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Excel VBAは毒なのか?

Excelの講座を行っているとたまにですが、「VBAは使わない方がよいのですか」という質問をいただくことがあります。確かに、セキュリティの側面ではウィルスにもなり得るし、メンテナンスできる知識をもった社員が退職して引き継げなかったりと問題が大きいケースもあります。当然VBAを書く側にも問題のあるケースがあり、そんなコードを大量生産されてしまって引き継ぐどころではないものがあるのも現実といえます。また、Excelが一般ツールとして普及しているからこその問題とも言えそうです。

いろいろな意見があって当然で、それぞれ納得できる側面もありリスペクトできますが、わたしはVBAは"薬"と同じだと考えています。うまく使えば病気を治すことができるし、乱用すれば毒にもなります。

こう考える背景には、毒を"薬"にして使える会社とそうでない会社を見てきたからと感じます。株価を見てもコロナ禍に於いても成長し続けている会社があることは事実であり、そんな会社の1社で勤務経験をしたことがあるため、こんな風に考えるようになったのだと思います。何が正解であると言えるためには、勝ち残った者と逆に勝ち残れなかった者との差がわからないと言えないのではないかと思います(※ただ、勝ち残ったものが正しいとは思いません)。

自分より生産性の悪い人を見て「あ、ここができないんだな。こうすれば早いですよ」と言うことはできるのですが、自分よりできる人を見て「あ、自分はここができていないんだ」という気づきのタイミングに遭遇するのは、かなりの幸運が必要なのではないでしょうか? ふつうは自分ができていないことにすら気が付いていないことが多いですよね。「知らないこと」を知らないケースです。困っていないと、知りたいというアンテナも立たないと思いますが、実は困っていることにすら気が付かないというのが日常だと思います。

会社の大小にかかわらず、類似の組織構造をもったチームが複数ある場合は、1つのマクロを含んだExcelを配布して共有することにより、生産性のアップに加えてロジックの標準化という波及効果を手にすることができます。逆に組織ではなく個人で使う場合においては、時間軸に対してばらつきのない安定したデータの取得ができます。この標準化による大きなメリットは
・『省』思考化による生産性の向上
・ロジックのばらつきをなくすことによるデータの信頼性向上
ですが、加えて
・「データの取得」側から「データの活用」側へとマインドを変える
ことを加速してくれます。みなさんの身の回りでも データを取るだけに終わっているケースや、集計が終わって満足しているケースも多いのではないでしょうか? データや業務そのものにも5Sが必要ですね。

ただこの場合注意したいのは、全員が『省』思考となると困りますので「ロジックやプロセスを考えることができる人」と、それを「ロジックに書ける人」と「使うだけの人(データを活用する人)」とを意識しないといけないと思います。当然、ひとり3役でも構わないと思います。賛否はあると思いますが、全員が改善側に回ったら生産性は落ちるし標準作業も成り立たず、そもそもそこまでの知的作業を現場レベルにまで求める給与水準だったっけという点にも疑問が生じます。このあたりが、うまくやれる会社とそうでないケースに明確に分かれていると感じます。

それではVBAをうまく使うという点ですが、実はいろいろあると思っていますが ひとつ代表的なキーワードとしては、「少しだけ使う」だと思います。言葉で逃げるのでしたら「適度に使う」なのですが、「少しだけ」はコード量が少ないというよりは、シンプルに使うということだと考えます。このシンプルとは、コードというより全体のプロセスをシンプルになるよう考え、コードもシンプルにかくということを示唆しています。当然、参照設定をバリバリ使って行数はすくなくてもシステム的に複雑というのはダメということになります(環境条件によっては、良い場合もありますが、)。

勝ち組みの会社がコロナ禍でも更に成長している姿をみると、"薬"と同じだと思っていたExcel VBAですが、ウイルスになり得るどころか実はワクチンだったのではと感じることもあります。常に環境変化に追従できるように、いろいろなワクチンを開発して打ち続けていたのでしょうね。VBAはシンプルに構成され書かれており、ビジネスロジックに様々な種類があるのです。シンプルがゆえに本質的なハードルは低く単純なので、本当はすぐにでも勝ち組の会社に肩をならべられるはずなのです。是非 集計を効率化して、活用側のステップへコマを進めましょう。

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