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【現役フリーランスに聞いてみた#02】消費するように過ごした3年間を覆す!性格と人生を変えた”フリーランス”としての半年

※本記事は、ギークスマガジンにて2018/01/23に公開した記事です。

読者の皆さんは、“フリーランスエンジニア”という言葉からどんな働き方をイメージするでしょうか?今「フリーランス」の働き方が注目されています。中でも、専門技術職であるエンジニアは、この働き方がマッチする職種です。

しかし、まだ実態を知れる情報は少ないのが現状です。フリーランスを目指すエンジニア、悩んでいるフリーランスエンジニアにとっては、リアルでもネット上でも「先輩」を探すのは難しいですよね。

今回は、現役フリーランスエンジニアにインタビュー。なぜフリーランスを選んだのか?何を乗り越え、何に気付いたのか?そして、この先何を目指すのか? 「先輩」たちの生の声をお届けします。

今回紹介するフリーランスエンジニア 小野さん

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大学で情報工学を学んだのち、2011年に新卒入社で福岡のソフトウェア会社へ入社。同社で6年間勤務し、個人のフリーランスや請負会社とのやり取りも経験しました。ギークスの「初めてのフリーランスセミナー」に参加したことをきっかけに、2017年5月からフリーランスとしての活動を開始。独立後開設したTwitterアカウントやブログでは、働き方についての情報発信を積極的に行っています。

プログラミングが面白くなかった大学時代。その楽しさに気付いたきっかけ

小野さんは現在29歳。物心がついた頃にはパソコンが身近にある世代です。パソコンやインターネットに触れるうちに「なんとなく面白い」と自然に興味が沸くようになり、その興味に従い、大学もプログラミングを学ぶ情報工学科へ進学しました。

しかし、大学の頃は、プログラミングを面白いとは全く思えなかったそうです。とはいえ、小野さんが就職活動に入る頃、世はリーマンショック後の就職氷河期。「手に職をつけよう」と大学での学習が生きるエンジニアとしての就職を選びました。

「中小規模のソフトウェア会社への入社を決めました。でも、正直面白くなければやめてしまおうとも思っていたんです。業界研究も不十分だったので、ソフトウェア会社に就職すれば、皆が使うようなWebアプリケーションや流行のスマホアプリを作れるのかなと思っていて・・・。実際には業務系基幹システムの開発をメインに扱う会社でした。」

入社当時、想像と現実のギャップがあった小野さんですが、意外にもその後プログラミングに魅了されていくことになります。

「大学のときは、プログラムを習得することが目的になっていて、”作りたい何か”がなかったんです。単純な『勉強』になっていたので面白みが分からなかった。でも、就職してからは、”皆でこういうものを作ろう”という完成品に目的があり、そのための手段としてプログラムを組むことになります。その過程でプログラミングの面白さに気付いていきました。」

ソフトウェア会社で6年勤務。「ずっとこの会社にいるのだろう」と思っていたが・・・

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プログラミングに魅了された小野さんは、同企業で6年勤務することになります。正直忙しい環境ではあったようですが、特別不満があったわけではなく、この会社に勤め続けるのだろうと感じていました。しかし、ある日突然体調を壊し、会社に行くことができなくなってしまいます。

転職や独立を検討したわけではないタイミングで、自分にとっても突然の退社。しかし、これがフリーランスとして歩みだすきっかけになります。退職直前に、会社での人間関係のしがらみに疑問を抱いていたために、「次は会社員ではなく、フリーランス」と自然に独立の選択肢が浮かびました。

「社会人になり、初めて一緒に働いた方がフリーランスだったんです。その方がすごく活躍されていて、フリーランスでも生活していけるイメージできるモデルケースがありました。その後も6年間の中でフリーランスエンジニアの方と数名関わっていたので、フリーランスという働き方が特別なものではありませんでした。

また、格段にハイスキルでなくてとも、コミュニケーションがとれ、業務が遂行できれば、きちんと評価がもらえるということも理解していました。私自身もフリーランスの方をそのように評価していた立場でしたし、逆の立場でもできるんじゃないかなと挑戦することを決めました。」

独立後はじめたSNSによって、価値観が醸成

小野さんはフリーランスとして活動をはじめると同時にSNSを始めました。始めはTwitterから、今ではブログも書いています。

「独立する前は割と内向的で自己否定が強いタイプでした。SNSも“知人にアカウントばれたくないなぁ”とか、人目を気にしていました。でも、そういう固定観念も変わりました。ブログやSNSを通じてエンジニアに限らず出会いがあり、そこから仕事に繋がることもあったんです。きっと自ら発信していなければ、そんな機会もなかったと思います。」

さらにブログを通じて、仕事をしているだけでは出会えないような人達との繋がりが生まれました。旅をしながら旅先を取材することで収入を得ている人、日本中に移住を繰り返して生活をしている人、様々な人との出会いが小野さんの価値観を豊かにしていきました。

止まっていた時間が動き出したー人生が変わっていく実感がある

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以前からフリーランスに馴染みのあった小野さんにとって、独立後の待遇や環境などに大きなギャップは感じなかったようです。特に常駐型フリーランスは、クライアントの現場に通い開発チームとともに作業を進める性質から、会社員時代の差異が小さい働き方です。

しかし、フリーランスになると正社員の頃より手続きの処理などが増えます。小野さんは、自分の時間を事務処理でなく本業に時間を割くため、手続き処理を代行してくれるメリットもあり、エージェントを利用した常駐型フリーランスを選択しました。

働き方に大きな変化はなかったものの、自分自身の意識には変化があったといいます。

「フリーランスは、勝手に仕事が降ってくるわけではないので、自分が常に世の中のサービスや技術にアンテナを張っている必要があります。同じ組織で同じ仕事を続けていたときとは段違いに周囲のことに敏感になりました。

それは個人事業主=経営者としての自覚が芽生えたからだと思います。年収が半分になるのも、倍になるのも自分次第だと思うと、どんどん新しいことに挑戦したいと、欲が出るようになりましたね。」

フリーランスとしての生活を充実させている小野さん。彼が独立して最も良かったと感じている点は「人生が変わっていく実感があること」だそう。

会社員として働いていた後半3年間は、ただただ消費されていくように、新しい挑戦も変化もない日々を繰り返す毎日。だんだんと思考も鈍化してしまい、自分で何かしようにも仕事が終わる時間は遅く、自由な時間の確保も難しい状態でした。

「フリーランスになってからの半年は、私にとって2、3年位に感じるほど充実していました。止まっていた3年間をとっくに取り返すぐらいに。まるで、ずっと渋滞にはまっていたところに、突然新しい道ができて、そこを走り抜けているようです。」

時間の使い方にも変化があり、今は昼間は常駐型フリーランスとして仕事をしたあと、夜は自己投資の時間を作っているそうです。

働き方改革を体言していきたい

自分でも意図せずにフリーランスになった小野さんですが、今後の目標は”働き方改革を体現する”こと。そのために、色々な働き方を経験したいと今後はリモートワークに挑戦する予定です。将来的には現在エンジニアリングをしながらブログで執筆活動をしているように、パラレルワーカーとして複数のスキルを手に入れた働き方を実践していくことを目指しています。

しかし、この先もエンジニアではあり続けたいと考えています。

「何かサービスを作りたいと思ったとき、すぐに実現できるのはエンジニアだけだと思うんです。だから、自分がやりたいことを実現できるエンジニアになりたいですね。今はスキルが追いついていない部分もありますが、作りたいサービスのアイディアやイメージはあります。最近では個人が作ったサービスを企業が買い取るというケースもたくさん出てきています。

そうした面も含めて、エンジニアという職種の可能性は、やっぱり無限大です。だから面白い。もし、コードを書かなくなってもモノづくりは一生続けていたいと思います。」

働き方を変えることによって、環境を変え、性格を変え、人生を変えた小野さん。最後に「フリーランスは収入の高さが注目されがちだけど、それ以上のものを得ることが出来る」と語ってくれました。自分の人生を語るその声には、自分の未来を信じる強い意志が込められていました。

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私流フリーランスエンジニアの3つの教訓

■ 発信することで新しいチャンスを掴むことが出来る
小野さんは、SNSを使って発信を行うことで自分の仕事に繋げています。「未経験だが今後Rubyを習得したい」という内容を発信したことをきっかけに、「学習しながらでも構わない」とRubyの開発案件の紹介をうけたこともあるようです。こうしたチャンスは発信なくして得ることは出来ません。ただし重要なのは「未経験であってもやり遂げてくれる人物であろう」と、これまでの仕事ぶりや継続した情報発信によって信頼を獲得できていたこと仕事を完遂するスキルを前提に発信力を高めていき、挑戦する機会が舞い込みやすい状態を作りましょう。
■ 変わらない毎日に疑問を感じたら、立ち止まって考えてみる
目的意識や向上心を失った生活を続けていると、人間の思考は鈍化していきます。小野さんは、変化のない消費された日々について、体調不良による休暇をきっかけに振り返りました。しかし、「このままでいいのか」という違和感を感じた段階で、立ち止まって考えてみるといいでしょう。自分の希望や理想は何か、それにはどんなアクションが必要か、今の環境で理想を叶えることやアクションを実行することは可能か。自分の中に生まれた違和感を放置せず、目的意識を持って生活することで成長に繋げられるかもしれません。
■ 自分の時間の活用方法を、判断基準に持つ
多くの会社では分業が行われ、社員は自分の本業に専念することができます。しかし、フリーランスであれば経理や法務に営業など仕事に関わる全ての責任が自分にあります。だからこそスキル、資金、時間など自分の持つリソースを適切に配分することが重要です。自分の時間やスキルを有効に使うため、利益を生まなかったり手間が掛かったりする業務は、お金を出して代行するのも手。全て自分の責任ですが、全て自分で決断できる自由があるのもフリーランス。自分にとってもっとも有効なリソース配分をするため、コストの高低意外の判断基準を持つと良いでしょう。

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