見出し画像

絵画の地位をめぐる法廷闘争 in スペイン🇪🇸

少し前に若桑みどり氏の著作の一節から、真に人文主義的な芸術はイタリアにしかないというが、それはどのような意味なのかという質問が来ましたが、あの後も個人的に調べてみました。

端的に言えば、絵を描くというのは哲学や数学、宗教学に古典の知識など様々な学問分野に精通する必要がある→これは単なる職人仕事ではなく、高度に知的な労働なのだ!という論理で、地位の向上を目指します。職業差別的なものが起点にあるといえば否定できません。

穿った見方をすれば、「知的な俺たちはお前ら手作業とは違う!だから私たちを大切にしてね、偉い人」という話なのですが、イタリアでは理解のある貴族や教皇が多かったこともあり、実際にこの流れで画家と絵画は地位が上がっていきました。

しかしそれはイタリアだけで、例えばスペインでは17世紀になっても画家は普通に下位の職業でした。さて、どのように画家と絵画が地位を上げたかと言うと、法廷闘争によってです。

ここから先は

1,945字 / 4画像
この記事のみ ¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?