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さまざまな気づきのあった、古民家の暮らし訪問


愛農かまどのクラウドファンディングを支援してくださった方に,そのお礼(リターン)として,3月初旬にコーヒー生豆の焙煎とくるみ割りを体験していただきました。そのことについて,すてきな文章を書いてくれましたので,本人の許諾を得て全文を紹介します。


昨日は滋賀の古民家に住む友人を訪ねてきました。

バスが日に何本という小さな集落の古民家に昨夏から住み始めた友人夫婦です。

家に入ると、土間でかまどの火が燃えています。懐かしい木が焼ける匂いが立ち込めていました。

古民家の暮らしは、高い段差があったり、冬の寒さが厳しいことなど、今私たちの生活の中で、遠ざけていたことが日常です。でも友人夫婦はそれを苦にするのではなく、当たり前に受け入れて淡々とその暮らしを営んでいるところが新鮮でした。

愛農かまどでは、薪ではなく細い柴で煮炊きができます。大きな鉄窯で炊くご飯。鉄のお鍋にたっぷりと温められているお味噌汁。なんだか、心がほっとするような風景なのです。

久しぶりに会う心友と一緒にこの友人夫婦と会っています。また、今日はもうひと家族も、体験に来られています。

実はご主人が愛農かまどを作る、というクラウドファンディングをされ、そのリターンとして、コーヒー豆を焙煎する、鬼ぐるみの実を割って取り出す、という体験をしに来ている私たちなのでした。

体験の前に、まずはかまどで炊いたご飯と、お漬物、お味噌汁の昼食をいただきます。かまどで炊いたご飯の美味しいこと。参加しているご家族の小さなお子さん二人もぱくぱく。おかわりをしているお子さんも。お漬物もかまどご飯に良く合うのです。お味噌汁も身体が温まります。

食事が終わると子どもたちはお父さんと外へ遊びに出かけるのもなんだかほほえましい風景です。

こたつで談笑したあと、コーヒーの焙煎をします。生豆を10gほど測って、カセットコンロの火で、自分の好きなくらいまで焙煎します。それを、自分で挽いて、粉をカップに入れ、お湯を注いで、ゆっくりと粉が沈むのを待っていただきます。

私は東ティモールの豆を選びました。焙煎していると、豆がはじける音がして、香ばしい香りが漂ってきます。粉を挽くとさらに香がたちます。お湯を注いでじっくり待つ、という時間もいいですね。ゆっくりと自分のために時間を使う、ということを味わっていました。

コーヒーをいただいた後鬼ぐるみの作業をするまでの間は、こたつに入ってのんびりおしゃべり。懐かしい日本家屋の部屋の中でこたつに入っていると、気持ちが緩みます。時間に追われなくなるようにも感じます。

次は鬼ぐるみの実をとる作業です。鬼ぐるみは、普段よくみるくるみの実よりも少し小ぶりです。水に漬けておいた鬼ぐるみを、厚みのある小さな鉄鍋の中で炒めるように転がします。二つに合わさっている殻のつなぎ目に少し間が開いてくるまで、転がします。つなぎ目に隙間ができたら、火を止めます。そして、その隙間をこじ開けたり、くるみ割りで割ったりして、中身を取り出すのです。地道な作業なのですが、みんなで無心でするとなんともほのぼのと楽しいのでした。時々実をつまんで食べたりしながら続けました。子どもたちも飽きてくるまで参加していました。鬼ぐるみの実はご飯に混ぜても美味しいのだそうです。

作業が終わる頃には夕方になっていました。ゆったりとした時間を過ごし、気持ちが穏やかになってゆくのを感じていました。

焙煎し、粉を挽いた珈琲をいただいたり、くるみの実を無心にとったり。それは自分のために使う時間。自分で食べるご飯をかまどに火をおこして炊くのも、自分のために、じっくり使う時間ですね。それは自分を大切にすることにつながり、そんなことからも気持ちが穏やかになるのかもしれない、と思うのです。

手間をかける豊かさを思い、さまざまに考えさせられました。簡単に済ませることで、時間はできるかもしれないけれど、その時間を私はいったい何に使っていたのだろうか・・・と。時間にせかされ追われている生活の貧しさを反省したのでした。この手間をかける豊かな暮らしが、友人にとっての日常であることが、すごいことだな、と思うのでした。

私が日常に帰ると、また、時間に追われる生活が戻ってくるのですが、でも、手間をかける豊かな時間があることを意識しながら過ごすことで、少し違ってくるかもしれない、と思うのです。

さまざまな気づきのあった、古民家の暮らし訪問。また、その感覚を味わいに出かけられたらと思います。人間らしい時間を過ごすためにも。

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