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パリ・オペラ座の日々1993~1994:6月23日 ウィリアム・フォーサイス「Impressing the czar」


6月23日(水)

二人とも風邪の残りという感じで日中はずっと寝続ける。夕方やっとの思いで起きだして、シャトレの劇場へ。見るまで知らなかったけど、今日の演目は例の「ガシャン、ガシャン」だった。とても良い席だし、見たかった演目が見れて大満足。フォーサイスは素晴らしい。フランクフルト・バレエ団のダンサーは個性豊かな集団という印象。いつもは完全に統制されたオペラ座バレエ団ばかり見ているので新鮮に感じた。客席がオシャレな人ばかりだった。

電池 24F
カルネ 39F
アイスクリーム 15F


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米国出身で現在のコンテンポラリーダンスの礎を築いた振付家の一人ウィリアム・フォーサイスの公演を観ました。当時芸術監督を務めていたフランクフルト・バレエ団を率いてのパリ公演でした。

演目は「Impressing the czar」。当日舞台を観るまで気づかなかったのですが、これはパリ・オペラ座バレエ団のレパートリーとして有名な「In the middle,somewhat elevated」をさらに5部構成に発展させた大作だったのです。1987年にオペラ座・バレエ団のために振り付けた「In the middle~」が高い評価を受けたことで、1988年にそれを内包する形でより大きな作品に仕立てたのが「Impressing the czar」ということでした。

Wikipeidaの記述によると、

~「ツァー」とはロシア帝国の女帝エカチェリーナ2世を指し、彼女の寵臣ポチョムキン将軍が帝国の繁栄を女帝に印象付けるために「村おこし」をしたことに由来している。但し、作品の中にロシア的なものや物語性などはなく、この表題はあくまでもイメージを喚起する手段として使われているに過ぎない。作品は一見脈略のない多彩なテキストとモチーフを豊かに内包し、フォーサイスはそれぞれのパートを共存させて全体を一つの作品にまとめ上げる手腕を見せた。~

ということです。意味性を汲み取るような舞台ではなく、ひたすら音と踊りのカッコ良さに痺れるというのが正解なように感じました。


フォーサイスのIn the middle~については、日本にいる頃にたしかシルヴィー・ギエムを紹介したLDで映像を見ており、実際の舞台を観るのを楽しみにしていました。結局この6月のフランクフルトバレエ団でも見れましたし、その後1994年シーズンの幕開けでオペラ座・バレエ団がプログラムに組み込んでくれて、9月にオペラ座でも観ることができました。この時のシャトレの公演は、たまたまポスターを見かけてということで、とってもラッキーでした。さすがパリだなぁと。

フォーサイスは、2004年にフランクフルトバレエ団が解散したりで、その後は独自のザ・フォーサイス・カンパニーを立ち上げて活躍しているようです。


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オペラ座の公式チャンネルに画像がありました。


セーヌ近くのシャトレには同じようなスタイルのふたつの劇場が対になって並んでいます。東側が市立劇場(Théâtre de la Ville)、西側がシャトレ座(Théâtre du Châtelet)です。1862年完成ということで、いつものガルニエ宮(1875年完成)よりもさらに歴史が深い劇場なんです。ディアギレフのバレエ・リュスもここでたくさんの興行を行いました。フォーサイスの作品も素晴らしかったですが、この劇場の空間に身を置くことも素敵な体験でした。豪華な装飾を見ていると、100年くらい前のバレエ・リュスの熱狂が沸き上がってくるような感慨がありました。

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Théâtre du Châtelet

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ガルニエ宮よりも、さらにステージとの距離が近い印象でした。ここは良い劇場です。

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