見出し画像

何故東京の不動産の価格は高いのか

1. 不動産の価値と価格は一致しない

不動産の価値はその収益性(インカムゲイン)によって形成されますが、不動産の価格は不動産市場における需要と供給の均衡点で決まります。
だから、不動産の価値と価格は必ずしも一致しません。

2.不動産の価格は需要で決まる

不動産はその供給が極めて限定的なので、不動産の価格はほぼ需要で決まります。金融緩和や円安で市場に資金が溢れると高くなり、金融引締めや円高で低くなります。ほかにもクレジットカードの使用や仮想通貨の流通が拡大すれば、不動産の価格は高くなります。

3.不動産の需要はマネーサプライと需要マインドで決まる

需要マインドの影響も大きくて、人気の立地や物件ほど価格は高くなります。住居ならば居住性の良否、店舗ならば収益性の良否、事務所ならば効率性の良否、工場ならば生産性の良否が需要マインドに影響を与えますが、何よりも安全性の高さはその全てに共通する条件です。

4. 不動産の価値は賃料で決まる

不動産の価値は賃料の大小とその持続期間で決まります。不動産の鑑定評価では収益還元法でそれを把握しようとしています。一番単純な方法は、還元利回りを査定して現在得られている賃料から割り戻して計算します。月額10万円の賃料が得られるマンションの還元利回りを5%と査定すれば収益価格は2,400万円です。(10万円×12か月×0.05=2,400万円)これは20年分の賃料が元本価格に相当するという有期還元方式です。

5.収益還元法は建物の建て替えに対応しにくい

もっと精度を上げようとして、賃料変動や金利変動の予測を織り込んで、無限級数を使って計算する様々な理論式が提案されているのですが、どの理論式も予測が想定と変わってしまえば結果は異なります。そして、建物が建替えられる場合には適用が困難です。

6. 需要マインドに影響を与える要素

不動産を購入するにあたって賢明な人ならば、まず収益価格と比較するでしょう。通常はそれよりも高い売り希望価格が付されています。次に何年か後に転売したときに、転売利益(キャピタルゲイン)が得られると判断すればそれも考慮します。ところが立地条件のいい物件は、それよりもさらに高い価格で取引されています。東京の都心物件の価格はそれよりも高いです。不動産鑑定評価で用いられる還元利回り(正確には土地と建物を一体とした総合還元利回り)を3%以下と査定することは稀なのですが。東京の都心地域では、2%やそれ以下の還元利回りに相当する価格での、現実の取引は珍しくありません。

7. 立地が良ければ建替えによって不動産の価値が上がる

東京都心の旧耐震マンションは1㎡当たり60万円~70万円ですが、建替え後の新築マンションは1㎡当たり220万円~340万円です。建替え費用が1㎡当たり100万円かかったとしても、建替えれば1㎡当たり80万円~170万円もの開発利益が生まれます。需要マインドはこの開発利益も期待して形成されているのでしょう。立地が良ければ良いほど大きな開発利益が期待できます。だから東京の不動産価格は高いのです。

記事を読んで何か疑問や質問・相談があれば文末に記載したメールアドレスに送信して下さい。丁寧に回答致します。
実際にマンションを買おうと思ったら、下記の記事も是非合わせてお読みください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?