突発性難聴になりまして(3)
引き続き、入院中です。
⑧土曜日、朝目が覚めたとき、左耳が枕に擦れた音が微かに聴こえた気がした。もう一度試す、ほんの僅かに聴こえる。もちろん実生活に耐えうる聴力とは程遠い。でも、昨日まではずっと、「0」だったものが、「0.001」くらいにはなった。本当に嬉しかった。希望が持てた。自己流の音響療法と、血流促進のマッサージを精力的にやった。諦めたくない。
1日に3回ほど、びっくりするくらい強烈な目眩がくる。
⑨日曜日、左から聴こえる音が、少し増えた気がする。シャワーや指パッチンで試してみると、高音だけは聴こえているような感じ。ミッドレンジ〜ローの音は聴こえない。イコライザーで絞ったような感じで、籠っている。でも、昨日よりまたわずかに増えている。安静を意識しつつ、改善のために出来ることをやった。
(2)で書いたように、彼女(5月に結婚予定)は毎日来てくれていて、手紙をくれる。
そんな彼女から、今日「あなたの両親の連絡先を教えてほしい」と言われ、教えた。
結果から言うと、両親に先日の挨拶の御礼と、私についての連絡をしたらしい。
「彼は私が支えますから大丈夫です」と、そう書いてあったらしい。
本当に凄い人だな、と思う。
結婚を控える相手が、急に入院し、しかも一生片耳が聴こえなくなるかもしれない、なんて状況で、絶対に狼狽えているはずなのに、そんな素振りは私に一切見せずに、手紙には「絶対大丈夫!!!!!」とか書いてある。それだけでも凄いのに、このタイミングで両親にそんな連絡するだなんて、、、
私は正直、「結婚をやめるのも彼女のためかな」と考えてさえいて、実際に親に相談していた。
片耳が聴こえないことが全てじゃない、結婚の直前にこんな事になってしまうような私で、彼女は幸せになれるのだろうかと考えてのことだった。私なりに。
ただ、そんな心配は全く不要だった。
本当に、本当に、本当にありがとう。
滝のような涙で、枕に水溜りができた。
今回のことは、長い人生をかけて何百倍にもして返していきます。ありがとう。ありがとう。
まだ諦めない。できる事は全部やろう。
⑩月曜日、最後の高圧酸素カプセル療法を受けたあと、聴力検査を受けた。
左耳の聴力は、少し上がっている感じだった。
なにより、右耳の検査中に左耳から検査用のホワイトノイズが聴こえたことに感動した。一週間前は、左耳からはノイズは出ないんだと思っていたが、聴こえていなかっただけらしい。
また、高圧酸素カプセルの中ではTVが観られるようになっているのだが、音の出どころが頭の真上にあることに気付いて驚いた。
今までは、左側から全く聴こえてなかったので、右側にスピーカーが置かれていると思っていた。
希望は捨てない。
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