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『本を読んだことがない32歳が初めて本を読む』を読んで

2024年8月3日に発売されたこの本。
予約していたのに届いたのは8月6日で、少々波に乗り遅れた感はありますが、私の感想を残しておきます。

本当はもっと時間をかけて大切に読むつもりでした。
この本のタイトルにある「本を読んだことがない32歳」ことみくのしんさんが、大切に本を読む話だから。
でも、無理でした。だって、面白すぎたから。

もともとオモコロの記事から大好きで。
本が読めないと思っているけれど実際は自分に合うスタイルで読書をできていなかっただけで読み始めたら本の中に入ってしまえる、読書の才能が抜群にあるみくのしんさん
助け舟は出しつつ、好きなようにやるのが正解と新しい読書スタイルを肯定し続けるかまどさん
みくのしんさんの読書は、かまどさんが隣にいることが前提条件になってて、面白い。
この二人だからできるとびきりの読書だなと思います。

みくのしんさんのことをよく知るかまどさんが「これを読んだ感想が聞いてみたいな」と選んだ作品たちは、バッチリみくのしんさんにはまっていてさすがだなと思いました。
どの話でもいい読書体験ができるわけではないだろうし、どんなに面白くても本だと思ってしまうとやっぱり読み始めること自体が難しいだろうし。
作品選びって本を読むことに抵抗が無ければ、好きな作家さんの作品だからとか流行ってるからとか周りに勧められたからとか表紙やタイトルに惹かれたからみたいに、選ぶ手段は山ほどあって簡単ですよね。
なんなら読みたい本がありすぎて迷うくらい。
でも、本を読むことに抵抗があるとその一歩目がものすごくハードルが高いんだろうなって思います。
まず自分に読めるのかっていうところから始まって、読めそうだと思っても面白いと思えるかわからなくて、面白いって思えないと駄目な気がして、結局本を手に取るのを諦めてしまったりするんじゃないかな。
だからってよく知らない人におすすめされても読もうなんて到底思えないだろうし。
初めの一歩を踏み出すときの作品を信頼する相手に選んでもらうと、読書のハードルは格段に下がるということが二人の読書からわかりました。

みくのしんさんが感情豊かに、時には登場人物になって時には「みくのしん」になって物語の中に自分をねじ込みながら読書する姿が、いいなと思いました。
うらやましいなと、思いました。

私は集中力が切れたら、よく本を音読します。
小さいこどもがいるので読み聞かせの本を声に出して読んだりもします。
でも、私が物語の中に入ったことはありません。
後から、もしこの世界に自分がいたらとか考えることはあっても、物語の途中で自分がその物語には出てこないです。
感情移入はできても、頭の中で映画を流しているだけというような感じ。
物語の世界をあくまで外から見る読書しかできません。
でも、みくのしんさんは本当に物語の中に自分のまま入ってしまっていて、私はここに抜群の読書センスを感じました。
時間も体力も普通の読書よりかかるだろうけど、この読み方ができるみくのしんさんにこそ知ってほしい物語がたくさんあります。
ただ、見ず知らずの私なんかじゃなくて、かまどさんが山ほど紹介してくれると思うのでお任せします。

私はきっとこれからも文字を追うだけの読書をしていくんだと思います。
私にはそれでも十分面白いから。
ただ、本を読んだ後感じたありのままは大切にして生きていきたいなと思いました。
読了後の感想って、生きてる今によって同じ本を読んでも全然違うし、当たり前に全員違うものですよね。
たったひとり私だけが感じた宝物を、ただ面白かったとか好きじゃなかったとかよかったとかそんな言葉だけでクシャっとまとめるのはもったいなさすぎる。
読書って読んでるときのわくわくと読み終わった後の宝物を大切にする体験だと、私は思っています。
ただ最近は、「そういう話ね、面白かった」ぐらいの気持ちでなんとなく本を読んでいました。
本ってなんとなくで読めないはずなんですよね、本来は。
たくさんの文字を頭の中に流して情報を処理した気になって、結局は自分が思う読書を自分が一番できていませんでした。
本を読むって楽しいことだ。
そんな当たり前を思い出させてくれたこの本には感謝しかありません。

本ってわくわくで手が止まらないものなんです。
読み終わったら思わず感想を書きたくなるものなんです。

この本を爆速で読んで、読んだその日に感想を書いている私がいるので、これは絶対的事実です。(私調べ)
『変な家』で大ヒットしたオモコロライター雨穴さんの書き下ろし小説も読めるので、気になった方はぜひ。
webライターさんが書いた本だけあって、読まない壁を軽々超えてどんどん読みたくなります。
各物語ごとに書かれたみくのしんさんの読書感想文はまっすぐ明るくぶっとく、私の心に突き刺さりました。
特に『一房の葡萄』の感想文は、決して長くない文章だけど、この文章に出会えた人生でよかったなって思いました。
それくらい大好きです。
そして、かまどさんのあとがきは、温かさがいっぱいで、勝手ながらちょっとこっちに寄り添ってくれている気もして、この本の一番最後の文章がかまどさんのあとがきでよかったです。
わくわくだけで進めて、面白かったの勢いで書いたけど、次はもう少し味わいながら読もうかな。
というわけで、2周目いってきます。

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