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鉄筋コンクリートの建物は100年以上持つように造られています(物理的検証)

鉄筋コンクリートの建物の寿命はコンクリートの内部の鉄筋が錆びることによって、膨張し、内側からコンクリートが破壊され始めた時に、終わるものだと考えられます。破壊されて生じたコンクリートのひび割れからは、多量の雨水が侵入し、建物のあちらこちらで雨漏れが発生するようになってしまったら、とても住み続けることはできません。
コンクリートは弱アルカリ性の物質ですが、経年によって表面から中のほうへ、徐々に中性化が進みます。表面から鉄筋までのコンクリートの厚みは最低3㎝以上と決められています。3㎝の深さまで中性化が進むのには120年かかるとされていますので、鉄筋コンクリートの躯体(構造体)の寿命は120年以上です。実際はコンクリートの表面は塗装被膜やタイルで覆われていますから、中性化の進行はもっと遅いです。鉄筋コンクリートの建物の寿命は200年くらいかなと思います。

鉄筋コンクリートの建物の躯体部分は200年くらい大丈夫だったとしても、給排水管やガス管はどうでしょう。エレベーターや電気設備やテレビアンテナやインターネットなどの付帯設備はどうでしょうか。それぞれの設備の寿命は30年~60年程度でしょうが、これらはどれも交換が可能です。建物の維持管理がしっかりと行われていれば、200年間住み続けられます。

200年という長いスパンで考えるときに、心配なのは地震です。1981年6月1日に施行された耐震基準に基づいて建築された建物が新耐震で、それ以前の基準によるものが旧耐震です。何故か新耐震の建物は安全で、旧耐震の建物は危険だと思われていて、旧耐震の建物は極端に敬遠されています。ところが本当はどちらも絶対に安全だとは言い切れません。危険の程度は新耐震がいくらか良いかもしれないという程度の差でしかありません。耐震基準は地震で建物が壊れることは想定して定められています。倒壊して人命が失われなければいいという前提で定めているのです。ところが、倒壊だけはしないはずなの、実際は倒壊しています。

耐震基準は1950年に始まって1971年、1981年、2000年に改訂されたのですが、2000年基準で建築された建物が、2016年の熊本地震で倒壊してしまったので、その後にまた少しずつ改訂されています。東日本大震災の時に超高層ビルが、地面の揺れが収まった後も、長い間揺れ続けていた「長周期地震動」は誰も予測していませんでした。地震力の建物への影響の大きさは、現在でもまだ十分には解明できていないのです。

だから私は、耐震基準はさておいて、とにかく丈夫そうな建物を選びます。地震で倒壊している建物は、ほとんどがバランスの悪い建物です。1階に壁が少ないピロッティの建物や平面や立面が不整形の建物は選びません。15階以上の建物も少し心配です。反対に構造計算上の耐力壁以外にも住戸間の壁(界壁)が鉄筋コンクリートやコンクリートブロックで作られている丈夫な壁の量が多い、旧耐震の建物が大好きです。40㎡以下の部屋が多い建物と、80㎡以上の部屋が多い建物では、地震の時の揺れ方が全く違います。実際に両方に住んでみて、その差のあまりの大きさ驚きました。だから何度もの地震に耐えて50年以上使われ続けているのでしょう。

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