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パリ・オペラ座の日々1993~1994:5月17日 パリ・オペラ座「ローラン・プティ」2回目


5月17日(月)

午前中(雪)バレエ。(G)は本日で「フリーウェイ・フランス語」を完了。ずいぶん成果はあがったと思う。午後はカルフールへ買い物。控え目に買ったので持ち帰るのにちょうど良い量だった。

夕方ローラン・プティの2回目。キャストはほぼ同じ。最初の現代的な演目は今回はとても良かった。Agnes Letestuという人がとても個性が強くて素晴らしい(身長高い)。なんとも言えない魅力がある。ミテキ・クドーもよかった。Le loupのちょい役でファルーと並んで踊っていた。少しガッチリしたような印象。最後の「若者と死」がファニー・ガイダだったが、これはいまひとつ。ちょっと残念。

カルフール 331F
オペラ座カフェ 40F


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ローラン・プティのプログラムは二回目なのでコメントは少しだけ。

この日のファニー・ガイダの「若者と死」について、いまひとつ…と書いていますが、これは本当に率直な感想。後にエトワールまで昇格した人ですから実力が云々ということではまったくなく、この日の舞台をそう感じたというだけのことです。

1993年当時のオペラ座は、エトワールの層が異様に分厚くて、歴史上でも稀だったのではと個人的には感じるほどでした。ただそういったエトワールの面々も若干高齢化が進行しつつあるような印象でした。

参考までに当時のラインナップを。

(エトワール)
イザベル・ゲラン
フランスワーズ・ルグレ
モニク・ルディエール
エリザベット・モーラン
マリー・クロード・ピエトラガラ
エリザベット・プラテール
クロード・ドゥ・ヴュルピアン

カデール・ベラルビー
パトリック・デュポン
ローラン・イレール
シャルル・ジュード
マニュエル・ルグリ
ジャン・イヴ・ロルモー

女性ではなんといっても、ゲラン、プラテール、ルディエール、モーランの4人があまりにも存在感が大きく、それに新鋭ピエトラガラが加わるような感じ。ヴュルピアンはノーブルで素敵なムードのダンサーでしたが、6月16日のジゼルで引退公演でした。

男性はルグリ、ジュード、イレールの安定感と溌剌としたベラルビー。芸術監督と兼任だったデュポンは出演回数は控えめでしたが、ひとたび舞台上に上がればその存在感は圧倒的でした。ロルモーはたくさんの舞台に出演していて見た回数はすごく多いんですけど、いつもなんとなく無難な印象で、あ~良い時期は過ぎちゃった人なのかな…みたいに感じていました(生意気な感想でごめんなさい)

じゃあ、その下のカテゴリーのプルミエール・ダンスーズには誰がいたのか?

(プルミエール・ダンスーズ)
カロル・アルボ
カリン・アベルティ
ファニー・ガイダ
ナタリー・リケ
クロチルド・ヴァイエ

リオネル・ドゥラノエ
ニコラ・ル・リッシュ
ジョゼ・マルチネ
オリヴィエ・パティ
ステファン・プリンス
エリック・キエレ
ウィルフリード・ロモリ

はい。こういう面子です。まだアニエスもオーレリーもムーサンもスジェの時代です。でもこの3人はスジェであっても大きな役をどんどんゲットしていて、舞台上では常に目立つ存在でした。

肝心のプルミエですが、なんとなく地味な感じがしませんか?カロル・アルボは大好きなダンサーだったのですが、他の女性陣は…う~~む…って感じ(笑) 男性はル・リッシュとマルチネですかね。キエレは小柄な印象で、ピエロとか演じると素晴らしいんですが、残念ながら王子様にはちょっと。。

この頃はロモリはとにかく出演機会が多くて、いつも舞台上にいたような印象あります。ただ踊りそのものはまだ不安定な感じがして、主役級の日はなんとなく「え~~ロモリなの~~」的なガッカリ感がありました(失礼でごめんね)。でもその後エトワール指名受けたようなので、きっと大きく成長したのでしょう。

ということで、この夜はプルミエのファニー・ガイダが主役だったのですが、どうしてもエトワールが主役の舞台との落差を感じてしまったのです。実力が違うというのはもちろんですが、それだけではなく舞台全体の支配力というか、オーラというか、そういう部分です。ガルニエの劇場では、そういったダンサーの真の力量が観客にビビビっと伝わるのです。

もちろん身体的な能力の極限のところで表現する芸術ですから、日々の体調もあるでしょうし、プロフェッショナルなダンサーであれば体のどこかにケガの要素を抱えていることも多いでしょう。バレエ団としての公演回数も多いですからモチベーションを維持していくのも大変かもしれません。エトワールは毎晩の舞台に、絶対的な責任感とモチベーションが要求されるのに対して、プルミエはもう少しルーティーンというかセーブして踊っているような印象を受けてしまったのです(観客としての勝手な感想ですが)。

ともあれ、これもパリ・オペラ座の生み出す舞台のひとつということで楽しみました。様々なキャストで同一の演目を複数回観ることは、こういった観察眼を養うことにもつながりました。このローラン・プティのプログラムは3回しか見れなかったのですが、この後どんどんエスカレートして、帰国直前2月の「ニジンスキー」は同一プログラムを全部で8回(!)観ることになりました。同じ演目を8回も観ると、ずいぶんいろいろな発見、感動があります。観客として成長していくというか(笑) この5月の頃はまだまだ始まったばかりという感じでした。


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