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キャリアの転機 (転機を乗り越える)

こんにちは。GCRMパートナーズの岸本です。

今日は前回お伝えをしたナンシー・シュロスバーグが提唱する「転機のマイナスの影響を最小限に抑え、乗り越える方法」についてお話しします。
シュロスバーグは、成人のキャリア発達を研究し、全米キャリア開発協会会長を務めた人物です。

この記事では 『転機』 のことを、状況の移り変わりを表す英語の 『トランジション』 という言葉で表していきます。
 
シュロスバーグは、「キャリアはトランジションの連続で、避けることはできない」 と考えました。
そして、トランジションとは、
 ①    予測していたことが起こる
 ②    予測していなかったことが起こる
 ③    期待していたことが起こらなかった
これらのことで引き起こされる変化だとしました。

ここで言う ①は好きな人との結婚、希望していた部署への異動、②は病気や抜擢昇格、③には期待していた資格試験が不合格だったとか昇格が叶わなかった、といった例が挙げられます。

マイナス影響を小さくする要素

同じトランジションでも影響は個人差があり、そのマイナス影響を小さくするには、本人が内的に持っているものが役に立ちます
例えば、自分が人生の主人でありコントロールできるという意思とか、似たようなトランジションを経験しているとかいったことです。

次に大切なのは、そのような本人の意思や行動を支援してくれる人やモノの存在です。
具体的には本人の心の支えになる家族や友達、お金に代表される物的資源、それにトランジションをサポートしてくれる公的・民間サービスです。

これらのことをうまく行うために、シュロスバーグはトランジションに際して、4つのリソース(=4S) の観点からチェックしてみることを提案しています。

A.  Situation (状況) :置かれている状況を把握し、それに対する本人の見方を固める
B.  Self (自己)    :トランジション対処に活用できる内的な意思やこれまでの経験を洗い出す
C.  Supports (支援) :どのくらい支援が得られるかを見通してみる
D.  Strategies (戦略):可能性のある対処戦略を評価する

そして、評価した戦略の中から、成功が期待できるものを選び実行に移すというものです。

トランジションという大変な時に、こんなに理路整然とうまいこといくのか?という疑問が起こりますが、知っていると知っていないのとでは、行動に相当な違いが出てくると思います。

トランジションを経験してみて

私が会社退職時にシュロスバーグを知っていた訳ではありません。
ただ、退職前から考えていたことは、世間から見てシニアの年齢になっているため、一旦仕事を離れれば、将来仕事を再度行おうとしても、よい機会は巡ってこないだろうという危機感でした。
一方、転職経験があるため、仕事を求めてあがけば、やがて新しい展開が生まれてくるだろうという楽観もありました。

退職前後はいろいろなことが同時並行的に発生しましたが、ハローワークや自治体のシニア雇用促進施策、民間組織を徹底的に活用しようと考えたのは、少し後のことでした。
嬉しかったのは、社外の友人からサポートを貰ったことで、望外のことでした。

シュロスバーグはどんなトランジションであっても、乗り越えていくことができ、それには 4S を活用することに如くはないと言っています。
もし私がシュロスバーグのアプローチを知っていれば、トランジションの期間は短くなっていたかもしれません。

当時の私もそうですが、大半の人がトランジションに対処する方法を知らないのではないかと推測しています。
そんな人たちがトランジションに弄ばれないように、少なくともトランジションを前に立ちすくむことのないように、トランジションのハードルが低くなるようなキャリアサポートを提供できないかと思っています。