正しい町で僕は
早朝からハンドルを握ってる 昨日の風が
まだ止んでもいない車道を 緑のリュック
背負った自転車が 目の前の赤信号を逆走する
わずかにアクセルが遅れた瞬間 後ろから
けたたましいクラクションを鳴らして
暴走気味のBMWが 僕を追い越していく
昔雑誌に載ってた記事までほじくり出して
重箱の隅まで清潔にするのが 今時の流行らしい
どこまでも正しい町で 汚れ一つなく
戻ることも やり直すことも許さない
清潔でゴミ一つない町を 染み一つない
スーツを着た男が 我が物顔でBMWを飛ばす
正しい町で僕は 10年落ちの車で仕事に向かう
昨日と同じ 汚れた服と顔のまま
そんで遠ざかるBMWに舌を出して
排除された歌を こっそり歌ってる
〇 〇 〇 〇 〇