【おやつ探し】
少年時代、友達のKくん家に遊びに行った時のことだ。
当時は、今程〈おやつ〉が食べられる時代ではなかったので、子供達はいつでもお腹を空かしていたのだが・・
さて、そろそろボードゲームにも飽きてきた頃だった。
Kくんがふと洩らした。
「腹が減ったのぉ・・」
「うん」
「なんか食べるもんないかのぉ・・お母ちゃんは今おらんしぃ・・なんかないか探してみようかぁ」
Kくんはそう言うと、僕を誘って家の中を探索し始めたのである。そして、おじいちゃんの部屋のテーブルの上に、チリ紙でくるんで置いてある何かを見つけたのだ。おじいちゃんは庭弄りでもしているのか部屋には居なかった。
これ幸いと、チリ紙の塊を手に取ったKくんである。
「おっ❗️結構重たいど・・ええもんが入とったらええんじゃけど・・」
「勝手に開けてもええんか❓️怒られるど」
「ええんよええんよ」
そう言いながらKくんはチリ紙をそ~~っと広げていった・・
2人は顔を寄せ合ってチリ紙の塊を凝視した・・段々中身が見えてくる・・
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「ぅわあっ❗️」
「わぁ~~っ❗️」
「痰じゃあ~~っ❗️」
「痰じゃ❗️」
それは、おじいちゃんが〈痰〉を出して丸めたチリ紙の塊だったのである。
あの頃はお菓子をチリ紙に包んでいたのだ。
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