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パリ・オペラ座の日々1993~1994:2月8日 パリ・オペラ座のレペティション、ジュー・ド・ポム、ポワランヌのパン


2月8日

早起きして一人でオペラ座へチケットの買い出し。噂で聞いていた通り、既に劇場には長蛇の列で、みんな無料観覧できるレペティションを狙ってる。慌てて最後尾に並んでみたらチケット無しですんなり客席に入れてしまった。すぐに(雪)を電話で呼び出して、Premiere Balconでのんびり鑑賞。ティル・オイレン・シュピーゲルだけ初見で戸惑ったけど、他は最高に素晴らしい。リハーサルなので、舞台上で踊る前後にバレリーナが客席にウロウロしていて面白い。モーラン、ベラルビ、ファニー・ガイダなどすぐそばに。

ポム・ド・パンでお昼ご飯を食べて、コンコルド広場近くのジュー・ド・ポーム美術館へ。訳のわからない現代美術の展示だったけど建物が近代的ですごく素敵だった。お茶してから左岸に渡り、Arpegeの下見をしたり、サン・シュルピスからrue de cherche-midiのブテイック街をうろつく。オシャレなお店が多い。念願だったポワランヌのパン(たぶんカンパーニュ)を買った。18Fなのにずっしり重くて美味しそう。バスティーユへ戻りFNACでCDを二枚。ジゼルとチャイコフスキー。ハンバーガー食べて、さらにマリブーのゲームでお金をすって帰宅。

オペラ座チケット 120F
ポム・ド・パン 43F
ジュー・ド・ポーム 50F
ハガキ 10F
カフェ 20F
パン 28F
LINS'S 38F
FNACでCD 133F
ハンバーガー 79F
マリブー 300F


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この日、リハーサル(いわゆる”ゲネプロ”ってやつですね)を無料で見学できることは、どこかから情報を仕入れていたんだと思います。チケットの買い出しついでに覗いてみると、もうみんな長蛇の列で並んでました。朝10時開演なので、おそらく8時前には僕もオペラ座に居たんだと思います。

↑の写真の日付の下に「repetition general」とあります。翌日からスタートする「NIJINSKI」プログラムの通し稽古で、ほぼ本番通りの流れで上演されます。愛好家には無料でどうぞという粋な計らいです。日本の舞台芸術だと通し稽古は「ゲネプロ」と呼びますが、これはドイツ語(Generalprobe ゲネラルプローベ)からだそうです。

ニジンスキープログラムは、

「ペトルーシュカ」(1911年初演)
「ティル・オイレン・シュピーゲル」(1916年初演)
「春の祭典」(1913年初演)



大好きなバレエ・リュス×3演目で、よく知っている「春の祭典」+「ペトルーシュカ」、そして「ティル・オイレン・シュピーゲル」という並び。しかも指揮者がチョン・ミュンフン! 当時はバスティーユのオペラ座の音楽監督のポストでしたから、当然オペラの指揮ばかりだったのですが、この時はなぜかガルニエ宮でバレエ音楽を振ってくれました。世界的な指揮者ですから、当然のように普段のパリ・オペラ座の専属オーケストラがずいぶん違った感じになりました。普段は良くも悪くもユルユルで(音が無い部分ではお互いに楽器で小突きあったりしてる…笑)、でも生き生きした演奏なんですけど、このときの春の祭典はビシっとして素晴らしかったです(クラッシックにそれほど詳しくない僕達でも違いが分かるくらい)

各演目については、実際に本公演が始まってからの日記で少しづつ書こうと思いますが、このプログラムは僕達の「オペラ座の日々」を締めくくるのに相応しい素晴らしい内容でした。全ての演目の様子が今でも脳裏に深く焼き付いています。


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(ペトルーシュカでのカーテンコール)


さて。この無料ゲネプロは午前中開催だったので、午後はチュイルリー公園内にある「ジュー・ド・ポーム国立美術館」へ行ってみました。同じ公園内にオランジュリー美術館と対になるように建っている美術館です。


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ジュー・ド・ポーム(Jeu de paume)は、ナポレオン三世治世下の1861年に室内テニスコート場として建設された建物で、それがやがてギャラリーに改装されてその後美術館になりました。


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”ジュー・ド・ポーム(リアルテニス)”は直訳すると「手の平の遊び」となり、16~17世紀の絶対王政期に始まったスポーツみたいです。後に短いラケットを使うようになって、それがやがて現代のテニス(ローンテニス lawnは芝生)の原型になりました。

世界史で出てくるフランス革命の「テニスコートの誓い」は、このチュイルリー公園内ではなくて、ヴェルサイユのジュー・ド・ポーム競技場だそうです。

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ヴェルサイユのジュー・ド・ポーム競技場。当時の建物が現存していて、現在は革命博物館として使用されています。

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ここは訪れたことはありません、Wikiで調べただけです。革命期の血なまぐさいムードが漂っているようでちょっと怖いですね…。


ちょっと脱線しましたけど、ジュー・ド・ポーム美術館は、基本的に近現代美術作品の展示が行われます。1909年に展示場に改装されて以降、1930年代には同時代の美術を扱うようになり、モディリアーニ、ピカソ、藤田などが展示されました。1947年以降は印象派の作品が多く展示され、1986年にそれらがオルセー美術館に移管されて以降は、より現代的な美術や写真などの展示を行っているようです。


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現代美術は、著作権的な制約があるのであまり写真が貼れませんけど、この日観た展示の絵葉書が残っていました。


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Toni Grandというフランス人のアーティスト。ほとんど記憶に残ってないんだけど、いわゆる現代美術でスタイリッシュなインスタレーションだったような… 

Wikiにページがありました。


ジュー・ド・ポームでよく覚えているのは、館内が現代的に綺麗に整備されていて居心地が良かったことです。

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これもその時の絵葉書。建物は19世紀ですけど、内部は近代的に改装されています。


あと日記の最後の方に書いてるパン屋さんの「ポワランヌ」。

フランス全土に美味しいパン屋さんは山のようにありますが、その中でも特別名高いお店ではないでしょうか。1994年当時もずいぶん話題になっていました。行列が出来る…とガイドブックには書いてありますが、この時はたいして待たないで買えました。どんどん焼いてますからね。6区のサン・シュルピスの近く。

大きなハイパーなどで「ポワランヌ」ブランドのパンも販売されていましたけど、そちらはまた別の組織…みたいな話だったと思います。

この日買ったカンパーニュはズシリと重くて、噂に違わず最高に美味しかったです。ただ他のパン屋さんもみなさん頑張ってますからね。たまたま左岸で通りがかったならぜひ、という感じでしょうか。

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(Wikiから ポワランヌのパン)

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