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これからの社会と組織をかたちづくる3要素とは?「これからの時代の組織をいかにつくるか」vol.2イベントレポ

「これからの時代の組織とは?~組織システムと個人の相互発達~」をテーマに、「これからの時代の組織」を探究している全4回の本シリーズ。


第1回は、株式会社 eumo 代表取締役 の新井和宏さんをお呼びし、これからの時代の社会と組織について話をしました。

▼第1回のイベントレポ


第2回となる今回は、ダイヤモンドメディア創業者で、自然経営研究会発起人の武井浩三さんをお呼びしました。これからの時代の組織を成り立たせるシステム、ひいてはこれからの時代の社会のシステムについて探っていきます。

登壇者紹介



ゲストパネラー:武井 浩三(ダイヤモンドメディア株式会社創業者)

武井さんkiritori

パネラー:萩原 典子(GCストーリー株式会社 常務取締役)

萩原さん

本シリーズ全4回モデレーター:岩波 直樹(株式会社eumo 取締役)

岩波さん縮小

【第一部】手探りで見出してきた「これからの時代の社会・組織」のかたち

起業1年目の失敗 →「何のために仕事をするのか」を考えた

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武井:僕は22歳のときに起業したんですけど、1年目で失敗して借金を1000万円くらい抱えてしまいました。それも、自分だけではなく仲間にも借金をしてもらっていたんです。取り返しのつかないことをしてしまったと、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。当時は体中に蕁麻疹のようなものができるほどストレスを抱えていました。結局、会社は売却できたのでなんとかなったのですが、この経験を通して仕事への考え方がガラッと変わりました

これまでの仕事に対するパッション・情熱は結局エゴでしかなく、誰も幸せにしてないと気づいたのです。「何のために仕事をするか」を考え、関わる人みんなが幸せな方向に向かわないと仕事をしても意味がないと思いました。

自己紹介

ちょうどこのころ、リカルド・セムラーの『奇跡の経営』に出会いました。上司部下の概念がないブラジルの会社についての本で、「ただただ、それぞれの自己実現を応援しあう。それ以外になにがあるんだい?」と言っている本で、「これだ!!」となりました。ダイヤモンドメディアはこの方向を純度100%で突き詰めたいと思いました。

それから、いい会社やいい仕事の仕方をオタクのように研究し始めたんです。その頃は、ティール組織のような概念もなく、ホラクラシー経営のような手法もない時代でしたが、自分が自分でいられる会社を研究したところ、面白い形ができてきました。

自律分散型

持続可能な状態の3要素

武井:コミュニティを数十個作ったり、不動産業界を研究していく中で、どうしたら「持続可能な状態」がつくれるのか、を考えてみたところ、3つの要素が見えてきました。1つ目は、自律分散の形をしていること。2つ目は、それら分散しているものが循環していること。そして3つ目は、それらの分散しているもの同士が繋がっていること。 この3つの要素があると、 結果として持続可能性が生まれることが分かりました。これは、ビジネスモデルにおいても、経済においても、社会においても当てはまるんですね。

講演資料(武井浩三)

自然の摂理に従った組織 

武井:ティール組織の三つの特徴は、「全体性」「自主経営」「進化する目的」といわれていますが、これらは、結果としての特徴のことです。ぼくは、「なぜその3つの特徴が生まれるか」ということを「自然経営」という言葉を用いて研究してきました。組織の自己組織化を促す「環境整備」が自然経営の中核になっています。自然経営において大切なのは、「透明性」「流動性」「開放性」です。ぼくたちはそれを自然の摂理が生まれる3要素と読んでいます。


自然経営


情報が公開されていて、意思決定をする人が誰かに固定されておらず、部署間や社内外の間に壁がない状態です。この3要素が揃っていると人為的な個人のエゴが入りにくくなるので、より自然に近い健全な状態に近づきやすくなります。


【第ニ部】組織の「いのち」と個人の葛藤

組織を越境することが組織に「いのち」を生む

岩波:『自然経営』の本からさらに進化したところはありますか。

武井:僕は組織を「生き物」と考えてデザインした時に、どうしたら「いのち」が生まれるのかを考えてきたんですね。わかったのは、組織は単体で変化するのではなく、外的な環境の変化の影響を受けて変化をすることです。例えば、森の中の木や草は、森があるから存在していますよね。一つの大きな命の中にある命です。そういう視点でみると、組織についても単体で変革が起きるのではなく、会社の外との関係性の中でしか変化しないのです。リモートワークに関する技術についても、10年前からあったのにいまさら流行るのは、まさに外的環境の変化による組織の変化ですよね。だから中から変えるよりも、外との関係性を変えるプロセスをデザインするのがオススメです。組織が変わるには越境が大切なのですね。組織を跨いで仕事をすることで、パラダイムを変えられます。

岩波:たしかに、組織の変革を起こすような人たちは、 まわりより早めに社会の変化を感じています。そういう人たちが増えていくことで、より早く社会が次へと変化していきます。この会に来てくれているような感性の開いた人たちと一緒に行動していくことが大切だなと感じました。

3つの

葛藤が個人を自律させていく

岩波:GCの萩原さんに聞きたいのだけど、自律分散を目指すにあたって、人はいきなり自律はできないですよね。自律をしていない社員に、GCさんは人間としての成長の場を提供しているように思っているのですが、仕組みや現状など、教えてほしいです。

萩原:GCも自律分散な組織になりたいとは考えているのですが、それよりもまず、「全従業員が幸せでいてほしい」という一番の目的があります。それぞれの社員が「ありのまま」で生きてほしいとみんな願っています。ティールの要素に「全体性」(ホールネス)がありますが、それは「ありのまま」に近いんですね。GCは「ありのまま」や、「色々なことを自分ごととして捉えられるようになる」すなわち「認識の範囲を拡大する」ことを大切にしてきた結果、ティール・自律分散に近い形を目指すようになったのだと思います。

岩波:今のGCは、人間的な成長の段階に合わせた舞台を設定しようとされていますよね。

萩原:発達理論の話をすると細かくなってしまうのですが、、、葛藤を乗り越えることによって、人は成長すると考えています。葛藤している社員に対して『ナイス葛藤』と言い合う文化が全社的にできています。

岩波:ダイヤモンドメディアでも同じような文化はありましたか?

武井:「ナイス葛藤!」という感覚はめっちゃわかりますね。喧嘩することも、悩むことも、問題があることも、悪いことだと考えていませんでした。ただ、そういった対話ができるのはホールネスが高い状態だからなんです。言い換えると、会社の仮面を被ってそこにいるのではなく、本当の自分自身としていることが前提です。例えば、考えが整理できていなくても「なんかいやだな」と言えることが大事だと思います。

はぎはらさん

このあと話はどんどん盛り上がっていき、ここには書けないようなディープな話も含め、夜遅くまで語りつくしました。


「自律分散」「循環経済」「つながり」という持続可能性の3要素がこれからのビジネスモデル、経済、社会の基本となっていく中で、組織は「透明性」「流動性」「開放性」という3要素によって、「いのち」が通った組織になっていく必要がある、という武井さんの提言から、それには「個人の葛藤」が不可欠だという議論へと繋がっていきました。これは次回の「個人の内面の成長」というテーマにもつながる、非常に興味深いものでした。

【ご案内】5/28(木)開催!vol.3山下 悠一さん「個人の内面の成長」

さて、次回5月28日のテーマは「個人の内面の成長」です。ヒューマンポテンシャルラボCEOの山下悠一さんにお話しいただきます。2015年にブログ「僕がアクセンチュアを辞めた理由」が大きな反響を呼び、現在は人の内的成長と潜在能力開発のサービスの提供されています。

山下さん

「これからの時代の組織」に「個人の内面の成長」が欠かせない理由や、その成長をどのように促進していくのかについて語っていただきます。

山下さんとともに、さらに「これからの時代の組織」の探究を深めていきましょう!!


現在、完全オンラインでの開催で、参加希望者を募集しています。
以下ページからチケット購入できますので、ぜひご参加ください。