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鉄筋コンクリートの建物は100年以上持つように造られています(施工の検証)

建物が100年以上持つように設計されていても、正しく施工されていなくては、100年はおろか30年も持ちません。鉄筋コンクリートの構造体は、鉄筋がしっかりと組み立てられて、コンクリートを現場で打設する時に、施工管理がきちんとできていなければ、設計通りの性能を発揮できません。打設時の天候や気温の状態でダメージを受けますし、工事中に作業員が手抜きをしたり、ケアを怠ったりすると、後からやり直すことができません。

鉄筋コンクリートの建物の施工は簡単ではありませんから、たとえ、設計監理や中間検査や竣工検査などが行われていたとしても、施工不良の建物は世の中に出回ってしまいます。地震で倒壊した建物の一定割合は、もしかしたらかなりの割合は、施工不良の建物だったのではないかと思います。

耐震偽装で社会的な問題となった建物は、施工時に手間を省いて不正な施工をしたことによって、地震力が予定外の個所に集中してしまい、軽微な地震でもその部分のコンクリートが破壊されてしまうような建物だったので、築後10年もしないうちに雨漏れが多発し始めて、新築から30年後には取りこわさざるを得なくなりました。

コンクリートは骨材と砂とセメントを、水で混ぜ合わせて作るのですが、海から採取した塩素を含む砂を使った鉄筋コンクリートの建物は、施工した瞬間から鉄筋が錆び始めますから、地震が起きたらたとえ築浅の状態でも簡単に倒壊してしまいます。砂だけではなく鉄筋や設備機材などの資材などが不足している時期に建築された建物には、不正な資材を使用して施工された建物が一定数混在してしまいます。資材だけではありません。現場の作業員の数も質も不足しますから、手抜き工事が行われてしまいます。バブル時の建築ブームの時や、原発事故や東日本大震災や東京オリンピックなどの工事で慢性的に資材や作業員が不足していた時期に建築された建物は、築浅であっても私は買う気にはなれません。

新築直後に建物の施工の良否を見極めることはほとんど不可能です。施工不良の建物には新築から何年か経過した後に、少しずつ不具合が現れてきます。基本保証期間の10年を過ぎたころに、やっと誰の目にも明らかになります。基礎杭偽装の建物も新築から何年も経た後に、建物がその重みで傾き始めたので、やっと施工不良が明らかになりました。

新築から15年~20年後に実施される、大規模修繕工事の事前調査の際に、施工不良が発見されることは多いです。30年後に屋上や外壁からの雨漏れが多発して、その原因を詳しく調べたら施工不良だったということもあり得ます。だから私は新築マンションや築浅の中古マンションよりも、40年~50年を経過した中古マンションが好きなのです。

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