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雪の美しさとその裏側

 外を見ると、地面は白く輝いている。雪が東京でよく見られるのかは分からないが、こちら北海道では季節の変わり目を迎えた。

 さて、雪といえば何を想像するだろうか。観光客ならさっぽろ雪まつりは知っているかもしれない。毎年、札幌の大通公園に巨大な雪像がつくられ、屋台も並ぶ大きな祭りだ。そこでの雪は美しく、氷も神秘的に感じられる。

 ただ、我が家のそばにある雪は厄介だ。雪はどこにでも平らに積もるので、玄関から正門までの通路を整備しないといけない。別に 5 センチくらいならしなくてもいいだろ、と思うだろう。でも実際歩くと不快で、足首と靴の間から雪が入ってくるのだ。靴下も濡れて気持ち悪くなり、足は冷えてガタガタと震える。

 だから毎日雪かきをする。それ専用のスコップやダンプがホームセンターで販売されていて、道民ならみんな持っている。すくった雪を適当な場所へ「投げ」る。道路は誰も除雪しようとしないから、市町村が除雪車を出して対処する。ちなみに、除雪機を個人で所持する人はあまりいない気がする。

 雪かきはかなり腰に来る。ふわふわしているとはいえ、水分を含んだ雪は重い。スコップが壊れたり、ダンプに穴が開くこともある。ただきれいなわけではなく、現実は厳しい。

 良い面だけをアピールしているから、北海道に観光に行こうと思っても住む人が少ないのではないか。近場のスーパーまでは自転車で 10 分。近くて便利なコンビニすらそれくらいの距離がある。都会が多いだけかもしれない。1 ブロック先に別のコンビニがあるとか、なんだかお金の無駄遣いにしか、田舎者にはみえないのだ。

 特別な機会にしか見ないものに、特別な感情を抱くのかも知れないが、それが普通の人にとっては、ごく普通のことでしかない。雪を見るのは楽しい、けれど面倒。氷で滑るのは楽しい、けれど怪我しやすい。シャープペンは長く使えるけれどしばしば芯が折れる、そういった感じだ。夢を壊すようで申し訳ないが、誰かの偏った情報それだけを頼りにするのは控えてほしい。