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【現役フリーランスに聞いてみた#05】独立2年目で気付いた、現場でバリューを出す戦略

※本記事は、ギークスマガジンにて2017/03/07に公開した記事です。

読者の皆さんは、“フリーランスエンジニア”という言葉からどんな働き方をイメージするでしょうか?今「フリーランス」の働き方が注目されています。中でも、専門技術職であるエンジニアは、この働き方がマッチする職種です。

しかし、まだ実態を知れる情報は少ないのが現状です。フリーランスを目指すエンジニア、悩んでいるフリーランスエンジニアにとっては、リアルでもネット上でも「先輩」を探すのは難しいですよね。

今回は、現役フリーランスエンジニアにインタビュー。なぜフリーランスを選んだのか?何を乗り越え、何に気付いたのか?そして、この先何を目指すのか? 「先輩」たちの生の声をお届けします。

今回のフリーランスエンジニア Tさん

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新卒でSIerに入社し、その後複数のWeb系広告企業を経由。社会人5年目に起業をきっかけにフリーランスへ。現在は、フリーランス2年目。都内のベンチャー企業の開発案件に常駐しながら、自社のプロダクトの開発にも尽力する。

きっかけは“流れ”!?それでもフリーランスに挑戦できたワケ

Tさんが会社を独立したのは、社会人5年目であった2015年目の春でした。最初から独立志向が強かったわけではなく、エンジニア駆け出しの時代は“技術を極めていきたい ” という想いが強かったそうです。実際に独立したときも、自分の強い意志があったわけでないと言います。

「私は同僚2人と、当時勤めていたWeb広告会社を辞め、3人で起業しました。はじめから独立に積極的であったわけではなく、広告業界の課題について議論していると彼らと意見が合致したんです。二人が『私達の思う課題を改善していけるような会社を創ろう』と言うので、「面白そうだから流れに乗ってみるか!」と誘いに乗る形で独立しました。」

とはいえ、独立にはリスクが付き物。Tさんが、この挑戦に踏み出せた背景にはエンジニアとしての自信がありました。

「正社員のころから、“一目置かれる存在になろう”と常々意識をしていました。一社目は、新しい技術の採用にあまり積極的ではないSler企業でしたが、それでも新技術や他の人が触っていないような技術を独学で学んでいました。導入ができなくても知識がある、話せるということが重宝され、評価されることがあります。他社の方から、そういった点を認めて評価頂くお言葉を頂いたこともありました。だから、ある程度自分の力で食って行ける感覚値があったんです。」

3人での起業とはじめての壁

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Tさんは元同僚たちとエンジニア派遣業と自社プロダクトの開拓を行なう企業『グロースハックスタジオ』を創業しました。創業メンバーの3人はそれぞれた違う職種。広い人脈を持つメンバーが営業活動を行い、エンジニア職のTさんが開発業務を行なう、というように得意分野を生かしたチームワークを発揮していきます。

しかし、最初の壁にぶつかります。初めて行なう自力での営業は、取引先開拓に交渉など不慣れなことが多く、上手くいかないことも多かったようでした。また、自社プロダクトの開発や導入についても思うように進まず、悶々とする日々。しんどい時期も乗り越えられたのは、他でもない一緒に働くメンバーの存在が大きいといいます。

「3人いれば解決できるだろうと、ある程度楽観的に捉えることができました。それに、自社開発以外にもコンサルティング案件などその他の案件で収入を確保できていたので。」

収入源を確保できていたこと、仲間がいたことがTさんを支えてくれました。

そして、2016年春、今後自社プロダクトを開発していくための資金とフリーランスエンジニア同士の繋がりを求めて、フリーランスエンジニア専門エージェント“geechs job”を利用し始めます。

正社員のうちに準備しておけばよかった…

エージェントを利用すると、すぐに案件を得ることができました。エージェントを利用するにしろ、自力で営業活動を行なうにしろ、Tさんの思うフリーランスエンジニアの大きなメリットは“案件を選べること”。案件選び、営業活動を行なう上で、“スキル・経験の棚卸し”を正社員のうちにしておくべきだったと振り返りました。

自分に合った案件を選ぶ場面で、棚卸しができていないと上手く判断ができません。正社員のときは、会社の用意するレールやキャリアプランがあり、あまり振り返る時間を意識してとることもありませんでしたが、フリーランスなら、よりこの作業は重要だと思いますね。

棚卸しをすることで、この先自分が何をしたいのかも再確認できたようです。ずっとJava言語を扱っていましたが、Scala言語の案件にチャレンジしたいと具体的なプランも見えてきました。」

「商談の場では、フレームワークのバージョンなど、意外と細かいことも聞かれるのでより詳細に棚卸しする必要がありましたね。」

2つの案件を経験し、見つけた自分のフリーランス戦略

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エージェントに紹介された一件目の案件では、プラン通り、Tさんにとっては挑戦であるScalaを使った開発に携わりました。しかし、現在2件目では、また経験年数の長いJavaを扱う案件に参画しています。そこには、Tさんなりのフリーランスとしての戦略がありました。

「もう一度得意分野のJavaで勝負したいと思いました。経験の浅いScalaを使う案件への参画は、チャレンジングではありましたが、自分が現場でバリューを出せないことで悶々とすることもあったんです。その経験から、まずは自分の得意な技術で戦い、そこから挑戦する範囲を広げていくことにしましたやはりフリーランスに求められるのは、即戦力。参画して早々にコミット感をアピールすることが現場にフィットすることにも繋がることを、経験を通し実感しましたね。」

2件目の営業活動を行なう際、担当エージェントは「Scalaの経験を生かし、十分に案件紹介ができる」と言いましたが、Tさんは自分の経験と学びから、得意領域に立ち返ることを選択しました。

「エージェントの方に相談に乗ってもらえることは、とても有難いので、参考にしています。しかし、自分で案件が選べることがフリーランスのメリット。自分の本当にやりたいことなのか?やりたいことができるのか?自分の意思は大切にするようにしています。」

結果を出し、信頼を勝ち得ることでまたチャンスも回ってきます。着実にキャリアアップをすることをTさんは選びました。しかし、新しく参画する企業の業界は全くの未経験。toBサービスからtoCサービス、企業フェーズもこれまで以上に成長速度の速いベンチャー企業です。

「業界・業務知識をキャッチアップしなくてはならないのはどの案件も変わりません。スキルセットに自信があれば、そんなに怖いことではないかと思います。自信とは、人にはない強みを持つこと。私にとっては、得意とする技術の周辺の領域も知識やスキルを持っていることですね。自分では自覚がなくても、棚卸ししてみると意外に発見することができると思います。」

いつかは自社チームで開発を。今の挑戦していること

フリーランスとして参画している案件の開発と、自社の業務の両立は、正直簡単ではないよう。オンラインでのコミュニケーションを駆使しながら、自社の業務を行なっています。それでも“いつかは 自社チームでプロダクト開発を行なう”という目標を掲げています。そのために、Tさんはチームビルディングに関われる案件へ挑戦しました。

「今参画している企業は成長段階で、参画開始から一年も経たない間に驚くほどのスピードで、開発チームのメンバーも増えました。開発現場でチームが上手く機能しないことは、大きなストレスになります。いずれは自社チームでの開発を目標にしているので、『チームビルディング』については知っておくべきだと思い、案件の希望条件に入れていました。」

チームの強化のために、クライアントのメンバーとの連携はとても意識しているそうです。自分が気になったことは、管理するメンバーに相談したりと、積極的に働きかけています。

「コミュニケーションをとるときは『HRTの原則』を意識しています。謙虚(Humility) 、尊敬(Respect) 、信頼(Trust)の価値観を大切にすること。チームにはいろんな立場の人がいます。そのそれぞれの方に、尊敬をもって接しなければ成功はないと思っています。」

Tさんもやんちゃでわがままな時期はあったと、苦笑しながら語りました。様々な経験を経て今何より大切にする価値観だと教えてくれました。

私流フリーランスエンジニア3つの教訓

Tさんのインタビューから3つの教訓を得ることができました。

■ロールモデルを見つけよう
Tさんには尊敬するフリーランスエンジニアの先輩がいて、彼をロールモデルとし、「自分ならどうするだろう?」「自分がすべきことは?」と考えることで、課題解決の手がかりにします。しかし、もしもロールモデルがいなければ、暗中模索で探すことになります。その出会いから、フリーランス同士のつながりの重要性に築き、エージェント企業への利用も開始したそうです。
■クライアント、現場のオーナーにバリューを発揮していく
これはTさんも先輩から譲り受けた言葉。現場のオーナーのニーズを捉え、バリューを発揮していくことで働きやすくなるそうです。そのためには、積極的にコミュニケーションをとる必要があります。
■まずは、やってみよう
フリーランスエンジニアを検討している方へのメッセージを伺うと「まずはやってみたらいい」と一言。「やらない後悔よりやった後悔のほうが心理的負荷が低い」と、悩んでいる方へは背中を押すメッセージをくださいました。

最後に、Tさん自身は、フリーランスになったことに後悔はあるか聞いてみました。

「後悔はないです。人は何かを変えたい・良くしたいと思って、新しいことに挑戦すると思います。私も改善したいという思いから独立しました。だから、今がベストの状態だと思っています。」

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