30代男性がメイクにハマって気付いた事
なんで人はメイクするんだろう。
言い換えるならば、
なんでこんなに難しくて面倒くさい工程を、夜にはすべて落として無にしてしまうにも関わらず、またゼロから、いやマイナスからでも積み上げて完成させるという努力をする女性がこんなに多いんだろう。
メイクをするようになってしばらくして、ひらりささんという方のことを知って、著書「だから私はメイクする」を読ませていただいた。
女性だって、メイクをする理由は人それぞれ、千差万別、そして必ずしもそれを周りに話すわけではない。仕方なく、とか、変に思われないように、とか、勘違いして誘われないように、とか、理想の自分になるために、とか……。メイクは画一的にできるものではなく、必ず目的があり、自分自身という土台から出発して、どうやってその目的にたどり着くのか、その旅路は何一つ同じではない。
じゃあ、私はなんでメイクしてるんだろう。
30代も半ばを過ぎた既婚男性である俺は、なんでメイクして、美の追求を楽しむようになったんだろう。
この記事は男女どちらにも、メイクする人にもしない人にも、お互いの世界を垣間見て、見えていなかった壁に気が付き、それを打ち破る機会になればと思って書いている。
すでにメイクを嗜んでいる女性から見ると、私のメイクは初心者の域を出ないもので、読み進めても「こんなオッサンが美女に!」みたいなワクワク展開は無い。せいぜい「マイナス50点の肌をどうにかしようとしてメイクをしたらプラス30点にはなった」「アイメイクむずすぎぃ!」程度の話でしかない。一方で、「え、メイクしない人って、こんなレベルで何にも知らないの!?」とか「あぁ、自分は無意識にできてたけど知らない人から見るとこういう壁があったんだな」という、逆の方面からの驚きとか発見は、それなりにあるんじゃないかと思っている。
一方で、今までメイクなんてしたことが無い男性から見ると、そんな初心者レベルのメイクでも「は!?そんな何重にも面倒くさくて技術が要る事やってんの!?」とか、「そうか、そういう意識を持ってみると世界が変わるなら、やってみても良いかもな」といった発見も非常に多いと思う。
そんな初心者レベルのメイクでも驚くほど人間は変わるというコントラストを示すために、本稿はとんでもなく低いレベルの話からスタートする。
「ビオレの泡洗顔」を買うことが恥ずかしいと思ってためらう20代男性
20代の頃、それまでは何の苦労もケアもせず綺麗な素肌を保ってきた私の顔面は、徐々にニキビが出来て劣化を繰り返していた。
ここで私が言う「何もしていない」状態とは、誇張無く、本当に何にもしていない状態のことだ。
・化粧水、乳液などを一切使っていない(そもそも持っていない、どころか、そういうモノの存在すら知らない)
・洗顔料を一切使っていない(そもそも持っていない、水で顔を洗うだけ)
今でこそ自分的にも「ありえないな」と思うが、当時はそれが普通だったし、同年代(30代以上)の男性諸君においては、何かのきっかけで教えられる機会がなければ普通の事かもしれない。
さらに、ニキビが出来たらそれを適切に処置するどころか、汚い手で触る、とにかく引っ掻いてぶっ潰していればそのうち消える、と言わんばかりに弄る。それ以外に対処法を知らず、教えてもらったことも無く、若い頃はそれで何とも無かったということで、最終的にニキビが潰れて膿が出て血が出ても、それで「なんとかなった」と言い聞かせる。当然ながらそれでは何ともなってないどころか肌を徹底的に破壊しており、またより広く大きい範囲にニキビが出る……その繰り返しだ。
自分の場合、ニキビで荒れ果てていたのが顔の周縁ではなく鼻頭から鼻全体という非常に目立つ部分で、ちょうど手塚治虫が醜い人間を描くのと同じように鼻だけが赤く腫れ上がっている汚さを想起させたことでひどい劣等感を抱くようになり、鼻を絆創膏で隠すレベルになってようやく「スキンケア」の「ス」の字を意識し始めた、という次第だ。
今の自分が10年前にタイムスリップできるならば、そんな酷い事になる以前に自分自身を引っ叩いて目覚めさせ、早急にスキンケアの導入とニキビに対する治療をさせるだろう。だが、当時の自分の価値観でそうすることはできなかった。
ここで重要なのは、それは私が怠けていたとか、「スキンケアやんなきゃ」と思いながら面倒に思っていた、というような話ですらなく、それよりも低いレベルで大きな抵抗感を感じていたという点だ。私は「男性が自分の肌をキレイに保とうと努力する事」そのものを、「卑しく、恥ずかしい事」と感じて遠ざけていた。そのようなことは周囲に気づかれないようにコッソリしなければならない、と心の奥底で思い込んでいた。
ある日私はついに一大決心をして、ドラッグストアの洗顔料のコーナーに足を運び、誰か知り合いに目撃されないか心配しながら商品を遠目に眺めていた。そこでメンズビオレの、泡洗顔、薬用アクネケア、みたいなやつを物色していた。パッケージには「薬用成分配合」「肌の炎症を抑え、アクネ菌を殺菌してニキビ予防」とか書かれていた。それをコソコソ読みながら、多分こんな事を考えていた。
「やばい!男なのにスキンケア用品を漁っている!こんなに意識高いところ誰にも見られたくない!」
(ただのドラッグストアだぞ?)
「アクネ菌を殺菌してニキビ予防!これでニキビとか全部消えてキレイになってしまう!」
(洗顔だけでそうなったら苦労しねぇよ)
「店員さん(こいつスキンケア用品とか買って肌の事気にしてるんだ~)とか思わないで!」
(自意識過剰にもほどがあるだろ)
今の自分だったら全力で()の方でツッコむところだが、当時は本気でそう感じていたことを鮮明に覚えている。
これは私が特別に田舎者で非常識だからだろうか?そうかもしれない。私が知らないだけで、実は男も皆スキンケア……っていうか洗顔くらいしていたのかもしれない。それなら良いのだが、やっぱりまだ「男がスキンケア・メイク等の美容を意識するのは、恥ずかしい事、隠したい事」という潜在的なバリアが拭いきれていない事は否めない。
■ステレオタイプに抗う、という壁
女性からすると、洗顔一つ買うのに躊躇するなんて、男はバカだな、といって片付けられる可能性もあるが、ちょっと待ってほしい。
例えば、私は大学で数学を専攻したが、皆さんの想像どおり圧倒的に男性が多く女性が少ない学科だった。これは、女性は数学ができない事を意味するだろうか?そうではない、と私は考える。以下の研究報告などにも示されているように、ステレオタイプの存在そのものが人間の能力を左右してしまうことが実験から確かめられている。
こうした影響がなければ興味をもったり、得意な可能性のあった分野に対しても、「普通の女性はそういう事を得意としない」という認識が与えられるだけで、「なぜ自分は普通じゃないことをするのか?」という抵抗感や違和感が生まれ、能力や能動性が失われてしまうのだ。
同論文では、女性が自ら「女性だから数学は苦手」というステレオタイプを自分に当てはめてセルフ・ハンディキャッピングを行う、という点も示唆されている。個人の能力の問題を、性差によるものだから仕方ない、と自分を納得させるためだ。別の立場で私はこれに共感できる。私はまさに、自分の肌がどんどんと汚くなっていく事に対して「オッサンは汚いものだ」というステレオタイプに自らを当てはめることでセルフ・ハンディキャッピングを行い、スキンケアについて調べたり行動を起こすという能力や能動性を失っていた。
例えば、女性が理系に進むことで「リケジョ」などと望んでいない用語を一方的に当てはめられて無用な注目を集められたりすると、何か特別な理由がないと避けるべきではないか?という思考が働き、実際に数学科や理学部から女性を遠ざけてしまっているかもしれない。
同様に、男性が美容に関心を持つことで「美容男子」などと望んでいない用語が当てはめられるのであれば、コスメを買うことは何か特別な理由がないと避けるべきではないか?という思考が働き、その様子を見られないようにコソコソしてしまう、という自分の心理にも説明がつく。
いずれの場合も、実際には「お前はどうせ◯◯だから止めろ」などと直接言われる事はほとんど無い(何ならリケジョだの美容男子だの言う方はむしろそういう人を増やしたくて言ってるのだろうが)にも関わらず、ただ「世間や身の回りでそういう人が少ない」「珍しい者として扱われる」だけで無視できない影響があるという事だ。
おかしい。メイクの話をするための記事なのにまだ一回もメイクしていない。スキンケアも始まってすらいない。洗顔料一個買うだけやぞ??
■ニキビは治療が必要な慢性炎症性疾患です
※この段はニキビ対処の基本が普通にわかってる人は全部読み飛ばして良いです。次の「30代男性のメイク道具&方法論」へどうぞ。
ニキビなどに悩みながらも行動を起こせなかった過去の私、および読んでいるあなた、未来のあなた、に対してお伝えしたいことがある。それは、
ニキビは「疾患」ということだ。
つまり、これは美容意識どうこう言う話ではない。日頃から予防を心がけ、できてしまったら「病院(皮膚科)に行くべき状態」なんだ。そう思うと、くだらないハードルをすっ飛ばして、行動することができるのではないか。
私は洗顔料を一つ買うと決心するまでに「ニキビの炎症の進行第4段階:嚢腫(のうしゅ)」の状態まで悪化してしまっており、そこから洗顔だけをやったところで、病が最終段階に進んでから予防の初歩をやっても何の意味も無かったのである。
そこからようやく駅前のクリニックに相談し、塗り薬と漢方で対処するものの治らずに匙を投げられ、いよいよ意を決して皮膚科に行こうかと思った所でコロナ禍が始まり、結局まともな治療にありつくまでに長い年月を無駄にしてしまった。その無駄な期間の分だけニキビは悪化を繰り返し、取り返しのつかない肌の劣化を招いて自己肯定感を地に落とす事になった。
もう一つ残酷な事実をお伝えする。ニキビ痕まで進行してしまった状態は、その後どれだけスキンケアに目覚めて美容医療に金を突っ込もうが、痕が消えることは無い。
もちろん、対処療法的にニキビ痕に対する治療もなくはない。私はそれで1回やるのに数万円する美容医療(ダーマペンという、ニキビ痕を細かい針で一度ズタズタにして、一時的に真っ赤になってから人間の再生力で改善させるというエグい治療法)を計5回くらいは試したが、正直なところそれでキレイになったとは言い難い。そこは皮膚科の先生もわかってて、消えるわけじゃないけどマシにはなります、と説明してくれる。それでも自分の顔を取り戻せるならと、大人になって稼いだ金を問題に目を瞑るようにして注ぎ込み、その結果大した改善は望めないのである。
こういう事に悩まされる以前の肌は恐ろしいほどに白かった。中学生の頃のいじめっ子は私のことを「白人」と呼んだ(いじめの理由なんて結局「自分たちと違う」程度のものでしかない)。それが赤く腫れ上がり見る影もなくなるのだから、習慣とは恐ろしい。だからまだ間に合う人は是非とも気を付けて、早いうちから予防や適切なスキンケア習慣を身に付けてほしい。
30代男性のメイク道具&方法論
やっとメイクの話に入ります!泡洗顔買うのためらってた人間がやるメイクなんてたかが知れてると思われてそう。いや大したことはないが。
メイクしない人向けには後で個別に解説するが、ざっと以下のような感じのアイテムを毎回使っている。メイクするのは週に2,3回ほど(外出する時は基本的にする)。始めてからは3年目くらい。
■ベースメイク
1. MAQuillAGE ドラマティックスキンセンサーベース
:ベースのトーンアップと日焼け止め2. vim BEAUTY キープコンフィデンスプライマー
:肌の凹凸を隠すためのもの3. CandyDoll ブライトピュアベースCC <ミント>
:ニキビ痕の赤みを打ち消すための緑コントロールカラー4. LUNA ロングラスティング チップコンシーラー
:ほうれい線やクマ隠し5. NARS ナチュラルラディアント ロングウェアクッションファンデーション DEAUVILLE
:BAさんに選んでもらったファンデーション。肌をキレイに見せる6. NARS ソフトマット アドバンスト パーフェクティングパウダー COVE
:ベースメイクが崩れないようにする(パウダー)7. TIRTIR Mask fit Make-up Fixer
:ベースメイクが崩れないようにする(ミスト)
■アイメイク
1. LAURA MERCIER キャビア スティック アイカラー N
:目の下側に塗って涙袋っぽく使ってる2. Rimmel アイシャドウ パレット
:赤系でキレイなアイシャドウ。底見え気味3. Wonjungyo W デイリームードアップパレット 03.ブロッサムコーラル
:アイシャドウを馴染ませたりラメ入れたりするために活躍中4. Wonjungyo ドローイングライナー 02.ブラウン
:アイライン。細くしっかり描ける5. ORBIS Mr. ビアード&アイブロー ペンシル
:これだけメンズ用かも。眉の下側だけこれでスッと描いてる。6. KATE デザイニングアイブロウ3D フィット
:眉の上側を埋めてる。ノーズシャドウに使ったことは無い。7. FASIO パーマネントカール マスカラ ハイブリッド ロング
:ウォータープルーフなのに、お湯と洗顔料でオフできる。使いやすい。8. ビューラー
:ドラッグストアで適当に買ったやつ。
メイク3年目なんて、女性が高校生からメイクを始めると考えたらまだ大学生になったくらいなので、初心者と言って差し支えないだろう。
とはいえ、すでに私の妻と比べてもメイクにかける時間もコスメの数も私の方が多い感じにはなってるので、女性の中でも自分よりメイクに力を入れてない人は普通にいる、くらいだと思う。
■インフルエンサーの下僕になる
上記のようなコスメ用品を集めるのは、すでにメイクをしている人にとっては特段難しくもないだろう。しかし、メイクをしたことがない、メイクをする人も周りにいない状態から、このような情報にありつくのは何重もの壁を突破しなければならなかった。
とりあえずYoutubeで「アイメイク 基本」とかで調べてみる。
確か、最初に見たのは水越みさとさんだったかな?無印良品縛りでメイクとかもやっていて、これなら男の自分でも買いやすい、と参考にしたのを覚えている(実際、最初はここで紹介されていたMUJIの「アイカラー4色タイプ ゴールドブラウン」を使っていた)。
最近はこうやって発達したインターネットの情報網によって手軽に専門家の情報を得られてありがたい……一方で、「このインフルエンサーが言っていることは信じられるのか?」「自分がやりたいメイクの方向性と合っているのか?」「そもそも自分に似合うメイクって?」といった事を判断するには、自分自身に経験と知識の蓄積が必要になる。
なので最初は、そういうの何にもわかんないから、とりあえず買って試そう!となるしかない。かくして、インフルエンサーが紹介したものを鵜呑みにしてそのまま買う情報弱者が生み出されるのである。企業努力よりもインフルエンサーに金が落とされるのは私のような者のせいです。
自分の専門分野(ゲームやプログラミング)であれば、普段から友人たちが「◯◯が面白かった・良かった」と言っているので、次に試すのはその中から自分に合うものを選ぶだけで良いのだが、コスメとなると身の回りにはそんな情報が一切無い。そのため、「◯◯が良かった」という情報を得るために人気Youtuberを頼るしかなくなるのである。自分でやりたい事を見つけられない人を「意思が弱い人」みたいに思っていても、いざ他の分野に行くと他人のことは一切言えなくなる。だってわかんないんだもん。
「メイク」は「R&D(研究開発)」である
ちょい昔に、女性におけるコスメを男性におけるカードゲームに喩えたツイートが流行りましたね。
私はカードゲームも昔やってたし、コスメは最近やってるので、共感するところもあった。たしかに「環境(流行り)」とか、「軸」とかは共通する。あと人の「デッキ(メイク)」に文句入れるのはルールやコンセプト理解してないと完全に的外れ、とかもマジでそう。
ただ一方で、正直カードゲームの方がまだ親切というか(ゲームだから当然ではあるが)、メイクの方がやっぱり難しいと思う。だって効果が具体的に書いてなくて、何と何がシナジー起こすのかわかんないし、そもそもデッキに必ず含めなければいけない「自分の顔」とかいう固定要素があるせいで他人の構築理論が通じないのよ。
ゲームはすべて数値のやり取りに還元されるので、効果がいずれも具体的に示される。ダメージをいくつ与えるのか、毎ターン効果が発動するのか、ダメージを受けた際に効果が発動するのか、ダメージをいくら回復するのか、回復を超えて最大HPを上げるのか、ゲームの中ではそれぞれの効果を厳密に比べて駆け引きができる(だから楽しい)。
■コスメデッキ構築バトルの始まりだ
ではここで、私が愛用している「MAQuillAGE ドラマティックスキンセンサーベース」表側攻撃表示で召喚し、その効果を読み上げよう。
これをカードゲームのカード効果として読むとどう思うだろうか?
まず一行目に「無敵」とある。
無敵だ。つまりこれを使えば負けることは絶対に無い。
勝った。俺はメイクというゲームに勝った。終わりだ。
お前はもう負けている。サレンダーしろ。
馬鹿め、俺のターン、ドロー!
トラップカード「化粧崩れ」発動!
貴様のカードは「13時間化粧もち」の効果により
自動的に崩れ落ちる!俺が手を下すまでもない。
さらに!
トラップカード「効果には個人差があります」!
貴様の肌にはあちこちに毛穴がある。
そこに化粧下地が溜まり、斑模様になる!
貴様の肌は無敵どころか隙だらけということだ。
サレンダーするのはどっちかな……
ククク、ターンエンドだ!
はい。
お分かりいただけただろうか?
まずもってカードゲームで「無敵」なんて書いたらバカである。この時点でゲームが崩壊しているが、それはまぁフレーバーテキストの類と思ってほしい。実際、化粧品の広告なんて全部フレーバーテキストでしかない。
実際の効果だが、これは化粧下地のため、化粧持ちを良くする、つまり時間経過で下がってしまうコスメ攻撃力の持続時間を長くするアイテムだと想像することができる。序盤に使うことで最大の効果を発揮するカードだ。
だが、「効果には個人差」があるのだ。カードゲームで「効果には個人差」とか書かれていたらどう思うだろうか?発狂である。そんなゲーム誰がやるか。不公平じゃないか。そうなんだ美容は不公平から始まる。なんで俺の顔はこうじゃないんだ。なんで俺のメイクはこうならないんだ。許せん。その怒りを胸にメイク動画やらコスメの宣伝を見ては、一旦それを信じて「これで俺も無敵!」と思って試して、全然無敵じゃないやんけ!!と投げ捨てる、その繰り返しである。
以上でわかったと思うが、つまりコスメはカード効果がまったく明示されないままシナジーを考えるゲームなので、いろんな化粧品を買っては試し、またいろんな人の使った意見を聞いては取り入れ、とにかく成果が出るかどうかよくわからん事を試すしか無い。
つまりこれは、むしろR&D(Research and Development=研究開発)に近い、というのが私の感覚だ。
私は仕事でゲームサウンドの研究開発に携わってきたが、専門外の人が単に「音を鳴らす」と一言で済ます要素の中に、どんな音量・パンニングで、どのような優先度で、全てが同時に鳴ってもうるさくならないように、重要な効果音がしっかりとユーザーに聴こえるように、すべてに意図を込めてデザインしている。そして、ユーザーからは「気持ち良い」とか「遊びやすい」と言われたら御の字。外からはそんな苦労はまったく見えないのである。
メイクも同じように感じる。「メイクをする」と一言で片付けられ、メイクをすると別人になれるだとか、ナチュラルメイクに対してメイクしてないだとか、外からは何にも見えていない言説がまかり通っている。だがメイクをする人はそれぞれが自分に合ったメイクの量、乗せ方、順番、どの場所にどの色をどれだけ配置するかのデザイン、それを馴染ませて違和感を消す方法、アクセントとしてしっかり見せるポイントなど、すべてに意図を込めてデザインしている。そして会った人から「キレイ」とか「似合ってる」と言われても、その苦労の全てが見えることはない。
自分のやってるメイクはそういうレベルに達しているわけではない(自分は他人の研究結果を真似してるだけ)のだけれど、例えばダストちゃんの動画とかは毎回「これほぼ研究開発だろ……」と思って見ている。
↑の動画は40分弱あるから、生半可な気力では全部見れないが、
・おばあちゃんに昔のメイクを聞き取り調査して
・自分で再現実験して
・それを提案手法により改善できることを実証
ってもう完全に研究発表の手順ですよ。
やらないとわからないメイクの奥深さ
メイクとは単純化すれば、自分の顔の上で「理想の顔」の絵を描く行為だ。理想の顔をイメージしてメイクブラシを自分の顔に向けて自由に操って陰影やグラデーションをつけていく。これだけでも十分に神業なのだが、その手前でぶつかる問題がある。
人間の顔は白い紙ではない、ということだ。
■ベースの肌を作るために何重にも塗り重ねる
先程カードゲームにたとえて紹介した「化粧下地」はいわゆる「ベースメイク」にあたる部分で、ベースメイクは肌を「白い紙のように色を乗せやすい状態」に準備する意味がある(上手い人はこの時点からグラデーションを意識して塗ったりするが初心者の話なので置いておく)。
欲しい結果はごく単純に、「白くて均一な美しい肌」である。白が絶対的に美しいかどうかって話はしていない。俺は白がいいんだ。
メイク完全初心者の男性諸君にはまず「BBクリーム」というアイテムを紹介したい(メイクわかってる皆さんは生暖かい目で見てほしい)。
とりあえずこれが1本あれば「俺もメイクしてみたんだよね」と言い張ることはできる。私が最初に使ったのは雪肌精のものだった(これがオススメってわけじゃない、何が良いかは私以外に聞いてくれ)。肌に塗ると以下のような効果がある、と書かれている。
まず、メイクを全くしない人は「美容液」「乳液」「クリーム」の違いとか「化粧下地」「ファンデーション」「コンシーラー」の違いとかは何もわかってない。そもそもそんな用語の存在も知らない。メイクする人からしたらバカみたいに思われるかもしれないが、事実私がそうだった。
だから↑のように書かれても何が嬉しいのかまったくわからないだろうから、カードゲームで説明すると「エネルギー」「リサイクルエネルギー」「コーティング鋼エネルギー」「ストーン闘エネルギー」さらに「たねポケモン」「進化ポケモン」全部の要素を1枚出すだけで揃えるというチート性能を謳っている、というわけだ。もし本当にそうならもう誰もこのゲームをプレイしない。終わりです。
だが終わらなかった。私はベースメイクをしばらくBBクリームで誤魔化していたが、ニキビ痕の赤みは消えず、化粧が崩れて「頑張って隠そうとしたけど隠せてない」様子が見えて大変にダサかった。
もちろん「効果には個人差がある」ので、元から肌がそれなりにキレイであれば、BBクリームだけで透明感のあるナチュラルな“すっぴんメイク”が完成する人もいるんだろう。
しかし私にその効果は出なかった。躍起になってBBクリームの上にファンデーションを重ねて赤みを隠そうとしていたが、後に相談したBA(ビューティーアドバイザー)さんに「油分の上に油分を重ねるのは良くないですね」と冷静に指摘された。何も知らなかった。油の上に油を重ねると滑ってメイクがヨレるとかいう事を考える能力すら無かった。
もうコスメのフレーバーテキストを無心で信じているだけでは救われない。「自分の顔」という条件を知って、その上に何をどのような順番でどれだけ塗れば良いのかを知る必要があった。調べた結果として前章で紹介した7つのベースメイク(化粧下地、プライマー、コントロールカラー、ファンデーション、コンシーラー、プレストパウダー)を全て組み合わせて使うようになった。BBクリーム1本の頃から考えると隔世の感がある。
しかし、なぜ7種類ものアイテムが必要なのか?私はただ「キレイなベースの肌」という1つの結果が欲しいだけなのに。
これを理解するために、私は独自に「地球モデル」と呼ぶメンタルモデルを作り出した。「肌」と言ったときにそれは何か一つのもの、なにかのアイテムを使うと一つの結果が得られる、と言葉の上では想像されてしまうが、実際には、「肌は地球」なのだ。
■メイクは「地球レベル」で考える
この発想に至ったのは単純にニキビ痕の事が「クレーター」と呼ばれていたからだ。私の肌には大変残念ながら大きなクレーターが残っている。これをメイクで可能な限り隠すことが目的になる。
なので、メイクもただ「塗る」と考えず、「クレーターが数多く残る天体に、宇宙から大量の液体・粘体を流し込む」イメージをする。するとどうだろうか。雑に塗るだけではクレーターがあちこちで湖を作り、またファンデーションの海が雨風によって荒れる様子が想像できる。
そのため、まず下地によって最下層の地面から湧き出す水(※汗や皮脂)を抑えたり、水分が少ない土地に潤いを与えたりして均一な環境にする。さらにプライマーでクレーター(※ニキビ痕)を事前に塞ぎ、赤い大地(※これもニキビ痕)にはコントロールカラーで赤を打ち消してから、可能な限り均一な平野に対してファンデーションを一定の力で上から塗布する。強すぎたり左右に動かしたりするとファンデーションの丘が新たにできてしまう。最後にどうしても消せない山脈や海溝(加齢によるシワ)の影側にだけコンシーラー(明るい色)を乗せて陰影を打ち消す。
このように考えると、メイクの手順一つ一つが工夫や技術を必要とするものだとイメージしやすいのではないだろうか。
本当にそんな事やんの!?シリーズ
他にもメイクの勉強してて苦労した事はたくさんあるけど、全部解説してたら長くなるので端的に驚きポイントだけ紹介していく。
■まつ毛を金属で挟む!?「ビューラー」
これはもう最初本当に「ありえない」って思ったし今でも苦手だけど、この「ビューラー」と呼ばれる金属の器具で、まつ毛の根本あたりを挟んで、それで持ち上げることで、まつ毛をバシっと上向きにします。
慣れてないと確実にまぶたの部分を挟んで「痛い!」ってなる。でも日和ってるとちゃんとまつ毛が上がらないから意味がない。ギリギリを攻める必要がある。っていうか何、現代においてこんな原始的な方法で毎回まつ毛上げてるのヤバくない?
最近はもう慣れたけど、それでも稀に痛い!ってなる。あとこれ+アイラッシュ(まつ毛を太く長くするやつ)をやるとかなり女性っぽさがアップして、他のメイクも同時にレベルを上げないとバランス取りづらいので、自分の場合は気分で飛ばしたりする。
■まつげの間を縫ってアイラインを描く!?
次にアイライン。目の上から横にかけて引く黒いラインのこと。色は黒以外にもたくさんあります。
自分が初期に参考にした動画がだいたい「まつ毛の間を点々と埋めていく」方法でやっていて、これが全然上手くできなくて線がガタガタになってた。多分、自分の目の形とか使ってるアイライナーの種類(ジェルとかリキッドとか色々ある)にもよるんですけど。
後からダストちゃんの動画見て「あっ、目尻側だけ引くのでもいいんだ」って気がついたので、今はそれでやってます。どっちが似合うか、やりやすいかはその人次第なので試してくれ!
■立体感を錯覚させる謎技術「シェーディング」
これはほんとーーーーーに意味がわからなくて、真似しようかと思って同じシェーディング(JUDYDOLL メリハリマスターパレット)買ったんだけど、俺には無理!!ってなって諦めたので自分はやってません。
↓の人、メイク前後で鼻の形別人に見えるでしょ。
何をしているかというと、均一なベースメイクを作った上に、「理想的な顔の形だったらここが影になる」場所に濃い色で影を描くことで、まるでそこが盛り上がったり(あるいは凹んだり)して見えるという事なんですね。何を言っているかわからねーが実際そう見えるんだ。
ここで、メイクしない人にもう一度念を押してお伝えしたいのは、「こういう変身レベルのメイクは誰にでも出来る事じゃなくて、術式反転(レベルの技術)を会得した限られた術師にのみ可能」という事です。メイクしてる奴は皆これくらい変身してるから怖い、みたいな事思う必要は全くないから。
何が難しいかっていうと、もちろん立体的に見せるように影を塗り分ける事自体が超技術なんだけど、それ以前に、ベースメイクが完璧に白く均一にできてないと、土台から無理、というのを自分は感じてます。例えば自分は鼻周りがそもそもニキビ痕でシミが残っているから、それを必死にベースで覆い隠している(隠しきれていない)のに、そこに影を入れようとしたら、「隠せていないシミ」なのか「影」なのかが判別できなくて、「ただシミが増えた人」になるんですよ。わかりますか?
この動画の方は、サムネだと敢えてメイク前を汚く見せてるけど肌は自分より圧倒的に整ってるし、その上でベースメイクが完璧で、シミ一つ無いように見えるから「影が乗る」ように描けている。
■奥が深すぎるアイシャドウ
アイシャドウの話始めるとそれだけで1万文字は増えそうなので軽く。
最近参考にしたのが↓の動画なんだけど、自分も少し奥二重ぎみで、どうなるかというと、アイシャドウとして描いた部分がほとんど二重の溝に消えて見えなくなるんですね。
これをプロはどうしているかというと、ちゃんとまぶたの外側に「自然に」広がって見えるように、シャドウをグラデーションにして馴染ませていく。馴染ませる時の筆の動かす方向とか強さとかまで気を配っている。
これはプロがやってるから自然に見えてるけど、素人がやると全然こうはなりません。さっきのシェーディングもそうだけど、まずベースがキレイだから「ここは赤を入れてるんだな」って「意図したメイク」に見えるんだけど、ベースで赤みが消しきれてない人が下手に赤のアイシャドウやると、「大丈夫?目怪我したの?」みたいな感じの打撲痕に見えてしまう危険性がある(ソースは俺)。
メイクだけでは終わらない
メイクの難しさ、感じていただけただろうか。
ただ、メイクだけではいわゆる「垢抜け」た見た目にはならない。ヘアアレンジ、ファッションを含めたトータルな印象を整えなければ、違和感が残ってしまう。
そのため、メイクを始めると同時に、いろいろな事にチャレンジが広がっていった。
スキンケア(伊勢丹メンズで肌解析をしてもらった)
ヒゲ脱毛(美容脱毛を10回以上……まだ終わらない)
ファッションの全取っ替え(後述)
アクセサリ、ネイル(諦め気味)
ヘアアレンジ、ヘアカラー(以下で解説)
とくに髪型は、もともと普通の短髪だったのが、コロナ禍の長期外出自粛を経て髪がめちゃくちゃ伸びたために、レディースっぽくした方が似合うのではないかと考えたことがメイクを始める切っ掛けの一つにもなった。
しかし、ただ髪を伸ばしただけで女性的になるわけではない。ダメージを受けた長い髪は複雑に絡み合い、ドライヤーで乾かすたびにブチブチと音を立てて千切れていき、ボサボサと広がるだけだった。そうやって伸び散らかした自分の髪型を見て誰かに似ていると思った……そう、ピース又吉だ。なぜ俺の髪は黒木メイサではなくピース又吉になるのか。
■男性の「ロン毛」と女性の「ロング」は天と地の差がある
なぜ俺の髪はスルッとまとまらず、ボサボサになるのか?
髪を伸ばしている女性は一体何をしてサラサラを保っているのか?
トリートメントが違うのか、カットが違うのか、そもそも髪質が違うのか?
「トリートメント」くらいは(ホテルにも必ずあるので)男性も知っているだろうが、女性は髪を美しく保つために他にもヘアセラム、ヘアオイル、ヘアマスク、ヘアリペア、ヘアバーム、魔法の櫛やら魔法のドライヤーやらを使っているのは男性にはあまり知られていないだろう。
考えてみれば、髪型というのは「男らしさ」「女らしさ」を自然に再生産する仕組みの中で最も強いものの一つであるように思われる。服やメイクはまだ興味を持てば「試してみる」事が可能だが、髪はまず伸ばすかどうかの時点で不可逆な判断を迫られるため、よほどの決意がなければ美容師や親の「男の子ならこう、女の子ならこう」というヘアアレンジにさせられる。
実際に、美容室のメニューは「メンズカット」のように最初から性別と髪型が対応づけられる形で表示されることが多く、下手するとロングヘア向けのメニューには「レディース限定」などと書かれており、私のように「メンズではあるが、髪の長さもアレンジもレディースの方が近い」という人間が頼むべきメニューが存在しないような事もあった。
髪の長い女の子は、中学生にもなる頃には長い髪のケアやアレンジ方法を知る機会を得るだろう。それに対して男の子はほとんど短髪で、そうした知識を蓄えないまま育つ。当然ながら、長い髪の洗い方や乾かし方、後ろで髪をどうまとめるのか、バレッタはどう使うのか、ヘアアイロンはどう使うのか、何から何まで周回遅れで学ぶ必要がある。
こうした学びを経てからというもの、道行く女性のヘアアレンジを常に目で追うようになってしまった(不審だったら申し訳ない)。今まで「そういう髪型の人」というようにどこかデフォルトの状態に見えていたものが、数多の努力と工夫の結晶に見えてきたのだ。
美意識によって見えてきた女性の社会
メイクも、ヘアアレンジも、やり始めてから視野が広がり、今まで「そうあるもの」として見えていたもの、すべてに意図や努力を感じることができるようになった。メイクに使う道具一つ、使い方一つずつに工夫があり、単にキレイかどうかという一軸ではなく、何を目指しているのかという意図が含まれる。
私がやると違和感が出るアイラインをどうやって自然に見せているんだろう?私がやると崩れてしまうベースメイクをディズニーランドで何時間も動き回りながらどうやって維持しているんだろう?誰に(友達に、パートナーに、社会に、そして自分自身に)どう見られたいのか。それをどんな手段でどこまで手間暇かけて維持するのか。
そういう事全てに尊敬を抱くようになる。それを知らない人には、(やるやらないは別としても)これだけ奥深い世界なんだ、ということを伝えたい。
また、自分の見た目を気にするようになって、自分自身の気持ちにも変化が現れた。
■金よりも時間がかかる
美容のコストを示す上でコスメの金額は取り沙汰されやすいが、正直な所、よほど高級なものを使ってない限り、商品の金額よりもそこに費やす時間に対する価値のほうが圧倒的に大きいと思われる。
もし毎日出社するために美容しなければならないとすると、私のやり方でもメイク30分強、スキンケアやヘアケア30分弱で1時間は可処分時間が消える(私はリモートワークなので半分助かっているが)。人によってはもっとかかるだろう。
1時間、とはいえ「毎日の可処分時間」に対しての比率では重い。労働や家事も含めて、平日の可処分時間なんて3,4時間あれば良い方の現代人にとって、その1/4なり1/3が美容に注がれるのは(無駄ではないとしても)相当なハンディキャップである。
■ガサツが許されない
着飾るということは、自分を一種の作品として構築していく事になる。しかし「自分」というこの作品は、ライトを浴びて展示されるためではなく、同時に動いたり食べたり、生きていくための主体でもある。そうすると、自分が今まで何の注意もなく行ってきた様々な「ガサツな行動」が、すべてその作品を破壊する危険性と隣合わせである事に気がつく。
ティッシュで鼻をかむこと。自分は特に鼻まわりの赤みをコンシーラーで隠しているので、これが拭き取られると途端に赤みが浮き出る。
汗をかくような運動。汗などでメイクを土台から破壊してしまう。
咄嗟の素早い動き。髪を後ろで束ねていたり、ヘアアクセサリーをつけていると、それらが落ちていったりして形が崩れることがよくある。
食べ物をガツガツ食べる。キレイな衣服や、メイクで整えた口周りが汚れてしまうから、食事一つ取るのにも今まで以上に気を遣う必要がある。
このように、自分自身が一つの作品になっている状態では、「生きる」と同時に「作品を守る」という意識が自然と伴うようになる。もちろん、崩れたらそれを修復することも必要になる。すると、自分を大切に生きる、という姿勢へとつながる。
自分を美しくする、という行為は、他人のそうしたストレスを感じることができるようになると同時に、自分自身もそうしたストレスに向き合う必要性が出てくるのだ。
■「垢抜け」という言葉による抑圧
そんな勝手にストレスを抱えるなら、やらなければ良い、と思うかもしれない。実際、多くの男性はそんなことをしていないのだから。
しかし、そこに「垢抜け」というワードが持ち込まれる。メイクやヘアアレンジの情報をインフルエンサーから得ていると、頻繁に「垢抜け」るための情報に遭遇する。
「垢抜けたね」と言われ(褒められ)ることは、喜びであると同時に、そうなれないと女性社会で高い地位を得られない、という焦りや劣等感を生み出している、かのようだ(私は女性社会を参与観察したわけではないので、これは単なる推測でしかない)。
「垢抜けていない」状態とは、つまり「垢」がついている状態。想像上のそうした判定を乗り越えなければ、何か汚いものとして見られるという不安感を植え付けられてもおかしくはない。
これはかなり恐ろしいことであろうと、後からそこに参加しようとした私は感じた。男性はある意味ずっと汚いものとして扱われている向きもあるが、そこから這い上がり「垢抜ける」方法が存在すると仮定されている世界では、「早くそこから出ろ」と言わんばかりに様々な美容アイテムやファッションなどが提示され、「これを手に入れると救われ、手に入れないと貶められる」との圧力をかけてくるのである。
美容系のインフルエンサーが出す動画のサムネイルで実に多いのが、
左側に「垢抜けてない」見た目でその上にバツ
右側に「垢抜けた」見た目でその上にマル
その対比によって、左側の見た目が自分だと感じる人の尊厳を一瞬で破壊し、購買行動へとつなげるネガティブなモチベーションを生み出す。
自分から見ると、はっきり言って「左の人も十分オシャレだよ!!」と思えるくらいの普通のヘアアレンジやファッションが全否定の道具にされているのは見るに堪えず、できるだけそういう人のコンテンツは避けている。が、残念ながら全く避けきれないくらいそういうのが多い。
こういった変化を実際に体験することで、メイクをする多くの女性から見えている世界、その大変さも、面白さも感じることができた。メイクをしない多くの男性にもこの事が少しずつでも伝われば幸いだ。
後編へ
長くなったので後編は以下の記事に分割した。
今度は視点を変えて、そういったメイクや身だしなみが「求められない」男性はどんな世界で生きているのか、それは女性と比べて、良いのか悪いのか(そんな単純な話じゃないよね)、という事を整理していく。
記事サムネイル:UnsplashのElement5 Digitalが撮影した写真