「ゴジラ×コング 新たなる帝国」を観てきました。
「ゴジラxコング 新たなる帝国」を観てまいりました。
全体的にいえば思ってたよりは面白かったと思います。
俺も予告編に出てくるコングと一緒に全力疾走するゴジラをみて「ああ、この映画はダメだ…」と不安視したが、映画はやはり本編を観て批評するに限る。
どこぞのバカ映画部部員とやらが、マイナスワンを観もせずに駄作とぬかしてやがったが、やはり映画は本編を観たうえで語るのが一番だ。
前置きは長くなったが、本作は娯楽映画としてはまあまあ面白い作品であることは間違いないだろう。
ただ、本作悲しいことに「ゴジラマイナスワン」という超傑作があったので本作はやっぱり比較対象になってしまうし、俺もしてしまう。なのでアレと比べると残念ながら…見劣りはしてしまうだろう。
こんなことを言うとフヌケたことを言うヌケサクがこういうだろう。
「マイナスワンとは路線が違う!!!」などと…。
だが、どちらもゴジラという対象を扱っているのだから比較されるのは当然なのだ。
それもあくまで比較してみた場合であって、本作は単体としてみればまあそこそこ悪くはない映画であるとは思う。
まあ、というわけで本作のよかったところと悪かったところについてレビューしていきましょう。
よかったところ
そんな本作のよかったところはキングコングとゴジラ、それぞれが似ているポジションにいるようにみえて、実は大分違うキャラにしているところに尽きる。
また怪獣たちが上手くそれぞれ立ち位置が別れているのですんなりと理解しやすくなっている。
まずキングコングは人間に似ているので表情がかなり出し方がうまい。
絶対的善玉が欠けていたプロレス団体ことモンスターバースはようやく圧倒的ベビーフェイスにして主人公であるキャラクターを手に入れたといえるだろう。
本作のキングコングは空洞世界といわれる地球の底にある別の世界の怪獣であったことが前作と比較しても改めて強調されている。
そして、その多彩な表情から感情が読み取れ感情移入がしやすい存在として機能している。
また本作のキングコングは人類に対しても比較的人当たりがよく、人類を守護対象としてみなしている。
そんなコングが改めて本作でようやく家族を手に入れた…ということは明らかにコングにとって幸せといえるだろう。
WWE的に言えばアメリカを代表するヒーロー、秩序にして善ことハリウッドでも活躍するジョン・シナに近い存在としてコングを生み出している。
そして、気になる怪獣王にして破壊の神であるゴジラだが…ポジション的には地球の味方というかバランサーであるが、それはあくまで自分の縄張りを犯さないのであればであったりする。
ここら辺はうまく、自分に邪魔する存在であれば人類であろうと怪獣であろうと容赦なく殺そうとする暴君っぷりがあり、本作はフランスでいきなり破壊活動を行い原発を破壊したり、無関係な怪獣の巣をいきなり襲ってエネルギーを奪おうとしたりするジャイアン的な存在としてゴジラが出てくる。
当然人類としては「怪獣を倒してくれるのはありがたいけど、実際になったら頼りにできるのはコングの方だよな…」となってしまう。
本作の監督であるアダム・ウィンガードは「ゴジラはアンダーテイカー的な存在として描いている」と前作で語っていたが、その路線は本作でも強調されている。
アンダーテイカーは、アメリカのプロレス団体WWEで長い間シナリオの内外問わず恐怖でレスラーを支配していた暴君だった。
まさしくゴジラはこのモンスターバースというプロレス興行においてのアンダーテイカー、つまり早い話がボス的存在であるといえるだろう。
守護神にもなれば破壊神にもなる。
また本作でゴジラとコングの前に出てくる敵怪獣つまりヒールレスラーとして出てくるのはスカーキングだ。
このスカーキングは、かつてゴジラと地上の覇権を争ったものの敗北して地底に逃げたコング族の一員で、地底世界を文字通り支配しているゴジラとはタイプの違う暴君である。
スカーキングは、体格ではコングで劣るものの技能では勝り武器を巧みに使い、必要とあれば部下をけしかけるまさしく権力者系ヒールレスラーを怪獣に描いたようなキャラである。
この強さ設定が巧みだ・
WWE的にいえばヒール軍団「エボリューション」や「オーソリティー」のリーダーとして君臨していたトリプルHに近いだろう。
予告編では明らかに小物臭いので大丈夫かコイツ…となったがまあ本作を観ればその小物さがうまくいっていたといえる。
他にも隠し玉的な怪獣としてシモという冷凍怪獣が出てくる。
こいつは要するにスカーキングの子分であるが、スカーキング以上に強く地球に氷河期を起こすほどの戦闘力があるキャラとして出てくる。
ゴジラと互角に渡り合える体格と能力を持っており、彼らがブラジルで戦うラストバトルはデカい画面でみるとのけぞるほどの迫力がある。
WWE的に言えば、「レボリューション」の用心棒であったバティスタに近いキャラだろう。
このように怪獣キャラの描き分けはうまく成功していた。
まさしくアダム・ウィンガートという男はモンスターバースにおけるビンス・マクマホンそのものだ。
この采配はうまくいっていると思う。
またこの怪獣どもがブラジルで暴れまわるラストパートは本当に面白い、ここは想像以上に面白かったので、オンデマンドなどが出ればまた観てみたいと思ってしまうデキにはなっている。
と、ここまでが本編のよかったところである…。
では、ここから始めよう本作のダメなところの紹介を…。
ダメなところ
まあ、本作早い話が人間パートはゴミのように退屈であった。
しかもこの人間パートが糞長いんだ…。
本作ぶっちゃけ1時間55分と近年のハリウッド映画にしては短い方に入ると思うのだが…体感時間的にはあまりにも長すぎて流石にウンザリしてしまった。
また本作の設定として「空洞世界」というのがあるが流石に地球の底にもう一つ生態系がありました!!というのは前時代的すぎるし、正直うまくいっていないと思ってしまう。
そもそも地底世界なのになんで太陽光が行き届いてるんですか???という話だ。
この設定は土台無理がある。
モンスターバースとしてはこの設定をゴリ推しして番外編を狙おう‥とか考えているのだろうが、話題になっていないドラマ版同様この設定はうまくいきようがないでしょう。
また本作のラストでシモという怪獣が放った氷河期光線をゴジラの熱線で溶かしていくのだが‥‥よくよく考えてほしいがゴジラの熱線には放射能がある。
ということは恐らくあのあとブラジルは黒い雨が降り注ぎ、地獄のような状況になっているのではないだろうか。
あと、俺が本作を評価していないのは人間の被害描写が全く欠けており緊張感がないところにある。
これは恐らく被害描写を出すとゴジラたち怪獣に感情移入がわかないからなのだろうが、それは言い訳である。
やはり「ゴジラマイナスワン」がそれなりに被害描写に向かっていたのを見習い、続編をやるのであれば真剣にゴジラたち怪獣がいずれ人類には危険な存在になるということを逃げずに描くべきであるといえるだろう。
まとめ
まあ、速い話が本作…そこそこ面白い映画ではあるが、設定にアラがあったり現実離れし過ぎて「ゴジラマイナスワン」と違い感情が湧きたつサムシングがあったかというとなかったといっていい映画だろう。
点数は
70/100点
駄作かというとそうでもないけど、オールタイムベストかというとそういう風でもないといった感じだろうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?