見出し画像

IT2感想

※ネタバレを含む

先日、金曜ロードで放映されていたITを見逃してしまい、だいぶ曖昧な記憶を頼りに『IT/イット THE END』を鑑賞した。ルーザーの文字がラヴァーになってんの、いいよね。
映画全体の印象としては「エモい」(私の中では)。以下感想

映画冒頭、町のお祭りに来ているゲイカップルが登場する。
彼らは子供相手に本気で射撃ゲームを挑み景品をかっさらっていったあと、隣で悲しげな顔をしている少女に「手加減してくれてありがとう」と景品をさりげなく渡し小さく手を振るというキザで超クーーーールな行動をさりげなくできるキャラである。嫌いになる人間はそうそういないんじゃないだろうか。というか好き。と、心を奪われた次の瞬間にはボコボコにされるカップル、ペニーワイズに喰われるカップル。ゲイカップルもゲイカップルで挑発しすぎた節もあるが、暴漢煽り耐性なさすぎだろ。好きになった登場人物が開始10分で即死亡したため、すでに私の心はボロボロである。

前作に活躍したルーザーズ達は27年の月日を経て、幸せかどうかは別として、結婚や就職をし、イカれたピエロのことは忘れて各々の生活を送っていた。仕事面では皆それなりの職業についており、むしろ負け犬ではなく勝ち組と呼ばれてもいいくらいである。(一方その頃、例のいじめっこは精神病院で治療を受けている。)

前述のゲイカップル事件を受け彼らは再び故郷であるデリーに集うのだが、その中でも特に印象的だったのが、幼少期に父親から性的虐待を受けていたベバリーに電話がかかってくるシーンだ。デリーに帰郷する旨を夫に伝えると、夫は浮気と勘違いし更にベルトでベバリーを打つ。彼女に男運はないのか、結婚した男はベバリーを信頼していると口では言いつつ全っっっ然信頼してないDV男だったのである!
子供時代の彼女なら苦痛をじっと堪えていたのかもしれない。しかし成長した彼女はなんと蹴りで抵抗し見事相手をノックアウト、結婚指輪を軒に置いて故郷へと向かった。あの場面の爽快感ときたら…! 男性に搾取される存在であった彼女が、男性を蹴散らしたのだ!やったぜベバリー!!ルーザーズの中で最も早く呪縛から解かれ、圧倒的成長を見せつけてくれた。

その後、ペニーワイズをネイティブアメリカンの儀式(!?)によって封印するため、各自で思い出の品を探すことになったルーザーズ一行。実はこの儀式まったく意味のないものだということが映画終盤でわかるのだが、なぜ脚本に入れたのかまったく謎である。しかも突然のネイティブアメリカンや儀式の登場で私は置いてけぼりである。脚本家はビルがやったのか??リッチーの突然の同性愛者設定もわからん。LGBTへの配慮か?前作で伏線があったのを忘れたのかも忘れたので今度確認してみます。
この思い出の品探しパートでは、子供時代のフラッシュバックなどで役者が子役と入れ替わるといった演出がなされ、見ていて面白いパートだった。ここでも一番印象深かったのはベバリーだ。他の登場人物に対してペニーワイズはびっくり系の脅かし方をしていたのに対し、ベバリーには老婆に扮して語りかけ、徐々に本性を見せていくという比較的じわじわとくる恐怖の煽り方をする。画面の端で気味の悪い挙動をするど老婆はどこか最近見たAphex Twinのpvを彷彿させゾワゾワして怖かった。

エディがゲロまみれになるシーンも面白かった。あれは普通に笑える。デスストランディングみたいになってた

1月の残り火が物理的に燃えてたのも笑った。もwwwもえるんだwwwってなった。

大人ビルが襲ってきたジョージィを溺死させ、ビル少年を屠殺用の銃で殺すシーン。
ジョージィの死についてビルはビル少年に向かって「弟に自分は愛されていた。一回遊びを断っただけ。自分に責任はない。」と言い放つ。これまで弟の死について責め続けた自分自身を許したのだ。当然自分に向けられた銃口からは何もでない。逆にビルはビル少年に向けて銃を構え引き金を引いた。彼は罪を犯した(と自分を責め続けた)彼自身を殺し、彼自身という呪縛から解き放たれたのだ。エモいな〜、エモーショナルだなぁ。

ベバリーがトイレに、ベンが秘密基地に閉じ込められるシーン。
ここもよかった。トイレは子供時代のベバリーにとって外敵が侵入してこない絶対に安全な場所であった。ベンにとっての秘密基地もそうだろう。そんな避難所がペニーワイズに侵されてゆく。トイレには大量の血液(ニコ動のコメントでダイナミック生理って流れてくるんだろうなと思ったら面白くなっちゃった)と父親の顔、秘密基地では大量の土とペニーワイズという恐怖の対象が現れる。絶体絶命の状況で聞こえたのは I love you.
二人は新たな避難所をお互いの中に見つけ出したのだろう。末永く爆発しろ。「美女と野獣」のように最後はありのままの野獣ではなく美女と王子がくっつくのか。シェイプオブウォーター見よ…

ペニーワイズの倒し方
結局ネイティブアメリカンの儀式は失敗することが発覚し、(そもそも昔の儀式が成功してたらペニーワイズはいるはずがないのだ。)信じるものは救われる戦法により見事心臓を握りつぶしたルーザーズ。この倒し方はどうなのよ、という感じではあるものの、そこに至るまでの過程が見応えがあったので、めでたしめでたしである。やっぱりビルが脚本書いたのかも


#映画 #IT #日記