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Zoomtopia Japan Session

プログラミングのマンツーマンのレッスンで、Zoomを日常的に使っていることもあり、2020年10月16日に開催されたZoomtopia Japan Sessionに参加してみました。もやっと感じていたオンライン会議がもたらす変化について、改めて考える良い機会になりました。備忘録的に、以下まとめてみます。

Zoomの利用者は、コロナ前の1000万から3000倍の3億人と急激に普及したそうです。私もそのうちの1人で、生活に欠かせないツールとなっております。もはや水道や電気と同じインフラです。インターネット通販も同様なのでしょうね。

オンライン会議によって打ち壊された壁
①『地域・時間の壁』一人1時間のマンツーマンレッスンを、1日に5人以上出来るようになりました。いままでは都内を中心とした受講生が、北海道から九州まで増えました。ほんの1年前では、都内のカフェでやっていたのですが、驚くべき変化です。
②『人数の壁』同時に複数人(例えば100名)のセミナーも簡単です。
③『言葉の壁』同時通訳のサービスもあるようです。

Zoomが普及した背景
①Freemium
無料と有料でサービスが異なるアプリが多い中、ほとんど同じサービスのZoomは、主催側にとっても大きなメリットと言えます。
②ユーザビリティ
ツールの操作が簡単です。他のツールだと、主催側の立場でつながらなくて操作に苦労することが多いです。
③通信品質
モバイルWifiもよく利用するのですが、たしかに良いと感じます。レッスン開始時のトラブルは、他のツールに比べて少ないと思います。

「Zoom疲れ」について
参加してみて気になった言葉としては、「Zoom疲れ」についてですね。Zoomの社員の方も一日に多いときに19回のZoomミーティングをしたとの話がありました。私も5回/日やるとZoom疲れしてします。そのため、自粛期間には座りごごちの良い椅子とフットレストを購入して環境を整えました。また、屋内用のハンモックで仮眠がとれるようにしました。私は使っていませんが、昇降式のデスクもお勧めのようです。

Zoomの社内でも、Zoom会議の実施に対してガイドラインを作っていて、その内容紹介がありました。まだ このようなガイドラインがなくオンライン会議をされている会社も多いかもしれませんね。

ガイドラインの中でも特に共感できたのは、『感受性』です。オンライン「あるある」だと思うのですが、会議中に子供やペットが割り込んでくるときがあります。そんな時でも『本人が悪いと思わせるのではなく、子供やペットが画面に参加してきたときでも歓迎しましょう』という内容でした。いい風土ですね。子育て中のご家庭では、むしろ赤ちゃんを抱きながら会議に出る。こうなると、よりLifeとWorkの境界は融合してくるのですから、仕事と生活のバランスのとり方も変えていかなければならないです。当然、会社側でも いままで「時間や人の管理」だったものを、より「仕事や結果の管理」にシフトしていかざるを得ないです。

このまえ、車の点検にディーラーに行ったのですが、点検中の待ち時間もカフェのようにパソコン出してネットにつないで仕事をしていました。いままで会社でしかできないと思っていた仕事が、自宅や自動車の中やディーラーでも出来るようになったのです。となると、より「境界」の作り方に上手・下手、リモート格差もでてきそうです。

パネルディスカッションでは、パネラーで参加されている企業の方がZoomの導入によって変わったことを紹介してくれていました。特に印象深かったのが以下の点です。

①「会議」の在り方の変化
会議室で会議をしていた時の「あるある」ですが、会議室予約争奪戦になっていました。場所がなくて会議をリスケするなんて、本末転倒な話もありました。あと、以前はZoomで入る人の方が少数派であったため、会議室にいる人達の一体感が強くなってしまい 外からつなぐ人の疎外感が大きかったのですが、これが無くなったのは納得できます。もはや、出席者の所在地すら気にしなくなりました。出張で他の拠点に移動中だと知ると出来なかった会議が、気軽に設定できるようになりました。

②顔を出す文化への変化
音声電話をやめたという会社も出てきているようです。顔を出さない文化から顔を出す文化に変わったというのもよくわかる気がします。マンツーマンレッスンのため様々な年代・業種・人柄の方がいるのですが、オンライン上のマナーやエチケット、身だしなみというものの格差を日々感じます。たとえば「マイク」や「カメラ」は相手のためにあるものという認識がない方も未だにいらっしゃるようです。ご自身のマイクにコストをかけず相手に音がよく聞こえないのは、相手に対しても失礼ですよね。穴だらけの服で人と会っているようなものです。スーツや革靴が、マイクやカメラに変わったと話されていたパネラーの方がいました。セキュリティーの面でも、本人確認の意味もあります。顔を出す事は、5Sで言う『躾』なのかもしれないと感じました。顔を出せない状況でしたら映像をOFFにすれば、電話になるのですから、音声電話だけのシステムはむしろコストも高いかもしれません。

③議事録の変化
私はやっていないのですが、議事録をクラウド録画に変えたとの話もありました。たしかに、議事録は作成者のスキルや忖度の問題もあって、議事録の「この一文はなにを言っているんだろう」と参加してない会議では思うことがよくあります。早送りでそのシーンを見ることによってニュアンスや文脈も正しく伝わり、理解できるようになるのは納得できます。Zoomでは 英語であれば、全文テキストに生成できるようです。日本語対応が望まれます。

④トレーニングコンテンツの変化
議事録に限らず、トレーニング資料など教えている会議を動画コンテンツとして記録に残せます。繰り返し使用するトレーニング資料の作成ツールとしては、特に有効なようです。まず見てもらって、わからないところを質問してもらうことによって、トレーナーも時間を有効活用できます。複数日にわたる全員参加の会議でも最初の一回を録画して、二回目以降は録画を見てもらって、質疑だけリアル会議にしたら効率は上がりますよね。また、技術の伝承は以前から問題にはなっています。団塊の世代の退職問題や景気悪化によるリストラなどによりベテラン社員の退職・転職が日常になる中で、かつての高度成長期にはできた『一子相伝』型の師弟関係のトレーニングにコストを掛けられる余裕は、もはや企業にはない時代なのかもしれません。

JALのZoomを使った客室乗務員のトレーニング事例が紹介されていました。オンラインというと、事務職だったり管理職だったりデスクワークの方が中心で実は「現場や工場は関係ないよ」っていう思いもあったのですが、本質的にはそう考えてはいけなかったようです。トレーニングのない仕事はないですから。

その他、気になった点を以下にまとめます。

①セキュリティ
なにかとZoomでは話題となるセキュリティですが、参加した企業の判断では「正しく使えば、大丈夫」との意見がありました。その正しく使うですが、①参加者はカメラONして本人確認する、②ドキュメントをツール上で配布しない、③ミーティングIDを流出しないの 3つのルールを決めているようです。ちなみに、中国ではZoomはブロックされるようで、逆に安心感を感じてもしまいます。

②導入ステップ
導入にあたっての、進め方としてはトヨタ系列のデンソーのZoom導入事例がADKARモデルで紹介されました。
1.Awarness(認知)
 働き方改革/在宅勤務下でのコミュニケーションの維持・促進/全員が利用
2.Desire(欲求)
 希望者トライアル/納得感/全社へのアナウンス、疑問・反対者への対応
3.Knowledge(知識)
 社内イントラサイト/トレーニング・教育/録画・FAQの共有
4.Ability(能力)
 便利機能・デュアルモニタ・Webinar活用
5.Reinforcement(定着)
 変更点の周知/ 機能改善などのリクエスト収集/Updateトレーニング

③バーチャルの空間
最後のセッションでは、『今回のウィルスが本質的に何を変えたのか』という議題でした。オンライン会議の普及で、「すべてのリアル空間の裏側に、バーチャル空間が誕生した」とお話しされていました。『コロナ終息後、世の中はリアルの世界に戻るのか』に対しては、「リアルでないと実現できない価値と バーチャルでないと実現できない価値」があるので同じ姿には戻らないとお話しされていて、私もそう思います。では『バーチャルの世界が生まれたことによって、今後リアルの世界は縮小するのか』に対しては、「バーチャルの世界が生まれたことで、リアルの世界も拡大」するとお話しされていました。確かに 今回のバーチャル空間によって「リアルの世界の大切さ」も明白にしたのではないかと感じました。ただ私は現実的には希望的観測とはいかない側面もあり、縮小したり置き換わったりする業態や仕事もあるのではないかとは思います。当然新規に生まれる業態もあるでしょう。

一見、デスクワークやオフィスワークの方だけを対象と見がちなZoomですが、様々な現場(工場や学校、病院など)で活用されてこそ、リアルの世界もより良くできるのではないかと感じたセッションでした。私もオンライン中心になってしまったマンツーマンレッスンですが、リアルに対話することでなければ実現できない価値は何なのかを考えながら、当面 オンラインレッスンと対面レッスンの両レッスンを続けてみよう思います。


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