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富雄丸山古墳の現地公開

福岡からビューンと奈良へ飛ぶ

多くの考古ファンの度肝を抜いた長ーーーーーーい蛇行剣と見たことなさすぎ形状の鼉龍文盾形銅鏡(ダリュウモンタテガタドウキョウ)が出土したことで一躍有名となった富雄丸山古墳に…来てしまいました!

ワクワクが高まる看板。現地説明会ではなく現地公開。
発掘現場を覆う建屋の前。寝不足顔だけど心はウキウキ

主役は、割竹形木棺

地味やなぁと思われるかもしれませんが、これがすごい。通常であれば、腐食して土と化してしまい、影も形も無くなってしまうことが多い木製の棺。それが、先日発見された長ーーーーーーい蛇行剣と見たこと無さすぎ形状の鼉龍文盾形銅鏡(ダリュウモンタテガタドウキョウ)が棺の上に乗っかっていたことで、銅イオンの殺菌作用により朽ちることなく残っていたという奇跡を目の当たりにすることができる現場なのです。

レプリカやイメージ画像などで見ていた木棺。極めてオリジナルに近い状態で見られる千載一遇のチャンス到来!ということで見学に行ってきました。たまたま翌日に名古屋入りする予定だったので、寄り道のような気分で参加できたのが幸運でした。福岡と奈良は遠いよね…。

立ち止まらないでくださーい!

発掘現場を覆う建屋の中に、約20人ずつ入って見学します。
学生さんたちが誘導などを担当していて、常に「立ち止まらないで」とアナウンスをしていました。木の棺を凝視しながら少しずつ横移動をして進みます。なんか阿修羅展を思い出すなぁ。

空間を区切る仕切板が想像以上に分厚い。
左端の副室にある青銅鏡3枚も本物です!
被葬者の頭があったと考えられる部分を中心に、鮮やかな水銀朱の色が残る。

本物だ!本物だ!本物だ!

こんなに生々しい状態の木棺を見ることができるのは、人生これっきりかもしれません。左端にある3枚の青銅鏡も本物だと知っているのに「本物ですか?」って聞いてしまいました。このうちの1枚が三角縁神獣鏡の可能性があると報道されていたものなのかな。左の副室と右の主室を隔てる仕切板の分厚いこと。美味しそうなステーキにも見えてくる。被葬者の足元に見つかった竪櫛9点と木棺の蓋部分は、いつか博物館などで見られる日がくるのを待ちたいと思います。

出土木棺に水をやりましょう

腕に光る「奈良大学」の名前。母校ーーー!(私は国文学科なので歴史関係ないけども)

木棺が乾燥してしまうと縮んでしまうので、定期的に水で濡らしている様子。初日の3月16日はとても暑い日だったので、回数多めだったのでは。案内役の学生さんに聞いたら、約10分に1回程とのこと。想像より多かった。本当にお疲れ様です。

古墳は考古界の社交場である

日頃、古墳古墳言っていますが、まだまだ九州の古墳を少しずつ知りはじめたレベルで、関西の古墳界隈は憧れであり未知の世界。情報は知っていても、現地に行くのは今回がはじめて。恐れ多い気持ちもあり、ふらりと行ってさらりと帰るつもりでした。

「がちゃんさんですか?」
「コダイプレスさんですか?」

声をかけていただくこと複数回。えええー?!貫頭衣を着ていないのに、不思議不思議。勇気を出して声をかけてくださった皆様、本当にありがとうございます。めちゃくちゃ嬉しくて、漏れなく記念写真撮らせてもらっちゃいました♡

帰り際にバス停で待っていてくださった蓼沼さん(中央)と通りかかった林さん(右)

これまでにお世話になった方々にも会えて、古墳は考古界の社交場なんだなぁと思いました。現地説明会をしている状態ではない古墳でも、ばったり会えて嬉しいってことありますもんね。あと、ひたすら古墳を愛でる会社さんの古墳作品を持っている方にたくさん会いました。さすがやで、ひたこふさん。私も持ち歩いています。常に3つほど。

さいごに

公開日の2日前に発表されたのにも関わらず、開始時間前から続々集まる見学者の姿を見て、注目度の高さがよくわかりました。最寄の近鉄学園前駅から臨時バスが出ているし、誘導もスムーズ。行列に並んでいる間も、サポーターさんが明るく楽しく話しかけてくれます。墳頂付近にもいらっしゃるサポーターさんたちの説明もわかりやすく専門知識が豊富。地域の歴史に誇りを持つ人たちが集まる場所になっていて、ああ、遠くから来て良かったなぁと思う現地公開でした。

配布資料データ

現地で配布された資料は、こちらで見ることができます。
全国遺跡報告総覧「富雄丸山古墳の発掘調査 第7次調査」

絶景かな絶景かな 墳頂から造出し部の発掘現場建屋を望む。


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一度は行きたいあの場所

1基でも多く古墳を巡りたいです。毎年開催している古代フェスで、更におもしろいことを企画する活力になります。