【J1 27節 浦和戦】これぞアタッキングサッカー【横浜F・マリノス マッチレビュー】

ホーム最終戦、とっても楽しかったです。
ちゃんとした得点レビューなどしていなかったので、この絶好の気分を機会に分析していきたいと思います。

スターティングメンバー

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前節からスタメンを9人変えて挑んだ浦和戦。
対照的に浦和は前節と全く同じスタメンで挑んだ。

開始早々に見せたオナイウの抜群のポジショニングセンス

前半30秒、この試合初のシュートで早速オナイウが活きた

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小池のスローインから、和田とのパス交換で汰木とエヴェルトンが寄せに来る。
空いたスペースにオナイウが入り、小池からパスが通った。
当然長澤がフォローに来るが、サントスに1回預けることで中央にスペースが空く。
そこにすぐさまオナイウが走り込み、サントスがワンタッチでパスすることでシュートが出来た。
最後の精度こそ欠いたが、この試合を大勝で飾る大きな要因となったオナイウのポジショニングセンスが早速光った場面だった。

1点目 / そのオナイウのおかげで

このオナイウの働きで、前半2分に早速ゴールが生まれる。

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ゴールキックからのビルドアップ、早いリスタートであまり用意ができていない浦和。
興梠と汰木の間にオナイウが走り込みボールを貰い、槙野をおびき出すことによってサントスへのコースが空く。
そこに水沼がワンタッチのフリックで流し込み、サントスが切り返しで岩波を躱しゴールネットを揺らした。

状況に合わせて剥がすこともできるオナイウ

ゴールの3分後もまた決定機。

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1点目の起点にも見せた、オビの速いリスタートでティーラトンに預ける。
汰木は前のプレーでボックス内にいるので、右の水沼がフリーで走っている。

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ティーラトンからボールを貰ったオナイウはマイナスに動きエヴェルトンを剥がす
サポートに入った長澤も競り合いながら右に運び水沼へ。
最後は持ち前の速さでゴール前に走りこんだ前田へスルーパスを出した。
惜しくも間に合わなかったが、状況に合った素晴らしいプレーをオナイウは見せてくれた。

オビの果敢な飛び出し

前半8分、オビが勇気ある飛び出しを見せる。

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汰木から興梠へのフィードパス。
ハイラインを敷くマリノスが狙われる場所を、初出場のGKオビが果敢に飛び出してピンチを救う。
しかし、弾く場所が良くなく、マルティノスが後ろからインターセプトしてループシュート。
幸運にもバーに当たり免れたが、この『クリアの場所が良くない』ことが後のオウンゴールにもつながってしまったと思う。

2点目 / 中盤に一度戻すことによるボックス内の数的有利

前半10分、コーナーを起点に2点目が生まれる。

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ショートコーナーで水沼に渡すが、この時点ではファーのボックス内は2対3で数的不利
水沼の前にも3枚おりクロスコースがない。

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そこで一度中盤に預けて守備陣を剥がす
前線も一度下がることによって浦和の守備陣も下がる。

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そしてもう一度水沼へ。
(浦和にしてみれば宇賀神はずっと水沼についていくべきだった)
剥がしたことでボックス内は3対2、コースも空いたので絶妙なクロスボールで前田がヘッドで叩き込んだ。

3点目 / サントスのポストプレーと小池の嗅覚

前半14分、早くも3点目が入る。

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この起点となったのも1点目と同じく早いリスタートと實藤の縦パス
サントスに入ったそのパスはダイレクトでオナイウへ
サントスを潰しに来た槙野がいたスペースがぽっかりと空く。
槙野が動いたとみるや機を見るに敏、小池がそのスペースへ走りこむ。
それがちゃんと見えていたオナイウはドンピシャのスルーパス、あとは小池が西川と1対1を制し左隅へ。
この試合何度も見せた、サントスのポストプレーとオナイウのセンス

前田の速さを活かす見事なロングスルーパス

前半16分、ここでも實藤のパスが光る。

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前田の速力を活かした裏への完璧なフィード。
宇賀神もさすがについていけず、逆サイドから走ってきたサントスへクロスパス。
しかし、橋岡の良い対応で4点目は取れなかった。

實藤は守備でも好プレー

前半21分、浦和のカウンターが迫る。

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ティーラトンからオナイウへのパスが囲んで取られ、橋岡の裏へのフィードパス。
ピンチかと思ったが實藤がしっかりと寄せに行き左へ流す。

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それを見てカットインした興梠、後ろから走ってきた武藤に渡しリターンを要求。
そこをしっかりと見ていた實藤は体を寄せて遅らせた。
危険予測と迅速な対応がしっかりとできていた場面だった。

1失点目 / オビの良い判断も不運なオウンゴール

前半30分、自らゴールを献上。

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西川のゴールキックが橋岡に、橋岡の集中が甘くティーラトンが奪いに行くが出来ず。
そのおかげか、マルティノスに簡単に入ってしまい素早くスルーパスで興梠へ。
マリノスのGKらしく裏ケアをして飛び出したオビだったが、横に蹴りだせば回避できるものを欲張ったか、前に蹴りだし伊藤に当たりそのまま吸い込まれてしまう。

扇原の良い読みとオビの正確なダイレクト

前半34分、オウンゴール直後。

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宇賀神とのスイッチで汰木が左で持つ。
小池が外に絞り宇賀神へのパスが出せないと、切り返す前に扇原が興梠に詰めていく
案の定興梠にパスが出て、ボールを待ってしまった興梠は事前に読んでいた扇原に体を入れられそのまま扇原はバックパス。

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そのバックパスをそのままオビが前線へ正確なパス
前に長澤後ろに槙野と挟まれたがオナイウがいい位置にいることで剥がせる
宇賀神が詰め寄る前にがら空きの右へ大きくスルーパス
水沼がボールへ、前田が反対から走りこむという16分と同じ展開で決定機を作った

4点目 / 全員守備が作ったカウンター

前半36分、先ほどのいい流れから、僅か6分で3点差に引き戻す。

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ティーラトン、扇原、前田、オナイウで詰めることでコースを消し、しびれを切らしたマルティノスにクロスを入れさせる。
枚数はこちらが多いので容易に弾けるが、和田の弾く方向が良かった
するっとオナイウに収まり、持ち前のプレーで扇原へ。
浮いた前田へすぐさまパス。

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その前田が槙野、エヴェルトンを躱しながら一旦マイナスへ走るが、ここもオナイウがフォローに来て浦和DFが剥がされる。

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完全に空いた右に大きくスルー、水沼に渡る。
少し引き気味にポジションを取ったサントスが活きる。
長澤汰木は戻り切れず、岩波の絞りは甘かった。
そこを個人技でやられ、シュートストップも甘くそのままゴールネットを揺らした。
ここもオナイウ→水沼のホットラインである前田の落ち着いた処理サントスの個人技ももちろん褒めるべき。

前半最後の浦和の決定機

前半終了間際45+2分、危険なシーンが。

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サントスの小池へのパスが合わなく、槙野に取られる。
そのままマルティノスへ。
疲れからか小池の戻りが遅く武藤へ入ってしまう。
(長澤が左に流れ守備陣がつられている面も)
そのまま深い位置まで持ち出されクロス。
僅かに合わなかったが、マリノスの弱点である終盤のサイドバックの疲れが出てしまった。

後半へ

マリノスは負傷の前田に代わって松田、浦和はエヴェルトン・宇賀神に代わって青木・山中が入る。
マリノスは後半バテてカウンター対応が難しくなる傾向がある。
(後半はゴールシーンの分析のみになります)

5点目 / 囲む守備からやんわりとサイド変更

後半22分、この試合の6点目が入る。

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マルティノスを3人で囲み奪う。
フォローの遅い青木のおかげで和田→伊藤→オナイウ→松田とすんなり繋ぐことができ、サントスを経由して右の水沼へ

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ゴールシーンは5人全員のプレイが活きている
オナイウのポストプレーから水沼のカットインからのゴールは申し分ないが、このゴールは他の3人のプレイのおかげでもある。
サントスがいることで岩波が張らなければいけないのでオナイウが空く
(オナイウへは本来青木が行くべき)
橋岡は松田の存在が止めている。また、松田とサントスはこぼれ球にも反応できる。
一番良かったのは小池。水沼とオナイウの間を抜けて走ることで槙野を釣っている
だからこそカットインとシュートコースが空いた。

2失点目 / マリノスの弱点が出た仕方ないといえば仕方ない失点

後半45分、浦和のカウンターが炸裂。

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大津のクロスがクリアされた場面、ルーズボールのせめぎあいがあり、

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レオナルドにボールが渡ったとき、左から追い越してきた山中への対応が薄かった
伊藤がルーズボール処理で前に出てしまっているので後ろの枚数も足りない。
結果2対2の構図になりスタミナと速力で決められてしまった。

6点目 / 鮮やかなカウンター

失点の僅か1分後。

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浦和のシュートのこぼれ球が高野へ。
松田→サントスと縦に入りサントスはダイレクトで横のスペース、松田が運び再びサントス。
あとは槙野を躱して決めるだけだった。

総評

オナイウと水沼のホットラインが素晴らしく活きたことが何よりも勝利の一番の要因。
サントスの数々のポストプレーと個人技、小池や前田の走り、和田・扇原の両ボランチがいい間隔で攻守に関わっていたことも大きい。
左での展開が右に比べて少なかったが、前田の速さを活かせるようになったのは成長だと思う。
實藤が戻ってきたことで積極的な縦パスも多くなった。
オビもクリア方向だけ良くなれば、立派なGKになると思います。
松田も守備よくするようになりました。あとは攻撃だけ……
仲川も試合に出ればいつか決めるでしょう。

選手評価

【スターティングメンバ―】

・GK 31 オビ 7
オウンゴールこそあったものの、果敢に飛び出す動きは、初出場にして求められている仕事を理解していた。

・DF 25 小池 8.5
見事なスプリントとゴール前の落ち着いた得点。水沼との連携も良く走力・守備力も発揮した。

・DF 15 伊藤 7.5
決定機を潰す守備は今日も健在。クロスの潰しも効いた。声を出し、司令塔としての役目も果たした。

・DF 19 實藤 8
怪我明け復帰戦とは思えないほどのポテンシャルで興梠を無得点で抑え切った。攻撃の起点となる縦パスも見事だった。

・DF 5 ティーラトン 7.5
マルティノスへの守備対応が良くできていた。前田を活かすパスや精度のいいクロスなど、安定的なプレーを見せた。

・MF 6 扇原 7.5
ポジショニングの良さ、アイデアのあるロングパス、パスコースを読んだインターセプトなど、ボランチとして高いクオリティを発揮。

・MF 33 和田 8
とにかく落ち着いたプレーが光る。攻守に渡ってよく走り、攻守の切り替えもチーム随一だった。

・MF 45 オナイウ 9.5
ポストプレー、丁寧なパス、ポジショニングセンス、守備対応、すべてが素晴らしく見てて安心が出来た。

・FW 18 水沼 10 MOM
3アシストを記録した質の高いクロス、オナイウとの連携で完璧なゴールも記録。何も文句なし。

・FW 37 サントス 9.5
相変わらずの高い技術力と決定力。ポストプレーヤーとしてもファーストディフェンダーとしても意識が高くなった。

・FW 38 前田 8.5
格段に『考える守備』が出来るようになった。周りが活かしてくれたことで持ち前の速さも強く出せた。

【途中出場】

・FW 43 松田 7 (↔前田 HT)
勝負に出る場面が多くあったが、どれも不発。もっともっとハングリーでもいい。守備対応は日に日によくなっている。6点目のアシストは見事。

・DF 16 高野 7.5 (↔ティーラトン 58')
怪我明け復帰戦。クロスの精度、CBのフォロー、スプリント守備など、試合感覚は薄れていなかった。

・MF 7 大津 6.5 (↔オナイウ 74')
オナイウとはまた違ったテンポがいいパスワークを発揮する。得点に結びつくような動きがあればなおよかった。

・FW 23 仲川 5.5 (↔水沼 74')
何度もゴールを狙うが空回り。しかし以前の得点力を感じさせる雰囲気は醸し出していた。川崎戦で期待。

・MF 26 渡辺 - (↔和田 84')
こちらも怪我明け。和田と同じタスクを遜色なく熟していた。出場時間が短いため採点はなし。

【総合】

・監督 アンジェ・ポステコグルー 8
スタメンをほぼ総入れ替えし、阿道をトップ下に置いた采配と、早いうちでの交代が良かった。

・総点 9
完全なる大勝。不運なオウンゴールとマルティノスの古巣ゴールこそあったものの、それを超えるアタッキングフットボールで浦和を打ちのめした。

感想

今回も観戦に行きましたが、最後のセレモニーの映像で少し泣きそうになりました。
だからこのクラブ好きなんですよね。応援し続けようと思いました。
対策されなければ勝てる。ACLも夢じゃない。

今回からめちゃめちゃ分析したのですが、そうするといいところも悪いところも見えてくるので、これからもやっていきたいと思います。
フル見て分析するとかなり時間かかるのでこれからはハイライトシーンだけにしますが。

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