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AIとサーチエンジンの未来

当社(サーチエンジンの開発会社)の若手エンジニアがAIを使った新しい処理のデモを私のところに見せに来た。コンテンツの中からそのコンテンツをもっとも代表する画像を自動で切り出す処理だ。そしてそれは単純なロジックでは稼働しておらず、複数のAIが個別の学習により、同じデータを扱うものの、どのAIのデータを採択するか、もしくはミックスするかさえ、AIが決めるというシステムであった。一見単純そうな処理に、何故そのような複雑系のアルゴリズムを付与したのか聞きそびれたが、この話と WIRED の記事のマシンインターネットの話はほとんど同じだ。

即ち、先ずはシンプルなAI処理を作成する。これをAPIでカプセルしてHTTPプロトコルで使えるようにする。これを複数作成し、これら全ての処理系と接続できるAIを用意してこのAIはAPIを通しておのおのの処理系、即ちサーチエンジンを駆動する。どの結果をどのように使用するかはこのAIが決定するが、その結果は各処理系のAIへフィードバックして学習に役立てる。という塩梅だ。

これだけをもってAIとサーチエンジンの未来と言い切るのは早計だが、このように処理系はシンプルに実装しHTTPプロトコルで疎結合出来るような実装を組み合わせ、時には他社サービスや外部のAPIを組み合わせ、サービスを提供する時代が到来しているが、このオブジェクト指向的な発想にAIを組み合わせダイナミックに結果を使ったり使わなかったりをユーザ毎に行える。そんなパーソナライズド・メタサーチの世界も近づいてきている。

既に実現されつつあるマシンインターネットの世界

既に雨後の竹の子のように出現しているホテルや航空券の予約ポータルで、このマシンインターネットの世界を垣間見ることが出来る。サイトによってはおかしな表示なってしまうので旧来のメタ・サーチエンジンの域を出ないサービスもあるが、この トリバゴとエアトリは、かなりちゃんと結果がでる。恐らくAPIでWRAPできるものはできる限りしているか、よほど優秀なWEBクローラとパーサを持っている。もしくはAI処理に踏み込んでいるのかもしれない。少なくとも、数十、数百の外部サイトをマシンが接続代行し、網羅的なフライトやホテルの価格情報を瞬時に集め、パーソナライズして表示している点においては未来志向だ。航空券やホテル予約の世界はいち早くIT投資が進んだ世界で、各サービスのAPI化や収益モデル化(囲い込まない)が整っているからこそ、実現できているのだろう。

Googleを倒す? マシンインターネットの世界

そして、その考え方は Google でさえ取り入れて居かねばならぬ日が来るかもしれない。なぜなら、そのように様々な専門的なサーチエンジンをAIがHTTPベースで疎結合することが(勿論ライセンス上もクリアされて)可能になると、従前の航空機、ホテルの世界のように様々な個性を持ったサーチエンジンプレイヤーが群雄割拠して飛び出してくる可能性がある。莫大なシステム投資では無く開発、運用が可能だからだ。

いずれにせよ、インターネットのやインターネット上のサーチエンジンを使うのは人間よりもマシン(AI)になるだろう。そのトラフィックは全人類のトラフィックと比較しても数千倍、数兆倍になるかもしれない。何しろ彼らにはインターネットの世界こそがネイティブだからだ。

世界中のAIがインターネットを介して複雑且つ密接に接続されあらゆる情報を処理している世界。ワクワクするか、ゾっとするか。私は子供の頃からずっとそのような世界になると思っていたので、想定内である。その時、人類は様々な苦悩をAIによって解決(代替)され、今より相当ハッピーになっているはずだから。


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