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ワクチンに不安を持つ方へ

先日、こんなツイートを目にしました。

この方は「科学的に見て」「ワクチン打てと言われるのが怖い」と申しております。読んでみた所、この方は少なくとも確信犯的あるいは短絡的な反ワクチンというわけではなく、自分なりに色々調べた上で、「反ワクチンの方が科学的に正しそう」という感触を得ているようでした。

本稿はそうした「ワクチンを打とうかどうか自分で考えて、どちらの情報を信じてよいかわからず悩んでいる」方に向けて書きます。

私自身は明日、接種を予定しており、基本的には多くの方にワクチンを打って欲しいという立場ではありますが、一方で、このように真面目に考えた上で不安になっている方に対しては、頭ごなしに「デマ」と言ったり、「不勉強」などで片付けるべきではなく、きちんと意見に向き合うべきだと考えています。(なぜなら、最終的な接種率がどこに収束するかの運命がこういった「考えているけど不安で悩んでいる人達」が分断されずに、悪意のある情報に誘惑されることなく正しい判断ができるか、によって変わるからです)

最初に、最も大切なことを共有しておきます。

「科学的」とは、「間違いを認める姿勢」である

私は別に、医療や感染症の専門家ではないので、「これが真実だ」などと言える立場ではありません。しかし、いっぱしの理学、数学を納めてきた者として、データを受け入れて議論する姿勢を大切にしています。

その上で、私の議論に間違いがあれば指摘して欲しいですし、それを受け入れる準備があります(データ自体が間違っていない限りは)。一方、本稿を読む方におかれましては、自分自身にも、指摘されて間違っていたと思ったら、それを受け入れる気持ちで読んでいただきたいのです。

(商売などのつもりで最初から反ワクチンの立場を固定している人に向けては書いていません。相手にしたくないので。あくまで、考えた上で不安な方向けです)

ワクチン打ちたい?打ちたくない?

それでは、下記のthe Lab.,Inc.さんの記事を読んで、私の視点からいくつかコメントや指摘をさせていただきます。

いかがでしょうか。以下の文章を読むと

(引用)まず、新型コロナがどれだけ怖いか、もしくは怖くないか。結論から言うと「日本人にとっては」これはただの風邪です。

この方は、「コロナは風邪と大差ない」という立場であるようです。

重症化率

一つは重症化率です。インフルエンザと対比されています。この点については私からはとくに反論はありません。インフルエンザは結構辛いですし、場合によっては命にも関わるでしょう。

感染力

次に、感染力です。ここでこの方はダイアモンドプリンセス号に話を変えていますが、先程の話と続いてインフルエンザと比べるのはいかがでしょうか。インフルエンザは例年1000万人近くがかかる、実は怖い感染症です(私もコロナ禍前までそんな意識はありませんでした)。

ただ、ご存知の通り季節性のもので、「コロナ禍前の生活」をしていても、感染者数は1割未満で済んでいた、とも言えます。これと比べて、新型コロナの感染力は一年中常に警戒が必要なレベルで、我々が自粛生活を続けていなければ、被害はこの程度では済んでいないでしょう。

さて、ここで私の反論には一つ大きな問題があり、それは、「何も対策をしていなければ、新型コロナはここまで広がって大変なことになる」というデータが、実はほとんど存在していない、ということです。なぜでしょうか。私は嘘を言っているのでしょうか。そんなつもりは無いのですが、これには簡単な理由があります。それは、「新型コロナが大変な事になるより前に、専門家などがそれを指摘して感染制御をしているから」です。

専門家が頑張ったせいでエビデンスが無い問題

「エビデンス」という言葉が今年よく聞かれましたが、このエビデンスを求めるためには、どこかの国に「ちょっと試しに感染防御ゼロで放っといてみて、データ取るから」という無慈悲なお願いをする必要があります。それは非現実的です。なので、なかなかデータがありません……

……とはいえ、参考になるデータはあります。ブラジルと、アメリカです。感染者数、死者数ともに、(インドを除いて)世界トップです。(インドはどんだけ制御してたかあまり知らないのですが、多分デルタ株が出てきてしまったことが主原因に思えます)

アメリカ:人口3.3億人、感染者3400万人(10%)、死者数60万人
ブラジル:人口2.1億人、感染者1900万人(9%)、死者数50万人

参考:
日本:人口1.2億人、感染者80万人(0.6%)、死者数1.5万人

ソース↓

ブラジルは、当初から大統領がコロナは風邪派で何もしようとしませんでした(国民が全てそれに従ったかどうかはわかりません、私のように自衛する人もいるでしょう)。

アメリカは、対策をしていなかったわけではないと思いますが、トランプさんがわりと気にしない派だったのと、BLMなどの大きな運動が重なったことも相まったのか?どちらも人口の1割が感染した状況です。

もちろん、アメリカも(ブラジルも?)まったく無防備だったわけではなく、マスクやリモートワークやロックダウンなど時には強い措置をした上での数です。本当の意味で無防備になったら、どこまで広がるのか、のデータはありません。

この方が挙げているダイアモンドプリンセス号の件についても同様に、最初は無防備で歩き回っていたから19%もの人が感染したのに対して、航行の途中で感染者判明の連絡が入り、その頃には既に中国などで感染爆発が起きていたわけですから、報告が入って以降は皆さんそれなりに気をつけて過ごされていたはずです。

このように、数字を見る上では、その数字が持つ「前提条件」を丁寧に見ていくことが大切です。もちろん、条件は様々ですので、一つの要因で全てを説明できるわけではありません。であるからこそ、「この数字が示すのは感染力が低いことだ」と捉えるか「いや、人間が制御したからだ」と捉えるか「いや、季節が」「いや、船の構造が」など、変数は無数に考えられます。それらを細かく分析するのは専門家の仕事だと思いますが、私としては、他の変数を無視しないほうが良い、ということをお伝えしたいのです。

超過死亡について

(引用)2020年の超過死亡数を調べて、この数字がたとえば例年よりも1万人とか増えていたらたぶん新型コロナによる死亡者数増で「これはやばい」ってなりますよね。で、結局超過死亡数はいくらだったか。日本は割と踏ん張った方なので+1000人?2000人…?調べてみると…減ってますやん!それも9000人以上。いやー、これは驚いた。こんなに大騒ぎしているので、もっとえげつない数字になっているかと思っていました。

超過死亡が減少しているのも、同様に、「新型コロナを防ごうとして、感染制御を行ったことで、コロナの死者だけではなくインフルエンザ等の他の感染症による死者が減った」という前提条件によるものでしょう。

これも変数が多いので、断言はできませんが、この方も

(引用)(ただし、アメリカは超過死亡数が多いが)…

とお気づきになっています。これこそ、「新型コロナの防御に失敗すると、他の感染症による死者の減少を遥かに上回る死者が出る」ことの証左です。

たまに西浦教授の初期の予測値を引っ張り出して「いつになったら42万人の死者が出るんだ?」と揶揄する方もいますが(このブログの方はそのような言い方はしていません)、これも「私達が何もしなければ」という前提条件に立ったものです。

このブログの方は、その指摘をすると素直に理解を示していただきました。

私達は自粛しました。

まったく自粛してない人もいるかもしれませんが、それでも周りの人や専門家や政府は頑張って感染症を広げないように、そのような方にも移さないように必死に努力しました。その結果として日本では何十万人の死者は出ていません。

そのような方を納得させるためには、我々全員が全ての自粛をやめる必要があります。そんな人体実験には参加したくありませんし、誰も参加しないからこそ、そのような予測が実現することはありません。

一方で、自粛に少し失敗したアメリカやブラジルは先程ご覧の通り50万人を超える死者を出しています。。これでも「何もしていない」わけではないのです。最悪の予測は、専門家の頭の中だけで計算されて、実際には起こらないことが一番です。

PCR検査の信頼性

(引用)一言でいうと「信用できん」ってことです。

どうなんですかね。
Ct値を上げまくれば誰でも陽性になる、という論点のようですが、逆に言うと喉の奥に少しでも活性のやつがいたらそのうち増殖するわけですし、その時点で自らウイルスを撒き散らしていなくても、数日以内にそうなるんじゃないでしょうか。

すみません、この点についてはわからないので、特に指摘はしません。

自然免疫

自然免疫の強さが無症状と有症状を分ける、という論点に思えますが、これも私からはなんとも言えません。専門家の方にお譲りします。

私の認識では、この自然免疫が働く可能性を超ブーストしてくれるのがワクチン、という事だと思っています。免疫というのは「これが外敵だ」という情報が得られないと攻撃を行ってくれないので、何らかの手段で外敵認定が必要です。運良く?それが早期にできたら自然免疫でも守られるのかもしれませんが、新型コロナは最初は雑魚にしか見えないため情報伝達が遅れることが特徴です(はたらく細胞で得た程度の知識)。ワクチンによって、その情報の部分だけを先に得ておくことで、免疫で守られる可能性がめっちゃ上がって、それこそ「ただの風邪」と同じになるのではないでしょうか。なんか間違ってたら指摘してください。

その他の風邪(従来のコロナウイルスなど)は、人はだいたい幼い頃に全てかかっていて、全ての免疫情報を得ているらしいです(医療従事者の友人から得た情報)。曰く、幼い頃は免疫ブーストがかかっていて、ほとんど重症化しないので、そのブースト中にかかっておくことで、リスク少なく免疫を得られるらしいです。幼くない私達は、既に免疫ブーストも切れた状態で新たな感染症が出てくると弱いから、ワクチンが必要なんですね。

これから若い方がどれだけワクチン打ったほうがいいのかは、色々議論になると思います。それこそ、無症状がほとんどなら、自然に免疫をつける方もアリかもしれません(ワクチンでできる免疫のほうが強い、みたいな説もあるので、なんとも言えません)。

ワクチンは治験が終わっていない

それは2年とか長期的な影響についての治験の話ですよね、と私は受け取っているのですが。その意味では、たしかに「完全に完了」はしていないので、「私はあと2年は自粛生活を続けて、治験が完全に終わってから打つかどうか考えます」というのも、一つのリスクヘッジであると思います。

私は、あと何年もこの生活を続けられないですし、それ以上に、人が安全性を考慮して作ったワクチンよりも、勝手に体の中で増殖して目的もなく進化するウイルスの症状や後遺症のほうがよほど怖いので、ワクチンのほうが遥かに安心できるな、と感じています。

(が、これは、私が感じている、というだけで、人によって数年後のワクチンの作用を心配することを、否定はしません)

そして最後に、最も大事な部分です。

ワクチンの有効性

(引用)(強調は筆者による)
有効性95%というのはどういうことか。数字だけ見ればなんかすごいですよね。なんですが、95%の根拠は以下のとおりです。

●ファイザーは43,500人を対象にワクチンの試験を行った。
●ワクチンを接種するグループと、ワクチン有効成分の入っていない注射(プラセボ)を行った2つのチームに分けて実験開始。
●ワクチン接種グループのコロナ感染率が下がっていれば効き目ある!
結果、ワクチン接種グループの21,750人でコロナにかかった(=発症した)人は8人。
●プラセボ(非ワクチン)グループの21,750人のうち162人がコロナにかかったそうな。
ワクチンを打ったことで発症者が(162-8)÷162=95%減少した!すげー!
ってことです。なんだ、やっぱりすごいじゃないか!と思いますよねそうですよね。では少し、見方を変えていきましょう。
●ワクチン接種グループコロナ発症率:8/21750=0.037% ←低い!!
●プラセボグループコロナ発症率:162/21750=0.74% ←低…いよね。
ワクチンによるリアルな発症改善度=0.74-0.037=0.7%…??
実際は0.7%の改善度でははないのか?あと、プラセボグループのコロナ発症率が0.74%ってことはワクチンを打っても打たなくても99.26%の人は新型コロナにかからんってことですよね。

さて、これを論拠としてこの方は

(引用)有効率95%にはトリックがある

と仰っていますが、私から見ると、この方の論理にもトリックがある、というか、この方は悪意がないと思うので、端的に「間違いがある」と感じました。それがどこだか、おわかりでしょうか。

正直、数字にはそんなに強くない、という方からすると、こういうのはなんかすごい羅列にしか見えてなくて、最後の文章を見て「怪しい」と書かれていたら怪しい、と思ってしまうのかも知れません。

ですが、この記事を読んでこられた方であれば、もう答えはご存知のはずなのです。これも結局、「私達が必死に感染制御している」という前提条件を無視した数値同士を比べているのです。この方は「ワクチンを打っても打たなくても99.26%の人は新型コロナにかからんってことですよね」と言っていますが、それは「今の自粛状況で一定期間を切り取った場合」だけです。今後、この99%の方もコロナにかかる可能性が高いです。

確かに、私達が今のようにずっとマスクして自粛してイベントにも行かず……という生活を続けて良いのであれば、ある期間における発症率は1%未満に抑えられるかもしれません。

(……あるいは、あなた自身は何も自粛しなくて日々飲み会をしていても自分も仲間も感染しなかった、という運の良い方もいらっしゃるかもしれませんが、それも、私のように仕事も買い物も趣味も全部家の中にして徹底的に自粛している人などが、あなたに会わないようにあらゆる手段で頑張っているから、その結果として守られている可能性が高いです。これはちょっと私の恨み節が入ってますね。しかし、私とあなたは関係なくても、社会全体では、同じように多くの人が自粛する事で自粛しない人も守られる、という関係は確かにあるのです)

しかし、今後ワクチン接種が進めば、私達は元の生活を取り戻していきます。外食もするし旅行もするし、マスクもそこまで徹底的につけなくなります。私は、そこでコロナにかかるだろう、と考えています。そのためのワクチンですから。でもワクチンのおかげで、少なくとも重症化せず、あるいは症状もまったく出ずに、気にせず暮らすことができます。

その時、感染者数はどうなるでしょうか?私は、「そのうちほぼ全国民がかかる」と考えています。私のように気をつけていた人が、かかっても大丈夫になることで、活動範囲を広げます。かかっていても症状がワクチンで抑えられるので、自覚なく広げてしまうこともあるでしょう。その時、ワクチンを打っていない人はどうなるでしょうか?当然、今までよりも感染しやすくなります。もちろん、皆さんのワクチン接種が進むまでは私もマスクをしようと思いますが、最終的にどこかのラインでワクチン接種が止まると、例えば、70%の時点で止まって、30%の人がワクチン接種しない事を選んだ時……私は、永遠に今のような緊張感を持ち続けて生活することはできません。そういう方はもう、ワクチンよりウイルスのリスクを受け入れたんだ、と考えて、普通に暮らします。そこは、今よりも多くのコロナ陽性者(ワクチンによって症状は軽いので患者とは言わない)が出歩く世の中です。

そこで初めて、ワクチンの有効率が重要になってきます。治験では1%が0.03%になる程度の変化でしたが、ワクチン後の世界ではこれが100%になると考えてください。100%の人がどこかではコロナにかかり、ワクチン未接種だと重症化や後遺症を気にしなければならないのが、95%の人はワクチンのお陰でそうした影響を免れるわけです。ワクチンを勧める人はこれを目指しています。

ただ、私がここで「100%の人がかかる」と言ったのも、(西浦先生の42万人死亡説のように)誰も自粛をしなくなったという極端な仮定です。ワクチン接種者が自粛をやめても、マスク文化が定着するかもしれないし、ワクチン未接種の方は引き続きある程度自粛生活を続けると思います。そうした努力やリスクを受け入れられるのであれば、あとはワクチン自体のリスクと比べて自分で判断する、のが大事でしょう。

ワクチン接種が進んでいる州ほど感染者が多い??

同じ方のこちらのブログ記事も、とても丁寧に数字を分析しているように見えますが、結論の因果が逆ですね。「感染者が多い州ほど、ワクチン接種を早く進めようとしている」という事ではないでしょうか。国単位で調べても同様の結果になるはずです。アメリカやイギリスなど、感染爆発を起こした国ほどワクチン需要が高く、治験も先行して行われ、ワクチン接種が早くから進んでいました。逆に日本や、また日本の田舎のような、コロナにまだそんなに迷惑していない場所では、治験も進まず、需要もそこまで伸びず、結果として「ワクチン接種した方が感染者が多い(※逆です)」結果に見えてしまいます。

これは言うならば、「一般人と入院者では、入院者の方が病気が多いから、病院は病気を生み出している!」みたいな主張と同じです。逆ですよね。病気になったから入院したわけです。これは誰でもわかると思いますが、規模や対象を切り替えると意外と騙されます。

似たようなので、「ロックダウンするほど感染者が増える」という説を展開している方もちらほら見ました。逆です。。増えたからロックダウンするんです。。

コロナ禍でいろんなデマ(この方の場合は、調べた上でのミスリード)を見てきましたが、総じてこのようなパターンが多いです。

前提条件を無視している(自粛した現状のデータを用いて、自粛しなくてもこの程度である、と論じている)
因果関係が逆である(悪化したから対策したのに、「対策したほうが悪化した」というデータとして論じている)

もちろん、本当にその前提が関係しているのか?とか、本当にその因果の方が正しいのか?というのは、丁寧に検証されるべきです。私はそこまで検証してないので、推測に過ぎません。が、わりと、ちょっと気をつけたら気づくことができるものも多いので、心当たりのある方は注意してみると良いでしょう。

「多くの人に打って欲しい」けど「あなたが打つかどうかは自由」の両立

最近特に感じている問題がこれです。

ファイザー/モデルナによるmRNAワクチンは有効率が高く、さらに、感染自体も防ぐ効果も期待されているので、専門家の方や大臣が仰るように、「他の人を感染から守るという意味でも、接種を広めてほしい」わけです。

一方で、個人が接種するかどうか、というのは自由です。なぜ自由なのかというと、人によってはリスクがゼロではないから、でしょう。私もそれがゼロだと言うつもりは無いですし、科学的というのは常に「新たなデータが出てきたらそれを受け入れる」姿勢であるため、今後ワクチン接種後の死亡者等のデータが精査された上で万が一因果関係が認められればそれを受け入れることが大切です。

アナフィラキシーを起こしたことがある方など事情のある方に強制する事は誰にもできないし、するべきではありません。(とはいえ、そうした副反応もほとんどがすぐに対処可能なもので、新型コロナの症状と比べると深刻度や持続性が比べ物にならないくらい軽い、と考えられます)

ただし、現時点のデータからは、特にmRNAワクチンはウイルスより遥かに、遥かに安全で有効性が高いと感じています。(これがアストラゼネカやシノバックだったら私もちょっと悩むかも)

問題は、「多くの方に打って欲しい」(そうすることで社会全体が守られる)という言説と、「あなたが打つかどうかは自分のリスクと勘案してほしい」という言説を同時に成り立たせる難しさです。

聞く人によっては、「多くの方に打って欲しい」が圧力に感じられ、「自由ではない」と思われるかもしれません。しかし、そこはもう一歩コミュニケーションを進めて、「多くの方」には打って欲しいけど、「あなた」が打つ必要は必ずしもありません、という事を明確にすべきです。この主張は、どちらも間違ってはいないのです。

打ちたくない人が、「私と同じようにリスクが高いと感じられる方は(という限定つきで)、必ずしも打つ必要はないですし、様子見する選択肢もあります(その間ウイルスの脅威に晒され続けるけど、という条件つきで)」は正しいのですが、「ワクチンは危ないから皆私と同じように打たないようにしましょう!」というのは公衆衛生上は正しくない(やめてほしい)ということです。

少数の人が打たないのは社会的にも問題ではない(例えばそれが1%だけなら、99%の免疫でほとんど無視できるようになる)のが、それが10%とか、30%とかになると、その間で感染が広がり、病床を逼迫させ、医療従事者に変わらず大変な対応を強いて、ワクチン接種者へも(有効率は100%ではないので)リスクを増やす、という事に繋がってしまいます。

「私は打つのが怖いけど、多くの人が打って欲しい」と言う勇気

なので、私が最後に伝えたい最も大事なことは、「多くの人」には接種して欲しいけど、「あなた」にはそれを強制しません、という空気を皆で作って欲しいということです。打ってない人には、何らかの理由がある、と考える。ただしその理由は、「特殊なもの」であるべきで、「私はアナフィラキシー起こした事あるから」とか「私は自粛生活続けるから」とか「私は念には念を押して数年後の治験の結果を待ちたいから」とか、「私は」ならいいんです。だから、打ってない人も「私は打ってないけど、私や周りの人のためにも、皆には打って欲しい」と言うのが理想的で、(まぁ人にリスクを押し付けてるわけなのでズルいとも言えますが)正しいことだと思います。

一方で、「ワクチンは全員に悪さをする(不妊になるとか、数年後に死ぬとか、なんか知らんが陰謀論者の主張)から、全員中止しろ」などの主張は、控えめに言ってテロリズムであると捉えます。こういう事を言うのは、さすがに何らかの商売を目的としているか、なにか宗教上の理由があると考えたほうが良いので、できるだけ相手にしたくありません。。

ワクチン賛成派に気をつけていただきたいのは、前者の、単にワクチンが自分にとって良いのかどうか不安で迷っている人に対して、後者のような、ワクチンは全員にとって悪いと嘘ぶく人と混同して「お前は反ワクチン論者だろ」と言って叩く、という事をせず、「あなたが打つかどうかは自由だけど、多くの人が打ってくれるといいよね」という空気を形成する事です。

ということで、私からの、ワクチンを打つ人も打たない人にも、どちらにも届くように考えた最後のメッセージです。

「あなたが打つかどうかは自由だけど、多くの人がワクチンを打って、自粛せず安心して暮らせる世の中が来るといいよね!」

「ワクチンとの因果関係が認められない」と判定された接種後の死亡事例についてどうお考えですか?

頂いたコメントへの返信です。

これとかですかね
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000802338.pdf

ここを見るとワクチンと症状の因果関係が「否定できない1件」「認められない7件」「評価できない451件」とあり、「認められない」のは言葉通り他に明らかな原因があって外して良いとされたのだと思います。問題は大量の「評価できない」方ですよね。

実際の所このうち何件が本当にワクチン起因である可能性があるのか、今後、調査が進められてほしいと思いますし、万が一その因果関係が認められた場合は、接種条件を調整するなどの対応が必要だと思います。

とはいえ、おそらく1人ずつ解剖して関連性を判定するというのは無理で、接種が進むことで統計的にデータが集まって初めて「これは●●による死亡が多いぞ」と言えるわけで、その意味では私達はある種の実験に参加しているわけです

しかし、既に一定レベルの治験は済んでいるわけで、この実験は「メリットのほうが圧倒的に多い実験」である、いやむしろ「ワクチンを打たない方が、新型コロナのリスクに無頓着になった社会で抗体なしで生きる実験に受動的に参加させられる」と捉えた方が良い、ということでしょう。

あとは、リスクの計算ですが、ここも注意して前提条件を揃えないと騙されます。

ワクチンを打つ場合:

日本では既に4000万人近くが1回以上接種し、そのうち死亡例はワクチンに関係ないものも含めて400近く、ここはあえて最悪の場合を想定して、その400例全てがワクチンに起因したと仮定しても、400/4000万=1/10万=0.001%の死亡率です。「最悪の場合で」です。

一方で

ワクチンを打たない場合:

日本では新型コロナ感染者80万人のうち死者数1.5万人、1.5/80=0.0185、すなわち1.85%の死亡率です。ここで、この1.5万人を日本の人口1.2億人で割り算して「コロナの死亡率は0.0125%だから大したこと無い」と言うのは「今我々が感染制御をしている」という前提条件を無視したものなので間違っています。今後、我々はワクチンを打った人から順に感染制御をやめ、打たない人もそのうち罹るけど、それは自己責任、という世界に移行します。そのため、「いつかは罹る」と思ったほうが良いでしょう。

そうすると、ワクチンを打ったほうが、どんなに小さく見積もっても1.85/0.001=1850倍は生存率が上がることになります。繰り返しますがこれはワクチン接種後の死亡例を全てワクチン起因であると仮定した場合であり、実際は、もっと生存率が上がるはずです。

「生存率が2000倍くらい上がる薬があります」って言ったら、「そんなの教えないほうがひどい!」って思いますよね。なので、「普通は打ったほうがいい」んです。

もちろん、実際のリスクはもっと複雑でしょう。

後遺症のリスク

これはワクチンは今の所全然聞かないのに対して、コロナの後遺症はかなりひどい報告を多く見ます。。

半数って、、おま、、アメリカなんか3400万人が罹患したわけで、そのうち3割が味覚障害残ってたら、アメリカの飯は今後どうなってしまうのか、リアルに心配なくらいです。桁違いに怖い。

打たなくても罹らないという人

ご自分で責任を持って引きこもるなり感染制御を続けるなら止めはしませんが……普通に暮らしてたらいつか100%罹ると思うので、結局罹った所で誰も責任取れません。「言わんこっちゃない」としか。一方でワクチンは後遺症などが認められた場合は責任取ってくれるらしいです。

打っても罹ってしまう人

ワクチンは症状を95%抑えるから有効率95%と言われてますが、死亡率はほぼ100%抑えるんじゃないかという報告が多く……正確なデータが欲しいところです。

新型コロナ感染症による死者の99.5%がワクチン未接種者だった
メリーランド州は6月に死亡した新型コロナウイルス感染者の100%がワクチンを接種しておらず
6月に同州で新型コロナウイルス感染症によって死亡した130人について、誰もワクチンを接種していなかった

ここまで来ると「出来すぎなのでは」と思えるのですが、いずれにしても、この死亡率もワクチン側のリスクに計上すべきでしょう。

念の為:全世界的なデータがパッと見つからなかったので3件の記事を引用しましたが、これが「たまたまうまく行った事例」をニュースにしているだけの可能性もあり、注意が必要です。非科学的な主張もよく、「私のガンはこの民間療法で治りました!」みたいに、一例のストーリーで押し通す場合があるので、ちゃんと全体の統計を見るのが大事です。

mRNA以外のワクチンのリスク

以上の議論はすべて、mRNAワクチンの報告のデータを元にしました。他のワクチンは有効率や死亡率も全然違いますし、日本では許可されてませんので、扱いません。

意図的な反ワクチン情報には、mRNA以外の不活化ワクチンなどの死亡例や死亡率を持ち出して、日本のワクチン政策を批判するようなパターンも多く見受けられますが、これは的外れです。

普通は打ったほうがいい

結論としてはやはりこうなります。数々の統計的なデータと分析が、打つほうが明らかに(私の試算ではどんなに少なく見積もっても2000倍)メリットが大きいとわかっているので、公的機関からも推奨されています。

が、これはあくまで「普通は」であり、「私は特殊な反応が予期されるので」という人がいる可能性がある以上、強制すべきではないというのは変わりませんね。

実際、私もこの前ワクチン1回目受けてきて、翌日は思った以上に関節痛が辛いなぁーと感じて、風邪にかかったら死んでしまうくらい弱った人は打って大丈夫なんだろうか……?とは思いました(そこらへんは、かかりつけ医が判断するのでしょうが)。でも、2日経てばピンピンしており、自分も普通に打って良かったと感じた次第です。

参考になれば幸いです。

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