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『ヒプノシスマイク』30曲分くらいの音楽ネタを解説しようと思います【Part 3】

▼【Part 1】
『ヒプノシスマイク』30曲分くらいの音楽ネタを解説しようと思います【Part 1】
▼【Part 2】
『ヒプノシスマイク』30曲分くらいの音楽ネタを解説しようと思います【Part 2】


この連載企画も第三回となりました。
【Part 1】、【Part 2】ともにTwitterでの反響も予想以上に大きく、なかでも
HIPHOPは全然知らないけどヒプマイが好き」という方に多く読んでいただけているのかなという印象で、本当にありがたいです。
記事内では、極力HIPHOP用語を使わずに(※使ってもこんな感じのカッコ書きで注釈つけます)、あくまでサンプリング(※引用)の元ネタを通じて、ヒプマイ楽曲に対する皆さんの解釈の幅が広がるような内容になればと思っているので、最後までお付き合いいただければ幸いです!

※解説に入る前に…

本記事では、Spoyifyプレイリストヒプノシスマイク 音楽ネタ 【サンプリング⇒元ネタ】の曲順に沿って楽曲のご紹介していきます。Spotifyユーザーの方は、ぜひご一緒にお楽しみください。

▼リンク先
ヒプノシスマイク 音楽ネタ 【サンプリング⇒元ネタ】


解説スタート!


1. 「T.D.D LEGEND」 - ヒプノシスマイク -D.R.B- (The Dirty Dawg)

【元ネタ】「Walk This Way」 - Aerosmith

現在は各ディビジョンでリーダーを務める4名によるレジェンドグループ、The Dirty Dawgのマイクリレー曲ですね。
今回ご紹介するのは、歌詞でなくビートのサンプリングです。
【元ネタ】は、ロックバンドAerosmithの代表曲「Walk This Way」で、ギターリフの「デレレレッ! デレレレ~♪」という世界的に有名なフレーズが、「T.D.D LEGEND」の一郎さんのVerseで引用されていますね。
この曲の作曲を担当したR・O・N氏は、初期OLDCODEXのメンバーとして「カタルリズム」の作曲を手掛けたり、『A3!』では秋組のユニットテーマ曲「oneXone」の作曲など、ロックサウンドをラップなどの他ジャンルに混ぜ込む「ミクスチャーロック」楽曲に定評のあるクリエイターです。
そのため、「T.D.D LEGEND」の作風についても、まさに氏の十八番といった仕上がりです。
HIPHOP畑への楽曲オファーが目立ちがちなヒプマイですが、それ以外でもしっかり発注の意図が見えるヒプマイ陣営の楽曲意識の高さが垣間見えますね。

また、「Walk This Way」をラップに混ぜ込むという手法ですが、実は、ミクスチャーロックの先駆け的な存在として知られるニューヨークのRun-D.M.C.というHIPHOPグループが、1986年にリリースした同名曲「Walk This Way」で用いています。

RUN DMC - Walk This Way (Video) ft. Aerosmith

Aerosmithのメンバーも楽曲参加し、もはやサンプリングというよりはカバーといった感じですね。
「T.D.D LEGEND」も、このRun-D.M.C.から着想を得た部分も大きいのかなと個人的に思っています。


2. 「おはようイケブクロ」 - ヒプノシスマイク -D.R.B- (Buster Bros!!!)

【元ネタ①】「おはよう日本」 - 般若

(※公式動画が見つからなかったので添付省略します)

【元ネタ②】「DA.YO.NE」 - EAST END + YURI

(※公式動画が見つからなかったので添付省略します)

バスブロの名(迷?)曲、「おはようイケブクロ」です。
キャラクターソングだと、こういうラジオみたいな風変わりな構成の曲でも映えちゃうのが良いですよね。
まず曲名のサンプリング元は、フリースタイルダンジョン初代ラスボスとしても知られる、レジェンドラッパー般若の「おはよう日本」です。
ちなみにこっちは、ピースなおはブクロとは真逆で、日本社会にブチ切れまくってる楽曲なのでビックリしないでくださいね笑

【元ネタ②】は、紅白出場を果たすくらい、お父さんお母さん世代で流行った1994年リリースの曲です。
引用されているのは、以下の三兄弟の掛け合いの部分です。

一郎「二郎三郎、愛してるぜ」
二郎・三郎「………それは言ってもらいたい! DAYONE!」

ぜひ、この部分をお父さんお母さんに聴かせてあげてください。
親とも聴ける、ヒプノシスマイク。


3. 「IKEBUKURO WEST GAME PARK(Boyz Sunshine remix)」 - Buster Bros!!! - ヒプノシスマイク -D.R.B- (Buster Bros!!!)

【元ネタ】buddha brand ILL伝承者 さんピンCAMP (※非公式動画)

まず、注釈の通り元ネタの方が非公式動画なんですが、remix担当したご本人がTwitterで上げてたんで良いかなと思いまして…。

ということで、先ほどの「おはようイケブクロ」の作曲を担当された三浦康嗣氏によるremixです。
冒頭の「これが、これが、これが…」って部分ですね。
このremix、他にも色んな素材を切り取って貼り付けてそうなんですが、ちょっと分かんないです(すみません)。
例えば、動画の1分4秒~1分6秒ほか何度も使われているフレーズは、「『ヒプノシスマイク』30曲分くらいの音楽ネタを解説しようと思います【Part 2】」で、歌詞のサンプリング元として紹介した「B-BOYイズム」のイントロをピッチ上げて再構成した感じにも聴こえますし、1分7秒~1分8秒のフレーズは、Zeebraの「Street Dreams」っぽい感じもあります。
後者は、原曲よりもMCバトルで生バンドが演奏していたアレンジの方が似てて比較しやすいので、そっちの動画を紹介します。

輪入道 vs 呂布カルマ【真 ADRENALINE】決勝
※3分45秒~4分00秒あたりで試奏している部分が該当です。

どちらも日本語ラップでは超有名どころのビートで、ちょっとベタ過ぎる感はあります。
ただ、ヒプマイ楽曲の元ネタは、これに限らず、あえて有名曲から引っ張ってきているような印象もあるので、可能性はあるかなと思っています。
この辺り、もしHIPHOPヘッズでこれを読んでくれてる方がいれば、Twitterなり本記事のコメントなりで、ぜひぜひご意見お待ちしています!!

※おまけ

「IKEBUKURO WEST GAME PARK」の、remixじゃない原曲verの方のサンプリングについては前回記事で取り扱ったんですが、ひとつ紹介が漏れていたネタがありました…。
「IKEBUKURO WEST GAME PARK」は、「YO LIFEは一回きりのSHOW TIME…」という歌い出しで始まるイントロのアカペラパートが特徴の一つですが、ここにも元ネタがあるんじゃないかなと思っています。

「10Balls+2 featuring Kick The Can Crew」 -  RHYMESTER
という楽曲があるんですが、これの「B-BOY PARK 2000」で披露された際のライブver.が元ネタっぽい感じがします。
残念ながら公式で動画はあがってなくて、「B-BOY PARK 2000 RHYMESTER,KICK THE CAN CREW」みたいな感じでYouTube検索してみてください。


4. 「シノギ(Dead Pools)」 - Hypnosis Mic -D.R.B.- (MAD TRIGGER CREW)

【元ネタ】Swimming Pools (Drank) - Extended Version - Kendrick Lamar

「ハマにハマれ」でおなじみ、MTCのユニット曲「シノギ(Dead Pools)」には、曲名やフロウ(※歌い方の節回し)など、全体を通じて明確な元ネタがあります。
それが、Kendrick Lamarの「Swimming Pools (Drank)」です。

Kendrick Lamarは、10年代以降のHIPHOPシーンでおそらく最も有名なラッパーの1人なんじゃないでしょうか。
上に貼ったMVの再生回数、8,900万回です…。
出身は、前回記事の「Yokohama Walker」で紹介したロサンゼルスのコンプトン市。ギャングスタラップの聖地で、激・治安悪シティです。
ただし、彼自身は別にギャングだった訳ではなくて、この曲が収録されている『good kid, m.A.A.d city』というアルバム名も、そのまま訳すと”マッドシティの良い子”なんですよね。
詳しいプロフィールはウィキペディア等をご覧いただければと思います。

「Swimming Pools (Drank)」は、水泳プールの水をお酒に例えて、「悪そうな奴と仲間の誓いを立てるために、アルコールをショットでガンガン飲む」的な内容です。
わたしのめちゃくちゃ偏差値の低い要約だけを見ると、この曲に対してストロングゼロ飲んでハイになってるTwitterオタクの全米版みたいな印象を受けるかもですが、この曲が収録されている『good kid, m.A.A.d city』は、全編を通じて一本のストーリーになる構成になっています。
有名曲で多分ネットに和訳あげている人もいると思うので、正確な内容はぜひご自身で調べていただければと思うんですが、「Swimming Pools (Drank)」の曲中で親友を撃ち殺された主人公(=Kendrick Lamar)が、その後、自身を心配する親からの電話や自身の葛藤を経て、治安ヤバヤバなコンプトンという街で生き抜くということ、本物の”リアル”とは何かを追求していく、たいへん重たい内容の一枚に仕上がっています(ちなみにアルバム最後の曲名は「Compton」)

「シノギ(Dead Pools)」を読み解くにあたって、『good kid, m.A.A.d city』に触れてみる、というのはちょっとハードル高めかもしれませんが、単純に「元ネタと歌い方似てるな~」くらいで楽しんでいただく分にも、今回紹介した冥利に尽きるので、ぜひ2曲を聴き比べてみてください!


今回はここまでです!

本当はオオサカ・ディビジョンまでご紹介したかったんですが、ちょっと分量が増えてしまいました。
オオサカは、次回、記事の頭から何曲かガッツリ解説していくのでお楽しみに。

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