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YC W23 Batch - Zenfetch

YC W23 Batchの採択企業から個人的に面白いと思ったスタートアップを紹介します。本日はホワイトカラーの日々の学びや記憶を助けるAIツールを提供するZenfetch。

ホワイトカラーの労働者は1日に平均34GBの情報を消費しており、これは毎日「ホビットの冒険」を読むのと同じ量ですが、その90%は週末までに忘れてしまう、というホワイトカラーであれば誰もが思い当たる節のある共感性の高い課題に挑むスタートアップ。
かくいう私自身も、スタートアップ経営や投資関連で情報探索をしている時に見つけたネット上の記事を読みながら、その当時は「この記事とても学びが多いな!」と思い読み進めていたのに1週間後には全て忘れてしまって記事のタイトルすら浮かばない、なんてこともザラにあるのでこのペインには非常に共感し、早速同社のGoogle Chrome Extensionをインストールしました。。

Zenfetchは、Youtubeやブログ記事などの保存や、AIによる要約をワンクリックで行える機能をChrome Extensionとして提供しています。保存した記事はダッシュボードから閲覧でき、情報をフォルダ分けしたり、一定期間経過後に通知を出して忘却曲線に則って再度覚えなおしたりすることができ、非常に便利です。

過去に保存したコンテンツのダッシュボード画面

また、サイドに表示されるアイコンからChatGPTと同様のチャット形式で閲覧しているWebサイトに関する指示(要約)や質問などがシームレスできるのも優れたUXで実際にユーザーになった身からしても便利だなーと感じました。

Webサイト画面からシームレスに使えるボタンが出るのでUXに優れている


ただなぜかY Combinatorの紹介サイトでは別の具体的な製品「Zenfetch - Real-time sales copilot」が紹介されていました。
セールスミーティングにおいて見込み顧客から投げかけられる質問や押し返しなどを自動で認知して、これに対して顧客のコンバージョンレートが高くなる回答をリアルタイムで自動生成します。このツールによりセールスが製品の複雑な情報や競争環境などを学ぶ際の忘却率を低減し、クローズ率を最大30%まで向上させたという実績があるそうです。Zenfetchは、特に複雑な製品を扱うチームや、新しいセールス担当者を雇ったばかりのチーム向けに設計されています。


Zenfetchの設立者であるGabeとAkashは、Johns Hopkins大学で出会い、最初のスタートアップを共に立ち上げた後、Zenfetchを2022年に設立。ニューヨークに拠点で活動しています。Akashは以前Metaで最年少プロダクトマネージャーを務め、GabeはStripeの金融犯罪チームで機械学習エンジニアとして働いていた、という非常に強いバックグラウンドを持つ二人で、今後の成長が楽しみです。

こうしたホワイトカラーのありきたりな課題意識から生まれるHorizontal型のSaaSは、当たれば大きい反面、PMFに時間と運を要する分野だと思っており、とにかくわかりやすくイケてるデザイン・UIで攻めるというのは最低限必要だと思っています。そういう点ではこのZenfetchは思わず使ってみたくなるデザインで、スケールしていく可能性はあるのかもしれませんね。

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