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帝都に咲く花6 ~立志編~

以下の文章は戦争小説です。基本的に一般的な世界線とは異なり、
著者の趣味、妄想、思想も含まれますので諸々のデータは
史実のものとことなる場合がございます。
その点を理解したうえでお読みくだされば幸いです。








後衛陸軍士官学校では基本的に甘味の持ち込みを禁ず。

この一文はなによりもみさとに我を失わせる一文だった。

冷静さを取り戻すのに小一時間を必要とした。
彼女は甘味、とりわけちょこれいとが大好物であった。

しかし彼女はそこに行くまでに残された猶予が残り
17時間であることに思い至るとすぐに普段の様子に戻り
遠藤を呼びに使用人室へと向かった。
気のせいだろうか、遠藤の目元は赤く腫れ、目玉は充血している
ように見えた。

彼女は遠藤に伝えた。
いかにちょこれいとが美味しいかをとうとうと語り始めた。

なぜちょこれいとが美味しいのか、食感なのか味なのか見た目なのか
匂いなのか、そもそもちょこれいととはどこ発祥でどのような歴史があり
どのような伝統、文化とともに発展してきたのかを語り、
ちょこれいとが存在することがこの世界に存在する他世界線に対する
優位性などを説明した。
遠藤は唖然としていた。それはそれは非常に間抜けであった。
おおきく口を開けて元気に大きな声でつらつらと自分の好きなこと
について喋る遠藤をただただ見つめるだけであった。
気がついたら一時間が経過していたがその心に後悔はなく
清々しい気持ちでいっぱいであった。
そこからさらに二時間ほど講義を行ったあと、彼女は唐突に
遠藤に実習と告げて走り出す。

少し遅れて遠藤も追いかける。
このテンポが、みさとは大好きだった。

遠藤を連れ出し、最近話題の洋風甘味喫茶へと連れていく。
緋月みさとはちょこれいとぱふぇ、ちょこれいとけぇき、
ちょこれいとばなな、ちょこれいとかすていら、ちょこれいとくりいむ
などに勇猛果敢に突撃を敢行、被害を最小に抑え、敵野戦軍の
すべての包囲に成功。包囲網内に存在する敵清涼に対する
急降下爆撃機による戦術的な爆撃により敵野戦軍を完全に撃滅、
これを大本営に打電、さらなる敵を探し求めた。

一方遠藤はみさとには遠く及ばず、ちょこれいとぱふぇだけで
転進、徹底抗戦(させられた)、玉砕の組み合わせにより
撃破された。

これにより遠藤が食すはずであった敵野戦軍はすべて緋月軍集団が
相手取ることとなった。

遠藤は敵野戦軍撃破に邁進しながら語った。
笑顔では送り出せない、と。

とてもさみしくて悲しい、と。

みさとは言った。
そんなものは―――――――――――――――――――――――。








「帝都に咲く花」立志編第六話は以上となります。
今後もこのように趣味全開で定期的に投稿してまいります。
小説以外にも情勢解説や、個人見解なども公開して参りますので
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