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ホワイト企業大賞受賞企業「西精工」に聞く。時代の変化の中でも、変えなかった理念の重要性

時代の変化が大きく揺れ動く中「変わらないもの」こそ企業の本質ではないでしょうか。
第3回ホワイト企業大賞を受賞された西精工さんは、心理的安全性と対話の場を重要視しています。今回はGCストーリー常務萩原が聞き手となり、西精工の皆さんにお話を伺う機会をいただきました。
※インタビューは2020年4月30日に実施しています。

■プロフィール文
西 泰宏さん:西精工株式会社 代表取締役。
佐野 亘さん:西精工株式会社 総務部 経営管理課 課長。
井出 貴大さん:西精工株式会社 総務部 総務課。
樫本 有璃さん:西精工株式会社 営業部 営業第一G。
インタビュアー
萩原典子:GCストーリー株式会社 常務取締役。

朝礼で心理的安全性の担保と相互理解の場を設ける

朝礼 大G

ーコロナが様々な形で企業の経営にも影響を与えていると思います。働き方に変化はありますか?
西:製造業なので、あまり働き方としては変化しておりません。感染者がまだ少なく、しかも県外で感染された方が徳島に帰ってきた経緯もあり、県内での感染はない事も影響しています(2020年4月30日時点)。

ーそうなんですね。不安を感じる社員さんも多いかと思いますが社内の変化や社員さんの情報をどのようにキャッチアップされていますか?
西:キャッチアップは普段の朝礼や食事中の会話が一番だと思っています。会社の中での心理的安全性は意識してて、嬉しいこと、ちょっとしんどいこと、困ってることを共有出来る場を設けています。

ー具体的にどんな場が設けられているんでしょうか?
西:対話の場が極端にたくさんありますね。現在は15分に短くしていますが、普段は朝礼を1時間しています。

ー朝礼を1時間ですか!中身的にはどんなことを?
西:経営理念の共有から始まり、何かギャップ感じたか、うまくいってるかみたいな話をします。その後に西精工のフィロソフィーとして大切にしてることを日替わりで話をして、対話を重ねると、あっという間に1時間経ってしまいます。

ー業務面の話ですと、社員さんへのフォロー体制はどのような形でしょうか?
西:新入社員・中途社員が育つかどうかはリーダーとそのチームメイトの責任だと言ってるので、リーダーは日々新入社員、メンバーをすごく見てます。

ーチームでメンバーを育てていく感じなんですね。
西:新入社員・中途社員は半年間週報が義務付けられ、週報の中で困ってること、うまくいったことを書きます。週報に対して、教育責任者、リーダー、係長、課長、部長までコメントを書き、社長の私まで回覧が回るようになっています。

井出:この仕組み自体は内容は変わってますが、4年ぐらい前から続いております。

ーホワイト企業と聞くと「優しい会社」と言ったら変ですが、「厳しさ」もやはりあるんですかね。
西:ほぼ全社員が理解してるのは「上辺の優しさは一番成長させない」です。成長には厳しく、ただ見守る優しさは絶対必要ですね。現場では、答えを言わない、まず自分で考えろ、先輩には聞くな、って方針のチームは多いです。やっぱり考えさせる、成長させるのを意識しています。

ー現場で働いている社員さんに伺いたいのですが、厳しさの面で辛い時期もありますか?
樫本:そうですね。まだ新入社員の時は出来ないのが当たり前な状況でした。教えてもらうことで何とか乗り越えられたんですけど、自分が先輩になった時に、特に厳しさを感じますね。育てる面で、先程西が言ってた「上辺だけの優しさ」かどうか。私はやっぱり、自分が先輩になって嫌われたくないのが強かったので、うまく出来なくて迷惑を掛けてしまいました。そこは今でも「難しいな」と思っています。

助け合う社員同士とお客さんとの信頼関係

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ー社員同士の助け合いが強くなったと伺いましたが、エピソードをお聞きしてもよろしいでしょうか?
佐野:機械の稼働が上手くいってない部署と、逆に機械の稼働が上手くいっててもこの状況で仕事量が減ってる部署がありました。それだったらみんなで応援に行こうと、一緒に生産を助けていく活動を活発にやってます。

ーお客さんに対して工夫されている事はありますか?
樫本:特別やってることは少ないですが、電話会議はお客さんともやってます。
今まで当たり前のように出張に行ってましたが、顔を合わせられないので説明がしにくい部分もあります。実際に見てみないと分からない内容が多いので、イラストを使って分かりやすくテレビ会議で説明するだったり、工夫はしてますね。

ー困ることは何か起きてますか?
樫本:意識して連絡しないとお互い話をする機会がなくなってしまうので、毎日必ず大切にしてるお客さんには電話をするようにしてます。そしたらお客さんも「自分のことを大切に思ってくれてる」って言うのは伝わったりします。メールでも最後に淡々と終わらずに「お互い頑張りましょうね」みたいなメッセージを入れたりするようにしています。

ーその辺は西さんが指示しなくても社員さん達に染み付いてますよね。お客さんに対しての信頼感が西さんの中にもあるんじゃないでしょうか。
西:そうですね。僕は「明るく元気に」と言うだけなので細かいところまでは言わないです。自分の親父が88歳ですが、毎日出社しています。
ものすごい勢いで入って来て、おはようって一回言えばいいんですけど、自分の席に行くまでに「おはよう、おはよう、おはよう」と言ってます(笑)
やっぱり、自分が大事にしている姿勢は分かってくれてるんだなって思いますし、感謝してます。

誰かの成長が、自分の成長であり、自分の幸せに繋がる

仕事

ー世の中が変化していて、変わったこともあると思うんですけど、この状況で変えなかった部分があれば、是非ともお伺いしたいです。
西:本質が見えやすい時代ですよね。悪いものが悪く見えて、良いものはもっと良く見える。僕たちは「7つの習慣」の「原則」をすごく大切にしてきました。今1番大切な物って絶対原則だよって。原則は何かと言ったら「真摯さ、史実、信頼」をずっと僕たちは大切にしてきました。この単語は全部経営理念の中に入っています。原則を大切にして理念を大切にしていったら、どんなことがあったって大丈夫。おそらく今こういうことを言ってる会社は少ないから、今は強くなるチャンスだよって話をしています。

井出:今年も変わらず意識したのは「人を大切にする」「1人1人の想いを大切にする」部分です。私が採用教育担当なのもありますが、いつもより研修が難しいと感じています。「研修を受ける事が出来なかった年」となってほしくないので、自分で色々調べて、チャレンジしました。

ー理念を大事にするにあたって、浸透もすごい難しいんじゃないかと思っています。企業文化を創る上で施策、仕組みですごく大事にしてる部分があればお伺いしたいです。
佐野:毎朝朝礼で私たちが大事にしている事をみんなで共有し、否定なしでそれぞれ受け止めて、みんなで話し合う。そういう場を大事にしてきた歴史が浸透に効いてると思います。

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ー200名以上の規模で、経営理念をそこまでちゃんと落とし込めてるってやっぱり凄いですよね。他にも価値観を共有する取り組みはあるんですか?
西:おそらく徳島の会社では一番イベントが多いと思います。今このイベントは、自粛の影響でほとんどなくなっているのでみんなストレスが溜まって来てる現状はありますが。社員同士で自発的に行われているイベントはかなり効いてると思いますよ。

ー部署間超えたつながり、仕事以外で会うタイミングは多いってことですか。
西:多いですね。自粛前は、自発的に土日必ずどこかでで何かしてました。

佐野:勝手に社員が企画して勝手に集まってます。休みの日でも平気でみんな集まりますんで、その辺は楽しいですね。部署や工場は全く関係ないし、ごちゃ混ぜでみんなで楽しんでます。仕事でも本当にフラットで、お互い本音で話せたりするのも、イベントで腹割って話が出来る関係になってるからだと思います。

ーお話を伺いながら西精工さんは「いい会社」さんなんだな、と思います。西さんなりの「いい会社」について伺ってもよろしいですか?
西:自分達が何処を目指したいかですよね。一昨日も、新井さんがほぼ日に出た文章を読み返しました、が自分がそこに合ってるかどうかが非常に大事ですよね。だから絶対「みんなにいい会社」は存在しません。
重要なのは、自分にとって良い会社かどうかだと思います。「自分の成長」か「誰かの成長」と捉えるかの違いですよね。「誰かの成長が自分の成長であり、自分の幸せ」と思えたら、西精工の風土文化に合うんじゃないでしょうか。

文・編集/佐藤政也

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