昨日の罪
「此処では手に入りますか」
「何処でも手に入らないものもあるんだ」
「夢の中では手に入りますか」
音だけが聴覚を抜けてただ素通りをして空白になってゆく
定まった何かが欲しくて
私は一から数字を数える
痛みでもいいから与えてくれないか
もう十万になったころでありますか
十万を数えた辺りで幻覚が見え始めて
普通の人間ならばもって二、三日というところでしょう
「背負わなくても許してくれますか」
光は僕が変わらない状態であるということを知らせるだけである
そして私は気づく
虫は虫を
空白は空白を
その時こそ罪になると
「それが運命というならば誰に咎められますか」
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