで色々な事が起きています。例えばインドとパキスタン。ロシアとウクライナ。ドイツとイスラエル。そして日本と韓国。

Tunaのクラスにいるインドとパキスタンの少女はベストフレンドで、お泊まりに行ったり来たりもしています。
ロシアとウクライナの女の子たちも、戦争の問題を気にせずに遊んでいます。
其々の家庭も学校でお互いの父兄に会えば、当たり前ににこやかに雑談をしています。

国際社会で生きる人々はみんなそうやって生きているのではないでしょうか。敵対する国の人だからといって、一切関わりを持たないなんてありません。仕事の上での重要な関係を築きたい相手が敵国の人間だからと言って、ビジネスを辞める事などありません。ユダヤ人とドイツ人が一緒に働くこともあるでしょうし、上司と部下、同僚、クラスメート等、様々なシーンで色々な関係性が存在します。みな、個人間で人種の枠を超えて信頼関係を築いています。

国家の問題を個人の問題とすり替えて、その人のバックグラウンドを否定的に捉えて目の仇にするのは、とても卑怯なやり方と言わざるを得ません。彼女のママが娘がそんな事を私達日本人に言ってるとは知らないかもしれませんが、私達日本人と仲良くしてる裏で、子供達に日本への憎悪を伝えていることでこんな状況になっていたと推測します。
私の持つ知識の範囲で日本と第二次世界大戦を子供達に教える事がありますが、感情的な立場では話しませんし、被爆国だからといって、アメリカ人に憎悪を向けたりは勿論しません。北方四島の事を教える時でもそれは同じです。
Nicoがロシア人クラスメートに「北方四島は日本の島だから返せ!」なんていったら、頭がおかしいと思われてしまうでしょう。

戦争や虐殺は過去を辿ればどの国でも多かれ少なかれ加害者や被害者、あるいは両方の立場で語られています。自分の国がしたことがどんなに酷い事だったとしても、過去の歴史や過ちを変えることはできません。このようなデリケートな問題を子供に伝える時、冷静に事実関係を分析しながら教えるのであれば教育ですが、感情的に嫌悪感や憎悪を煽るのは洗脳というしかないでしょう。

国家間の問題で個人を執拗に責めたり嘲笑ったりする事は差別的行為で、対立や憎しみしか生みません。同様に日本国内で在日韓国人に対して、嫌韓の個人攻撃が行われているならば、恥ずべき行為だと言わざるを得ません。相手がどうあれネット上に溢れるそれらの行為は卑劣な単なる嫌がらせでしかないという事をはっきりと言いたい。

Tunaの友達の韓国人のお友達、特に上の子は、結局韓国人クラスメートとしか良い関係を築くことはできず、最後は少し孤立するようになってしまいました。

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「過去に僕らの国家間で起きたことは色々とあっただろうけど、僕と君の関係には影響を与えてほしくないから、それを抜きにして付き合ってもらえないかな?」

今度このような問題に直面した時は、こう言ってみたらどうだろうか?
子供達と一緒に考えた言葉です。日本に住んでいたら、決して考えなかった問題に直面して、自分たちのアイデンティティを真剣に考えさせられた体験でした。

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