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【僕のカーナビ】

担当部署が、車でお得意先を回る仕事に変わった時があった。

車の運転は大好きなのだが、如何せん僕は方向音痴だった。行ったことがないところを探しながら走ることは苦手なのだ。それも、1日何軒も回らなければならないので、大いに不安を感じてしまうのであった。

これはなんとかしなければならないと考えあぐねた末、出した結論が〈カーナビゲーション〉を買う、ということだった。

道に迷うことさえなければ車の運転は任せとけ❗️とばかりに、早速、家電量販店に出向いて行ったのである。

そして、自腹を切って買いも買ったり〈カロッツェリアのカーナビ〉❗️その価格10数万円なり~っ❗️

ところが、当時は〈カーナビ〉が出始めた頃で、まだ車に標準装備されているような時代ではなかったので、買ってきた〈カーナビ〉は、自分で後付けしなければならなかった。

僕が買った〈カーナビ〉は、弁当箱を90度に折り曲げたような形をしていて、それをインパネにセットするようになっていた。そして、簡単に取り外しが出来るようになっているのが売りの機種であった。

〈カーナビ〉が取り付けられた営業車を見た会社の連中が、ビックリ仰天したのは当然である。

しかし、最新型とは言え、CDのデータを読み取ってナビる当時の〈カーナビ〉は、まだまだ性能面では覚束ないところがあって、自車を示す〈カーソル〉が、道路の無い、田圃や海・山を走るということもままあった。

そんな〈僕のカーナビ〉ではあったけれども、しっかりと道案内をしてくれて、方向音痴の僕を大いに救けてくれたのである。

そのお陰で、営業成績もどんどん伸びていった、というような美味い話には、全然ならなかった。


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