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マクシミリアン

イタリアとスロバキアの国境沿いにあるトリエステという港街は、第一次世界大戦後までオーストリア領だったこともあり、イタリアなのにオーストリア風の建物や文化が香るところでもあります。

オーストリアには海がなく、このトリエステが事実上唯一の海として重要視されていました。そこに皇室ハプスブルク家の別荘があります。ミラ・マーレ城です。施主はマクシミリアン。フランツ=ヨーゼフの弟で、のちにメキシコ皇帝に担ぎ挙げられ共和派に殺された人物です。

マネ《皇帝マクシミリアンの処刑》 1869年
マンハイム市立美術館蔵

館内は彼の美意識が全面に発揮されています。ハプスブルク家を巨大にしたマクシミリアン1世と同名なので、彼を強く意識してか、近代なのに中世ドイツ風の内装にしていたりとユニークです。反近代という意志を明確に感じます。

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