社会不適合者、【親権を持たない親の話】を語る

【はじめに】

これはほとんどただの愚痴です。

親権を持たない親に苦しめられた子供の話とかじゃなく、親権を持たない親だった私の話です。

しかも父親目線なので、そういった話が苦手な方はブラウザバック推奨。

そんなのでもいいからとりあえず聞かせてみろよ、という方のみ続きを読んでみてください。


【親権を持たない親に対する行政の扱い】

単刀直入に言いますと僕は生活保護の受給者です。

自分の精神疾患に気づきながらもギリギリまで、本当の本当にギリギリまで踏ん張った結果、基本的な人権を維持するのに必要な文化を含む何もかもを失ってしまいました。

そんな僕を踏んだり蹴ったり殴ったり罵ったりする人が居たのですが、家族さえも居ない僕にはそんな方の存在でさえ有難く、僕は鬱の体に鞭を打って懸命に家政夫のように尽くしました。

同棲から一年した頃に妊娠が発覚しますが、パートナーの両親からは猛反対。

「あなたが仕事をしていないから」が理由でした。

結構頑張ってやって来た後の鬱なんですけどね。

父親なら頑張ってやれるかな、生活保護でもめいっぱい愛情をもって人間性と向き合えば、多少の不利は気にならないような、明るい子に育てられるかな、なんて、勝手に思ってまして。

妊娠中、産後、夜泣き、離乳食、色んなことを家事や掃除も含めてほぼ1人でこなしたんですよ。

一日に何度かオムツ替えをしてくれるとか、2回くらいのミルクを代わってくれるとか、お風呂から出る時にベビーを受け取ってくれるとか、してもらえたことなんてほとんどそれくらい。

保育園が始まると送り迎えと朝の支度はしてくれるのですが、それでも全部の家事や家計のやりくりは丸投げ。

書き出すとキリがないので割愛しますが、かなりキツかったです。

鬱ってホントは一日どころか何日も動けない時があるんですけどね。

それをなんとかやって、しかも夜泣きがある間は一日1時間半とかの睡眠時間ですよ。

でもベビーの前では絶対スマイル、同じく鬱で生活保護の妻には毎日マッサージ、ベビーだけじゃなく僕らの栄養バランスも考えた一日2食の献立、更には必要になるベビー周りのものの予算の計算まで、全部こなします。

でね、ベビーも一歳半になる頃だったかな。

データフォルダを見せたいんですけど、夜泣きはまったくしない、毎日笑う、一歳半なのにもうパプリカが踊れたりしちゃって、歌も唄える。

別に良い子になんてならなくてよかったのに、既にめちゃくちゃ良い子の優しいベビーに育って、もう歩いて出かけたりもできるようになってたんですよ。

そんな時に妻がベビーを殴りだしまして、こりゃマズいと義母に電話したところ、警察が出動!

やって来た警察の3時間くらいの自宅での聴取の後、ベビーは児童相談所に連れて行かれる事になりました。

「妻だけ連れて行くことはできないんですか?」

「お父さん、親権がありませんからね。 あ、お母さんはこの書類にサインを」

「書類…? 僕はしなくていいんですか?」

「ええ…まぁ、親権がありませんから」

「これから息子はどこに?」

「一度お母さんとお祖母様と一緒に警察署に行きまして、そこでまた他の手続きを済ませた後、児童相談所に預かってもらうことになります」

「ぼ、僕は? 息子を殴っていたのも、僕を殴っていたのも、全部妻なんですけど…」

「でも、まぁ、親権がありませんからね」

「そ、そんな」

「でも一応確認は必要なので。 息子さん、連れて行ってよろしいですか?」

「嫌だって言ったらどうなりますか…?」

「どうもこうも…親権のあるお母さんが承認してますから、それでも連れてっちゃいはするんですけど、一応確認は必要ですので」

「はい? 意味がよくわからないんですけど」

「ごねても時間の無駄ですよ。 多分わかってますよね? 息子さんのためを思うなら、了承してください。 時間も時間ですから」

「………は…い」

「オッケー。 確認取れたから、みんな出て出て! じゃあお母さんこちらに」

息子は能天気に大好きなパトカーを見て目を輝かせ、最後に別れの挨拶さえさせてもらえないまま、離ればなれになりました。

それから何日か妻は実家で過ごし、僕は誰も居ない中古の一軒家でぼーっとする訳です。

昨日まで息子がそこに居て、おもちゃも落ちてる、服も干してある、そんな部屋でね。

相談する家族も居ない、友人も妻の嫉妬に配慮していない。

本当に本当に1人でぼーっと過ごすんですけど、僕はふと思い立ち、妻に「これから頑張ろう。互いの欠点はこれとこれとこれだと思うから、気をつけて治せるようにしていこう! そしたらきっと、ベビーもすぐ帰ってくるよ」なんてLINEを送り、互いの意見のすり合わせをした後、簡単に和解しました。

でもまだ妻は帰ってきません。

コッシーのぬいぐるみがね、置いてあるんですよ。

まだ買ったばかりで、サプライズに番組を見ている最中に渡したら、テレビ画面とぬいぐるみを交互に見比べてニコーっと笑った後、ぬいぐるみに抱きついたりしてね。

それが置いてあるんですよ。

動かないんです、何日経っても同じ位置からね。


【親権を持つ者の意見】

妻が帰ってくる時に義母と会う機会がありまして、相談することにしたのですが、いまいち意見が噛み合いません。

「あなたは売り言葉に買い言葉で話してる。 そういうのをやめなさい」

いや、ずっと我慢してきて身体も心もボロボロだったんですよ。

児童相談所の方と話してもいまいち会話が噛み合わず、ヤキモキしながら消えないストレスを抑え込み、妻と過ごす日々。

相変わらず僕のプライベートに過干渉しては勝手にストレスを感じる妻に、僕はようやく注意する事にしました。

「そんな事じゃベビーは帰ってこないよ」

「そもそも私は悪くないもん。 あなたが私の言う通りにしないから私は暴れちゃっただけだもん」

それでも丁寧な対応を心がけ、決してやられたことをやり返すようなことはせず、なんとか、なんとか、互いの欠点を改善を目指しあって、ベビーの帰りを待とうと耐える日々。

先に言っちゃいますが、妻はベビーが児童相談所に行ってすぐ後、和解するなり楽しそうに「今日は新しいスマホ買ってもらった」「今日は焼肉食べた」「今日は○○に出かけた」なんて、一人で過ごす僕に送りつけてきてまして、どうやら互いの気持ちにズレがあったようなんですね。

それから児童相談所の方と何度かやり取りをする内、向こうから「一旦お二人を別々にして、それからお話を伺いたいと思います」と申し出があり、まずは僕から聴取。

担当の方は泣きながら話を聞いてくれました。

そこからはガラッと対応が変わり、それまで妻の発言ベースに話が進んでいたところが真逆の状態になり、妻の肩身が狭くなり始めます。

どうやら色々な人の話を聞いてみたところ、妻は誰も彼もに「全部彼のせい」と話していたらしく、自分の欠点は全て隠したままのようでした。

家には証拠が沢山あるので、普段の僕はそういうやり方を嫌うのですが、訪問してきた関係者の方には証拠を全部見せながら「彼女の言い分は間違っている」と一つ一つ説明します。

何度かやり取りをした後、「お父さんはこれから息子さんとどうしたいですか?」と児童相談所の方に聞かれ、僕は真剣に、真剣に考え抜きました。

「家族無し、ツテなし、職なし、地元でも無し、縁なしの僕が1人で育てるのは難しい。

なのでやっぱり妻と育てるか、妻がこのまま変わらないなら、養子に出したい。

妻の実家で育てるという案もありますが、この妻を作り上げたような家なので、それは絶対に嫌です」

僕の意見が通りつつも、とりあえずは様子見ということに。

妻はその頃、流石に僕の話に対し、聞く耳を持ち始めていました。

それでも結局変わらない生活のまま、3ヶ月が経った頃。


【親であることを諦めた瞬間】

それでも変わらない妻に対し、僕は怒るなんてレベルを超えて、怒鳴り、罵り、全ての恨みを思いつく限り吐きかけました。

そんなことは初めてだったので妻は混乱しつつも聞く耳を持とうとしませんし、なんなら暴力で対応しようとしてきましたが、僕も限界だったんです。

ついにやり過ぎなくらいに押さえつけ、それでも暴れ続ける彼女を、何度も何度も、今までの恨みをぶつけるように殴りました。

一応掌底の形で、アザがつかないよう、かつ痛みは拳骨よりマシなように加減をしてはいましたが。

その程度には頭が働くのに、殴らずに解決するという選択はできなかったんです。

怯んだ彼女に何度も何度も罵声をあびせ、今まで彼女にされてきた辛かった事を言って聞かせます。

それを始めるともうどうしようもないんですよ。

虐待を受けて育った僕に、その虐待とまったく同じこと、更にはもっと酷いことをしてきた彼女。

鬱で動けない僕に、なんでもかんでも丸投げして、それどころか少しの趣味や交友関係さえ断絶させ、あらゆる状態で孤独にさせた彼女。

やり返さない僕に毎月のようにアザができるほど暴力を振るってきて、それでも自分が被害者だと言い続けていた彼女。

そしてそんな彼女を「子供が産まれたら変わるはず」なんて甘い見通しで説得し、子作りをした愚かな僕。

そのせいで傷ついた息子。

全ての怒りが、彼女自身と、ベビーが連れ去られて3ヶ月経っても変わろうとしない彼女のだらしなさに向けられ、爆発しました。

「俺は絶対に怒りたくないと思いながら生きてきたんだ」

と泣きながら、彼女に怒るわけです。

「俺は死ねなんて言葉は絶対に生きた人間には使いたくなかったが、お前には言う、死ね」

と怒鳴りながら、悔しくて泣くわけです。

「お前は俺をサンドバッグかなにかだと勘違いしてたみたいだが、俺はちゃんと痛みを感じるし、やろうと思えばやり返すことが出来た。 これがその痛みのごく一部だ」

と叫びながら、三年半耐えてきた分の怒りを込めて、腹を殴りつけるわけです。

その瞬間、自分の中でひとつの終わりが訪れました。

僕は親権を持たないだけでなく、親として相応しい人間であろうとする努力さえ、完全に失った訳です。

次に児童相談所の方が来た時、僕はあったこと、したことを全て伝え、もう息子には帰ってきて欲しくないと言いました。

里子に出すことになったんです。

他にもいろいろあったんですけど、要するに、書くことはそれだけ。

国が認定した立派な両親になれるであろう人間の下で、息子に普通の子として育ってもらう。

それだけを願う事にしました。

一応、その気になればまた一緒に暮らせるそうなのですが、その選択肢は僕にはありません。

姉がね、施設育ちで。

僕が産まれる少し前に家に帰ってくることになったそうなんですけど、色々聞かせてくれるんですよ。

「私、お母さんのこと知らなかった。 覚えてなかった」

「施設は辛かったけど、家もどっちもどっち。 みんな知らない人だし、あんたは可愛がられてるから、寂しかったよ」

「子供の頃に色んな大人のところを行ったり来たり。 誰が親なのかわからない人生、想像できる?」

まぁその姉もね、僕を虐待してたんですけだね。

僕は「誰かみたいにはならない」じゃなくて、「こんな風に幸せにしてあげたい」事ばかり考えていました。

大事なのはどんな子に育って欲しいかじゃなくて、僕らが親として、どんな風に息子の人間性に向き合い、その良いところを伸ばしてあげられるか。

まぁなにか望むことがあるとすれば、人の話を聞ける子になってくれたり、人の痛みを想像できる子になってくれれば、それはラッキーかもしれないなって、それくらい。

絶対に怒らないし、絶対に頭ごなしの注意もしないし、まず自分の親としての在り方が正しいか疑問視してから息子と接する。

そんな子育てをね、してたし、し続けたかったんですけどね。

もう駄目です、僕は無理です。

そこからは何もしない、誰にも会わない、ぼーっと死ぬのを待つだけの5ヶ月。

今はちょっとしたことがきっかけで、ちょっとは元気なんですけどね。

自分の罪を思い出せたので、ここに書いてます。


【あとがき】

まぁ要するに僕が悪いって話なんですけどね。

そもそも沢山苦労させるだろうなって思いながら作ろうとした子で、その子のためにできる自分の努力は惜しみませんでしたが、妻の悪い所からはあまりにも目を背け過ぎてたんですよ。

本当に悪いことをしたので、もう二度と心の底からヘラヘラ出来る時は無いな、なんて思ってたのに、この1ヶ月はずいぶん楽しく過ごしました。

離れてから8ヶ月、諦めてから5ヶ月しか経ってないのに、めちゃくちゃ平気じゃんって、自分でもびっくり。

でもふとしたきっかけでまた息子の写真を見ることがあって、見たら、やっぱり思い出してしまって。

書いちゃいましたね、感情のままに。

データフォルダの中の息子はね、連れ去られる前の日の写真まで、毎日ニッコニッコ笑ってますよ。

親権を持つ妻の言葉を鵜呑みにして、親権を持たないからって一方的に引き剥がされて、それって本当に正しい介入の仕方なのかな?とは思ってたんですけどね。

結局、その対処が相応しい人間だったと露呈したので、結果オーライ。

でも書いてて泣けちゃいますね。

ごめんねって、本当に強く思ってます。

できることは長生きして、もし息子が本当の親に興味を持って会いたいと思ってくれた時、優しい人間として接してあげることくらいかなって、そればっかり考えて過ごしてます。

妻はまだ一緒に暮らしてて、この3ヶ月は別人のように丸くなりました。

彼女は息子をまだ迎えに行きたいみたいですけど、僕は絶対に嫌なんですよね。

反対だとか、そうするべきじゃないとか、そんな綺麗な言葉じゃなくて、ただ単純に嫌なんです。

俺もお前も親になるべき人間じゃないよ。

俺は家族愛すら知らないし、お前は実家も俺も自分勝手に利用しては騒ぎが起きる度に全部人のせいにして生きてきたクズだからね。

俺はもう子供はいらない。

本当はずっと欲しかったし、今でも息子に会いたいと思ってるし、そう考える度に泣けちゃうんだけどね。

でも、絶対に、いらねえ。

息子の健康を祈りながら過ごすだけ。

それだけでいい、それ以上はいらない。

それだけ。

それだけです。




補足。 

妻には愛着障害とパーソナリティ障害がありました。

パートナーとの関係に問題のある方は、僕のようになる前に、一度そこを疑って行動してみてください。

実は本人も苦しんでいる時があります。

無理のない範囲で支えるか、諦めて遠ざかるか、どちらかを選ぶ際の参考になれば、と思います。

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