【小説】外異魔のツドイ #1
うっかり季節をひとつとばしたような暑さだった。
六月に入ってから振り続けた雨がようやくあがり、東京の各区で記録した降水量と、今年初の真夏日になりそうだという予報が、朝のニュース番組を賑わせた。ついでに、今年の夏は例年以上に暑くなる見込みらしい。この時期になると毎年誰かがそんなことを言っている気がするが、それが常に当たれば東京はいつか人が住めなくなる。
昼休み前の授業はホームルームだった。凪渚は担任の話を真面目に聞くふりをしながら、教室の窓のぴったり閉じられたカーテンを