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石膏像を作っています4月7日

おはようございます。
今日は素材のお話でもしてみますか。

石膏屋さんは何もかもシンプルです。

石膏像を作るのに使う道具。
・お料理用のステンレスボウル
・お料理用の泡だて器
・型(自家製)

石膏像を作るための素材
・石膏粉
・水
・スタッフ(補強のための繊維)
・針金などの補強材

並べて書いてみると、ほぼパン屋さんと同じかと(笑)

語るべきは石膏の粉でしょうね。


僕の工房では、吉野石膏を使っています。
他にも下村石膏、日東石膏、丸石石膏…などありますが、それほど大きな違いはありません。使用感とか色味は若干異なりますが、一つのメーカーに慣れてしまえばほとんど気にならないレベルです。同じメーカーでも粉の種類(等級・用途違い)で質感はそれぞれ違うので、とくにメーカーにこだわってはいません。吉野石膏さんは、最大手であること、品質に安定感を感じることなどがチョイスの理由です。あと販売会社が巣鴨にあって僕の工房と至近なのでね。

商品の石膏像を作るために使っている石膏の種類は3種。特級、A級、N級を使っています。3種類合計で、だいたい月に20体(25㎏または20kg入り)くらいの消費量です。

通常の石膏像の場合は、表面から3層分までは特級(袋の文字表記が緑色)を使い、一番内側の4,5層目にA級を使っています。特級とA級は硬さが違います。同じ水分量で固めた場合、特級の方がより硬い仕上がりになります。石膏像としては強度が高い方が望ましいですが、特級は値段も高いのでこのような使い分けをしています。画材店やハンズなどで販売されている石膏の粉は、ほとんどがA級です。粘土彫刻の型取り、個人的な作品づくりであればA級で十分だと思います。

もう一つのN級は商品名が「ハイストーン」と呼ばれるもので、こちらは格段に強度が高いです。そして値段もA級の倍くらいします。極端に細工が細かくて繊細な石膏像を作るときに使用します。粉の性質が特級・A級とはまったく異なり、混水量が少ない状態で固めます。最初からドロドロして扱いにくく、しかも凝固スピードが速い!!あっという間に流動性が無くなります。

例えば、↑このニケはハイストーンで作ります。特級・A級では羽根の部分が強度が足りなくてすぐに折れてしまうから。

もうひとつ大切な素材がスタッフ。画材店でも「スタッフ」の商品名で販売されてます。サイザルという植物の繊維です。20年くらい前まではマニラ麻が「スタッフ」として販売されていて、すごく使い勝手が良かったんだけど、国内の流通が枯渇してしまって手に入らなくなりました。サイザルは代替物として登場した素材です。ひっぱり強度が若干弱く、石膏と合わせたときに黄ばみが出るのが難点ですが、他に良い素材は無いので仕方ありません。

吉野石膏販売さんから20kg単位で購入。ロープ状で袋に入っているので、それをほぐしてフワフワにしてから、使いやすい大きさに裁断します。

小学生のころ、日曜日に兄と一緒によくお手伝いでこの作業してました。とんでもないブラック工房とか言われちゃいそうだな…(笑) 40年過ぎて同じことやってる(笑)

大型の石膏像の場合は、このスタッフに石膏をまぶしたものを内側に貼り込んで強度を確保します。スタッフを使わずに石膏の厚みだけで勝負しようとすると、どんどん重量が増えてしまって悲惨なことになります。石膏って石の粉だからね、丈夫だけど軽く…というのはすごく大切です。

石膏の粉の取り扱いとか、他にもいっぱい書きたいことあるんだけど、それはまた次回ということで。粉の扱いに関しては、もし疑問・質問があればお気軽にお声がけください。僕に分かる範囲でしたら喜んでアドバイスします。

では皆様良い休日を。

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