見出し画像

下心の無い支援

果物の子ども食堂支援

子ども食堂に農産物を中心に提供を始めて(自分が作るのではなく、農家に提供してもらっています)、特に喜ばれるのが果物です。
※子ども食堂支援についてはこちらの記事をご覧ください。

果物が喜ばれる理由はズバリ「ぜいたく品」だからです。
自分が食べるために果物を買う人って思っている以上に少数派です。
野菜よりも遥かに高額で、メインディッシュのお肉やお魚に近い金額を払っても、別におかずは用意しなければなりません。
スーパーで働いていても、青果部門のパートさんでさえ果物を買いません。
甘いものが食べたければ果物を買うよりスイーツやお菓子を買った方が価格も安く甘みも強いでしょう。
果物は贈り物といったイメージが強いと思います。
それでも子どもたちは果物に憧れているんです。

みかんの時期にはミカン農家からお声がけいただいて、収穫体験や大量のみかんをいただいたりします。
ぶどうの時期にはぶどう農家の方から、まとまった房数のぶどうを収穫に行っていただいたりします。

音声アプリで繋がった農家の方からの支援

clubhouse(クラブハウス)という音声アプリが一時、一世風靡しました。
私も農家の知人に誘っていただいて 農業コミュニティ good “農”ing japan に入って通勤中や休みの日を利用して多くの農家の方と繋がり、お話を聞かせてもらいました。
当時は耳で聞いて、Instagramをフォローして、baseで繋がった農家の方の農産物を実際に購入する・・といったやり取りが斬新で楽しかったのを覚えています。
clubhouseを利用する機会はめっきり減ってしまいましたが、Instagram等で相互フォローしている方とはやり取りが続いています。

そんな中、山梨県の桃農家の方から私が関わっている子ども食堂に桃を提供したいとお声がけいただきました。

※↑ スーパーで農産チーフ、農産バイヤーの経験もありますが、今まで食べた桃で一番おいしいとお薦め出来ます。

お声がけいただいて以来、毎年8箱の桃が届きます。
送料も全て桃園主の負担です。
しかも
「他にも配るところがあれば追加で送るから遠慮なく言ってね」
と言ってくれるのです。
オトコマエ過ぎます(泣)

そして、子ども食堂に配ったことを連絡すると
「ありがとう」
といつも言ってくれるのです。

どんだけ~!

無償の支援とは

ここからが私の不甲斐ないところでもあるのですが、個人的に身内へのお中元はワクワクピーチ(こちらの桃)を利用させてもらっています。
我が家で食べる桃も家庭用の少し安価な箱を購入しています。

そして、せっかく繋がりが出来たのだからと子ども食堂に提供する際に、ワクワクピーチのお薦めを目いっぱいしています。
私自身の下心として、
いただくだけでなくて、スタッフの方とか、美味しかったら買ってくれないかな~
といった気持ちがありました。  

ただ、ただでさえ高価な果物のギフトを、福祉的なつながりの方にご購入を促すのは思ったよりハードルが高いのです。
個人的にお声かけをしてご購入してくれる方は、経営者の方など(倫理法人会など)が中心でした。

つまり・・。
子ども食堂に果樹園の園主が果物を無償提供して、自分の商品がたくさん売れる・・といった図式が成り立ちにくいのです。
(良いことをしている宣伝には多少貢献できるかもしれませんが)
提供してくれた農家の方に少しでも売り上げや利益があればと思っていますが、子ども食堂にそのような下心を持って提供するのはあまりに非効率だということがわかっていただけたと思います。

正に無償の支援なんですよね

すごくありがたいです。ですが・・。
個人的には、何かしらのインセンティブ設計(農家にも恩恵がある仕組み)がないと継続的に寄付、支援していただける農家、生産者が増えていかないと感じています。

与贈と負債感

随分前に基調講演で聞いた言葉です。

「与贈と負債感」

与贈とは見返りを一切受け取らずにただ、与える、贈ること だそうです。

スーパーで働く私にとっては、商品を売って、代金をいただく、そうしたお仕事をすることで給与をいただく・・といった見返りのある活動をしています。講師の方は与贈はスーパーで働くような代金をいただく仕事にこそ取り入れるべきだと力説されていました。

見返りを受け取らず与える、贈ることで(物だけでなく、サービスも)、与えられ、贈られた者は「負債感」を負うそうです。

負債感とは、負い目や申し訳ない気持ちです。

与贈によって、相手に負債感を感じさせることがサービス提供者に最も大切な価値観だと心得なさい・・といったことでした。

負債感を負った相手の方は、返報性の法則から何かお返ししなくてはといった気持ちをずっと持ち続けることになります。

スーパーでも夜間だと老人の徘徊している姿を見つけた方から通報でお声かけに行ったり、警察や近所の方と連携して自宅に誘導することもあります。
迷い犬を探したりすることもあります。
個人的な考えですが、何の見返りも考えずに行動してきたと思っています。

今回の桃の支援はこちらが負債感を負いました(笑)
与贈が正に今回の支援だったと感じています。
利他的な支援や寄付でいただいた農産物を活用させていただいて、本当に感謝です。
これからも、自ら、与贈を意識した活動をしていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?