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【現役フリーランスに聞いてみた#07】週末はDJ&ハンターとして活動中のゲームエンジニア

※本記事は、ギークスマガジンにて2016/03/11に公開した記事です。

読者の皆さんは、“フリーランスエンジニア”という言葉からどんな働き方をイメージするでしょうか?今「フリーランス」の働き方が注目されています。中でも、専門技術職であるエンジニアは、この働き方がマッチする職種です。

しかし、まだ実態を知れる情報は少ないのが現状です。フリーランスを目指すエンジニア、悩んでいるフリーランスエンジニアにとっては、リアルでもネット上でも「先輩」を探すのは難しいですよね。

今回は、現役フリーランスエンジニアにインタビュー。なぜフリーランスを選んだのか?何を乗り越え、何に気付いたのか?そして、この先何を目指すのか? 「先輩」たちの生の声をお届けします。

今回のフリーランスエンジニア K.Kさん

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平日はフリーランスのゲームエンジニアとして働きながら週末はクラブDJの活動を行い、各地で開催されるツアーにも参加しているK.Kさん。ここ最近は趣味で狩猟を行っているため、冬の週末は山に出かけるという生活を送っています。フリーランスエンジニアに転身して成功した事例や、ゲームエンジニアに求められるスキルについてご紹介します。

ゲーム制作とDJ活動を両立させるために

昔からゲームが大好きで、幼少期はアーケードゲームやファミコンで遊んで過ごしていました。小学校の卒業文集に書いた将来の夢は「ゲームプログラマー」と「スナイパー」。まさか自分が子供の頃になりたかった職業に就くとは思ってもいませんでした。プログラミングに触れたのは中学生時代。授業ではパーツを基板にはんだづけしてBASICが動くパソコンを作り、10文字程度が表示される液晶画面でアドベンチャーゲームを作りました。

プログラミングを専門的に学ぶためソニー学園湘北短期大学に進学。パソコン向けゲームの老舗メーカーでる「アートディンク」に就職してからはプログラマーとしてゲーム作りに没頭する毎日。シミュレーションゲームやロールプレイングゲームの開発を担当し、仕事が楽しくて月間400時間くらい働いていたそうです。

ゲーム開発に情熱を注ぐ傍ら、クラブDJとしての活動も始めます。平日の夜にクラブに行った翌日は眠気で仕事がはかどらない日もありました。徐々にDJの仕事も増えていき、会社員との両立が難しくなったことからフリーランスになることを決意しました。

「エンジニア歴は20年ほどになりますが、社会人2年目くらいがエンジニアとして一番輝いていた時期でした。新しい技術をものすごい勢いで吸収していき、技術力は会社の中で一番だったのではないかと思うくらい無双していた時代です。フリーになってからは自分ができることの幅がどんどん広がっていき、ゲーム制作もDJ活動も思いっきり楽しめるようになりました。」

フリーになって生きる力が強くなる

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サラリーマンであれば自分のお給料に疑問を感じる瞬間がありますが、フリーランスは自分で受注案件数をコントロールすることができるため、複数の案件を受け持つことでその分収入も増えていきます。K.Kさんの場合、フリーランスになった直後の収入は会社員で働いていたときのお給料の約1.5〜1.7倍となり、その後の収入も右肩上がりで増えていきました。

一方でフリーランスになれば、確定申告や契約に関する法律の確認などすべて自分で行わなければなりません。会社員のときよりも自ら調べてやらなくてはいけないことが増え、社会の仕組みに自分がいるという感覚を持つようになりました。さらに、一つの会社に属している訳ではないため、仕事を通じて知り合った方々との付き合いも大切。対外折衝能力や自己プロデュース能力が鍛えられていき、「生きる力」が強くなったと感じています。

「フリーランスの働き方について教えてくれる友達がいなかったら、こういう世界があることを知ることはなかったかもしれません。会社員を続けていたら、今ほどの報酬は得られていないと思います。今は趣味の時間も充分に確保して、やりたいことをやりながら働くことができています。フリーになってからはクライアント先での常駐案件や自宅で作業できる受託案件など、様々な契約形態を経験してきました。案件を探す際に複数のエージェント利用を検討しましたが、面談前の対応や担当者の方とのやり取りなど、geechsが圧倒的に良かったです。さすが「働きがいのある会社ランキング」にランクインしているだけのことはありますね。」

ゲームエンジニアが評価されるポイント

これまでにゲームデザインからディレクション、プログラミングまで、ゲーム制作に関わる業務全般を担当してきました。かつては業務系や金融系のシステム開発も経験したことがありますが、仕事内容を比較すると、ゲーム制作におけるエンジニアは7〜8割がプログラミングの仕事となります。

そして、ゲームプログラマーとして最も評価されるポイントは、”結果を出すことが速い”こと。なぜなら、触り心地を追求しているゲームの制作現場ではプロトタイプが出来るまでにかかる時間を短縮し、スクラップアンドビルドをどれだけ繰り返せるかでゲームの完成度が左右されます。プログラムの正確性は二の次という考えであり、プログラムが完成するまでの速さを何よりも重視しています。

「フリーのゲームエンジニアのスキルで求められることは、とにかく考えたものを動かせるまでにするスピード。ある程度運用フェーズが見えてきた案件であればスピードを保ちつつ、メンテナンス性を上げるために綺麗なコードを書く意識を保つようにしています。ただ、僕の場合はプログラムを書き始めてから30年ほどになり、日々訓練していることから意識しなくても綺麗なコードを書いていると思います。」

動けば動くほど運が開ける

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ロールプレイングからアクション、シュミレーションまで、ジャンルのこだわりを持たず案件をこなしてきました。コンシューマーゲームもスマホゲームも、ゲームが完成するまでの作業の流れは大きく変わりません。もともとゲーム好きということもありますが、ゲームを作ること自体が純粋に楽しいと感じています。何より開発に携わったタイトルのクレジットに自分の名前が載っているのを見たときは大きなやりがいを感じ、モチベーションアップに繋がっています。

エンジニアとDJの仕事以外には木や森、山が好きで、冬の間は山にでかけて狩猟を行っているK.Kさん。捕った獲物は自ら解体・調理し、野生の鹿や鴨などの食材を使った「ジビエ料理」を楽しんでいます。フリーエンジニアの仕事を続けていくからには今後もゲーム制作に携わって行く予定ですが、新たな挑戦として森林環境や自然環境の保全・再生を学べる大学への進学を考えています。

「本気でやりたいことがあるなら、動くことでしか結果は得られません。会社員からフリーランスになったときも、今と同じような感覚がありました。自分から動いていけば、棚からぼた餅のような感じで自然と望んでいたことがやってくるはず。アクティブに動けば動くほど、必ず運が開ける日が来ると思っています。」

<取材後記>
フリーランスのエンジニアに転身して成功した裏側には、辛い経験もありながら「やりたいことを実現させるためには自ら動くこと」という教訓を得ました。これまで20年間はゲームエンジニアとして走り続けてきましたが、これから先はまったく別の道を歩む選択肢もあるかもしれません。何事にも前向きな姿勢がとても印象的でした。K.Kさん、取材撮影にご協力いただき、本当にありがとうございました!

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