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虚構集

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【FICCIONES】。たまに短篇小説を書きます。
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#掌篇小説

【小説】ノキピオ博士、最後の紀行

 旅行につきものの、些末な面倒事はいくつかあった。けれど言葉も通じぬ外国で、ひとまずは無事にホテルを見つけられたのだ。夏の暮れ方だった。窓から外を眺める。摩天楼が林立する背後に、血のような夕日が沈んでいく。書き物机の前に腰かけ、また立ち上がる。なにかを思い出しかけた気がしたのだ。気のせいだった。
 部屋にあるのはシングルサイズのベッドと窓に面した書き物机、備え付けのテレビと冷蔵庫、ドライヤー、ハン

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