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【新メンバー紹介⑤】文学部4年 川名里沙

 記事の向こうの皆さん、こんにちは。
 今季からGCSに加わりました、文学部4年の川名里沙と申します。
 この記事では自己紹介と、私の今の学問関心や今後の進路選択のもとになった交換留学の経験についてお話しますね。


自己紹介

  • 名前:川名里沙(かわな りさ)

  • 所属:文学部 行動科学専修 4年

  • 趣味:グラフィックデザイン、音楽鑑賞および推し活(IMP.を推してます。公式YouTubeで見られるメンバー同士の面白いやり取りからさりげなく溢れる品の良さ、歌の上手さや揃ったダンス…彼らのコンテンツに触れるのが最近の日課です。)

  • これまでの留学経験
    ①入学前オンライン海外研修(学部1年次前)英国・ヨーク大学
    ②SAP現地研修(学部2年次後半)英国・シェフィールド大学
     〈このとき、人生で初めて海外の土地を踏む〉
    ③交換留学(学部3年次8月~同年12月)フィンランド・タンペレ大学

そもそもどうして留学に?

 完璧主義な性格が由来してか、自分に対して常に何かしらの理想を持っていて、それを叶えるために留学を決意しました。

 それぞれの目標を書き出してみると…
 ●入学前海外研修:文理融合人材になりたい!(ということで文学部ながら理系のプログラムに参加してみました)
 ●SAP現地研修:世界的に公式な場で公用語になっているイギリス英語の運用能力を高めたい!
 ●交換留学:共働き家庭のあるべき形について、自信をもって議論できるレベルの知見を確立したい!
こんなところです。

 前半2つの短期研修ではそこそこ目標を達成できた気がするので、この記事では交換留学の経験についてお話しますね。
 ※短期の話を聞きたい方は、カウンセリングでお待ちしていますのでぜひお越しください。短期も立派な留学なので、ご相談のりますよ!

交換留学での経験

留学先大学と、そこへの留学を決めた経緯

 もともとは、共働きの両親を持つ子供の精神面・学業面での発達に興味があり、ジェンダー学や発達心理学、人格形成学などを満遍なく学びたいと思っていたんです。
 ところが自分の専門にはもとより東北大学にはそのような学問をある程度専門的に学べる環境がなかったので、大学の外にそれを求め出しました。その中で、せっかく他の場所へ行くならその分野に強い国に行ってみよう!と思い立ち、指導言語や滞在地域、履修可能科目や留学期間などいろいろな条件を設けて大学を絞っていったところ、フィンランドのタンペレ大学に行き着いたからそこに決めた、という経緯です。

結局持って帰ってきたものとその理由

 が、実際に持ち帰ってきたのは
「日本の良さを国内外に向けて発信し、日本という国を、日本人という民族を護っていきたい!」という、当初の目標とは全く別の意思でした。

…何が起こったのか…完璧主義ではなかったのか…

と突っ込みたいところですが、簡潔に言うと、
外の視点から母国を見つめ直す経験によって、日本の素晴らしさを知った
のです。知ってしまったのです。遠く離れたフィンランドにいる間に。

 正直なところ留学前から、子育てが終わり日本語教師としてのキャリアをスタートさせた母親の影響で、日本語の言語的な卓越性やそれを母語として使いこなす日本人のポテンシャルに魅了されていたところがありました。留学中の色々な経験がもとで、もともとくすぶっていた日本という国・日本人という民族への興味が触発された感じですね。

 この気持ちに気づいてから、日本に存在する言語や文化だけでなく、日本が抱える社会問題と現状の対処法などを根本から学び直すようになりました。日本研究にかかわる文献を読んでみたり、現地の留学生たちとの交流のなかでさりげなく日本の印象を聞いてみたり。

 長い長い話なので詳細は割愛しますが、そうした学びの中で、日本がかつての良さを失ってきていること、現状の日本社会が抱えている問題の概要と大まかな原因、日本国としての存続について警鐘を鳴らしている専門家がいることなどを知り、今後日本社会で中心的に動く私たち世代こそが日本国・日本人を護っていかなければならないという危機感や使命感をおぼえたのです。これが、今の進路選択や学問関心のベースになっています。

じゃあ、フィンランドでは何をしてたの?

 お分かりの通り、この時点でフィンランドへ行った意味を失ってしまったわけです。早く帰って日本学の勉強を始めたいと思い始め、そこから日本への郷愁の思いが強くなり、ホームシック予備軍みたいになっていた時期もありました。
 でも、日本について理解しようと思ったら、日本のことだけ見ていたのでは足りませんよね。他国との比較という視点を持って初めて、その国の良さがわかるというものです(し、私はそれで日本の良さを再発見したわけです)。ここから、「フィンランドにいるからこそ、この国が強みとしているものを学び、日本学の研究に活かそう!」と心を変えることができました。

 それ以降は、同国をはじめとした北欧の福祉国家が直面している社会問題を扱う授業や、文化的背景・障害の有無などにかかわらず社会全体の幸福を追求するインクルージョンの概念を扱う授業をとるように方向転換をしました。
 いわゆるジェンダー平等や高福祉・高負担を実現していて教育水準の高い国であるというフィンランドの一般的なイメージは、生活の中でも実感できるのであながち間違いではないです。一方、それが故にスポットライトが当たりにくいところで別の社会問題を抱えていることや、現状の制度をもって住みよい社会を持続させていくことへの課題が山積みであることなど、日本にいては得られないであろう知識が次々に増えていくのがとにかく楽しかったです。

GCSとして後悔のない留学のためのサポートを

 なんとも忙しないブレブレの留学生活を送っていた私です。留学調書を書いた経験のある人ならわかると思いますが、留学前って綿密な計画を立てますよね。その計画のひとつも達成しないまま帰国したわけです。半年の留学だったこともあり、まわりで計画に沿って留学生活を送っている友達を見るにつけ、「自分は大金をかけてフィンランドまで来て何をしているんだろう…」と恥ずかしさを覚えたことが幾度もありました。
 が、計画通りにいかなかったからと言って、学びがゼロだったわけではありません。むしろ、今後はこの領域に進みたい!と熱意をもって学びに当たれる分野に出会って戻ってきました。それが現地では研究できないものだとわかっても投げ出すことはせず、留学中だからこそ学べることを可能な限り学び尽くし、今現在取り組んでいる卒論や大学院での研究分野の絞り込みに活用できる収穫を得て帰ってきたのです。大事なのは、起こるすべての出来事に何らかの意味を見出し、それが不本意なものだったとしても自分の真の目的に繋がる学びを得ること。計画→実行のサイクルが良くも悪くも染みついていた私には、留学を通じてこの考えをよりはっきりと認識できたことが、ひとつの大きな財産だったと思います。

 それでも、留学に全く後悔が残らなかったわけではありません。「留学に充てた約半年の間日本に残っていたら、日本について今よりももっと深く探究できていたかもしれない…」という考えが幾度となく頭をよぎります。だからこそ、これから留学に行く皆さんには同じ経験をしてほしくない、各々の学びを最大化できる留学経験にしてほしい。私自身の留学経験とともにこのことを伝えたくて、教育実習やら大学院への出願やら卒論やらで忙しい学部4年のこの時期に、GCSに加わることを決意しました。

 留学では良くも悪くも色々な刺激に囲まれるので、事前にどれだけ細かく計画を立てても達成しないままに帰国を迎えることも珍しくないでしょう。真新しい土地や新しい人々との出会いの楽しさに溺れて遊び呆けてしまったり、留学先大学では学び得ない別の学問関心を見つけてそれを志すあまり勉強に身が入らなくなってしまったり。
 だからこそ、GCSのカウンセリングやメンター制度を利用してくださる皆さんには、後悔のない留学が叶えられるよう全力でお手伝いさせていただきたいと思っています。留学したいけれど学問関心がよくわからない人、留学先は決まったけれど興味の向く方向が変わってきてしまった人、…などなど、お悩みがある方はぜひカウンセリングを利用してみてください。後悔なく留学先を決める考え方や留学先での学びを最大化するための心構えなどお話ししますし、一緒にあなたのお悩みを解消するお手伝いをします。私の他にも十人十色な留学経験をもつメンバーがたくさんいますので、皆さんのお悩みに合ったお話のできるメンバーがきっと見つかるはずです。不安を解消した状態で、後悔のない留学を叶えていきましょう!

Kyllä sinä pystyt siihen!
(フィンランド語で「You can do it!」の意味です!)

〈おまけ〉フィンランドでよかったと思うこと

  • 生活水準が高く、日本で生活しているのとほぼ変わらない
     先進国と言われるだけあり、フィンランドの生活水準はとても高いです。町も公共の施設も綺麗(そのうえデザイン性も高い)、水道水も軟水なので扱いやすい、食べ物もそこそこ美味しい、公共交通機関も時間通りに来る。生活面で心配することがなかったので、集中して学業に取り組むことが出来ました。

  • 自然が豊かでのんびり
     街のいたるところに自然を味わえる公園や広場があり、ちょっと歩き疲れたな…というときでも安らぎを感じられます。噂に違わず「森と湖の国」で、私もよく寮の裏の湖のほとりを散歩して癒しを得ていました。

寮の裏には湖に沿った長い長い散歩コース (左) があり、
そこからは湖の向こうに夕日が沈む風景 (右) も見えます。毎日違う表情を見せてくれる空も綺麗。

〈滞在都市タンペレのようす〉
 タンペレは首都ヘルシンキから電車で2時間ほど北西に行った場所にあり、フィンランド第2(か第3)の都市といわれている人口約20万人のこぢんまりとした街です。豊かな自然の緑と工業都市として発展した面影を残す赤レンガの街並みのコントラストが素敵で、町もそこまで大きくないので、散歩や観光にはもってこいの場所です。世界で唯一ムーミンの博物館(タンペレ大学の目の前!)があるだけでなく、現存する世界最古の公衆サウナがある町としても有名です。

タンペレの中心部。(左) 工業都市だったころの面影を残す赤レンガが素敵なエリアです。
(右) 市役所や劇場などが並ぶエリア。冬にはこのあたりでクリスマスマーケットが開催されます。
  • 親日家が多い
     フィンランドは、人呼んで「日本から一番近いヨーロッパ」。日本でもムーミンやサウナといったフィンランドの文化が各地で見られますが、フィンランド人は、自分たちの文化を好意的に思ってくれる日本人が大好きなんだとか。現地の学生には日本マニアがたくさんいて、私の学び直しに対しても有益な視点をもたらしてくれました。彼らによれば、日本語の授業はどこの大学でも抽選漏れが続出するほどの人気講義だそうです。

ヘルシンキの街の一角には、おしゃれな建物に入った「東京館」というお店が。
日本食品や浴衣を扱う人気店なのですが、
中でも一番人気の商品は寿司飴だとか。まさかのチョイスに思わず脱帽する私でした。

〈結論〉フィンランドは留学先としてとてもおススメ!

 上記の魅力に加えて、日常生活で英語がほとんど問題なく通じますし、国民性も日本人と似ているところがあるので、初めての留学で不安な方でも安心して留学できる国のひとつだと思います。
 フィンランドに興味がある方、初めての留学で行き先などに不安がある方は、今後GCSのイベントやカウンセリングでお会いしたときにお話ししますので、ぜひ会いに来てくださいね。
 皆さんとお会いできるのを楽しみにしています! ;)

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