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私と不妊治療と流産と

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自分の4年間にわたる不妊治療・2度の流産・不育症にまつわるエッセイのようなもの
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#体外受精

不妊治療で病んだら植物を育てよう

この行き場を無くしたあふれる母性をどうすればいいのか?不妊治療中、メンタルを病む人は少なくない。3年間ずっと不妊治療中の私もそのひとりだ。 がんばっても一向に終わりが見えない。私がはまっている不妊治療という沼を、周りはあっけなく通り過ぎていく。それがたまらなく虚しい。 そんなとき救いを求めてペット飼う人は多い。無論、幼少期から猫を飼っていた私は大賛成であるが、植物を育てることも同じくらい有力な候補に挙がってもいいと思う。 私は不妊治療でどうしようもなく病んでいた頃に、ほ

心に響いた言葉

Xで出回っていた宇多田ヒカルのライブの言葉。心にしみる。 もしかしてずっと望んでいた子どもは私にとっていいことではなかったのかも。 不妊治療する人生、流産する人生、子なしの人生。 ぜんぶ望んでいたことではなかったけれど、心身の痛みを経て、醜い感情と葛藤しながら、真の優しさを手に入れられた気がする。 流産してしまった子たちも、ずっと私の心の一部だし、あのとき私は確かに尊い命を与えられてた。 まだ「悪くないじゃん」とまでは思えない。でも、いつか思える日がくるかもと希望を

休職を終えての気づき

不妊治療を3年半続け、2回目の流産を機に、2ヶ月のあいだ休職した。 2ヶ月間はそりゃあもう健康的な生活で寿命が延びた気がした。 でも、過ぎ去ってみるといろいろ新しい発見があった。 まず私は自分が思うほど根暗ではないのだということ。 不妊治療期間中は鬱気味で、飲み会後に虚無感に襲われ、人と話すのも億劫に感じられることが多々あった。 特に不妊治療は孤独で共感してもらうことも難しいから、辛いことがあってもnoteに書き出してひとりで乗り越えることを強いられてきた。 でも

不妊治療やめる!

次の移植を最後に、3年半続けた不妊治療に終止符を打つことに決めた。 残りの凍結胚盤胞は次の体外受精ですべて使い切ってしまう。いいタイミングだと思った。一見30代前半の若さで治療を終わらせるのは早い気もするけれど、逆に若いのにこれだけ治療してもダメだったんだから。持病もあるのに、4回目の採卵手術をしてこれ以上自分のカラダと心に負担はかけたくない。なにより治療に犠牲を払う毎日にいい加減うんざりしたから。 やめるにあたってこの2冊の良書を読んだ。治療をやめて実子がいない人生も楽

想像妊娠の天才かもしれない

私は想像妊娠のスキルが著しく高いことがわかった。というのも、体外受精3回目の妊娠判定で「陰性」を予想外にくらったからだ。 胚盤胞を移植したあと2週間は毎日そわそわして過ごす。自分に些細な体調の変化があろうものなら見逃さない。「この症状は妊娠では・・・?」毎日Xに体調を書き記す。下腹が張る、つわりのように気持ち悪い、おりものに着床出血のような血が混じった、眠い、頭痛など。気になって仕方がない。 おまけに今回はChatGPTを駆使し、上記の症状を説明した上で「妊娠の可能性はど

そわそわ期地獄

不妊治療で最も精神を追いやられる期間は、採卵に次いで、そわそわ期だと思う。 人工受精や胚移植をしたあとから生理がくるまでの期間。 あまりにも長すぎる時間の流れ。 持ち前の想像妊娠力を発揮して、下腹や胸が張ってるかも?気持ち悪い気がする?とか感じては「超妊娠初期症状 〇〇」で検索魔になる。 1日単位で一喜一憂して、ときにはフライングで妊娠検査薬をして、真っ白な結果に打ちのめされて。 散々痛めつけられたあげく、生理がきて奈落の底に突き落とされる。これが世にも残酷な不妊治

【自分だけじゃない】不妊治療の声まとめ

不妊治療・流産について発信してるX投稿やnote等を読み返す用にまとめておくことにした。まるで私の気持ちを代弁してくれているかのように、共感の嵐で涙が出てくる。自分だけじゃないんだ!同志がいる!と思えて励まされる。 不妊治療は表に出ない話題がゆえに、特に実名で発信してくださる皆さんの勇気に感謝。ありがとうございます。 さっと見る じっくり読む・見る

不妊治療 痛いランキング

3年半の不妊治療・流産・不育症を通じて、数多くの痛い治療や検査を受けてきた。受ける前は毎回ドキドキして、どれだけ痛いのか心の準備が必要だったので、ググってはみなさんの体験談にお世話になった。「この検査はこれくらいの痛みか、そこまで痛くないのか」とイメージした上で臨んだことで、少なからず心理的負担は減ったように思う。 そこで、私自身の治療経験の痛みもランキング化してまとめておくことにした。私の痛みが誰かの役に立つかもしれないと考えると、報われるもんだ。 なお、以下のランキン

いよいよ妊娠出産するんだ!

先日3回目の採卵手術を終え、かつてなく前向きな気持ちになれている。 過去2回の採卵は12個とれても凍結できた胚盤胞はたったの1個ずつ。若いわりには凍結数が少ないと言われていた。でも、今回は3個も凍結できた。最高記録だ。 しかも、不育症の検査結果が出て、流産の原因を特定した上で対処法も準備できている。 これはもう妊娠出産まっしぐらコースではないか? そうだとも。マツケンサンバならぬ「着床サンバ」を歌って踊るしかない。 陽気なラテンのリズムに合わせて、妙に語呂の良い「着

働く上で知りたい体外受精のリアル

この3年半のあいだに全身麻酔を伴う手術を5回もした。採卵手術を3回、流産手術を2回。 どう考えても心身に過度の負担がかかっている。しかも、仕事しながら両立してきた。 先日は3回目の採卵手術を終えた。 採卵手術を超簡潔に言うと。女性は本来、毎月卵巣で何十個もの卵子の種を生み出し、その中で選ばれし1つの卵子だけが大きくなり排卵する。残りの卵子の種たちは消えていく。その消えゆくはずだった卵子たち複数個を大きく育て、針でひとつひとつ刺して採取する手術である。 聞くだけでおっか

この注射、自分の腹に打つの?

不妊治療の採卵周期が始まると毎日自分の腹に自ら注射を打つ。 最近はペンタイプの簡易的な注射が発明されたおかげで、痛みもほとんど感じず、簡単に注射を打てるようになった。私も恩恵に預かっている。 でも、病院が変わり、少し使う薬剤が違うので、採卵前にまじで普通の注射を打つことになった。自分で自分の腹に。 いや、怖すぎやろ「下腹の肉をつまんで刺してください」と病院からラフに説明を受けたけど、どういう角度でどこまで刺せばいいわけ?私、看護師でもなんでもないけど刺せるんすか? 怖

最高のシナリオだけ考える

来週から地獄の採卵周期がスタートしてしまう。文字どおり地獄のような壮絶な治療である。受け入れたくない。まさか自分が3回も採卵手術をすることになるなんて、だれが予想できただろうか。 まだ血液量が多い生理3日目の内診も、毎週の通院も(3時間の待ち時間・採血)、日々の注射や投薬も、当日の点滴も手術も、卵巣がパンパンに膨らんだ痛みも、あらゆる治療のリスクと恐怖も、仕事との調整も、すべて女性側が一人で背負わなければならない。 でも、ポジティブに考えよう。 来月採卵して翌月に移植、

生理予定日前のトイレが怖い

もう不妊治療4年目に突入するのに、何度経験してもリセットはつらいものだ。 なにせ毎月、生理予定日前にトイレに行くのが怖い。 また生理きちゃうのかな? 現実に向き合いたくないが故にトイレに行けない。もし血がついたら。そのあとは「また今月もダメだった」と、どん底に突き落とされるだけ。 信じたくなくて妊娠検査薬をやってみるけど、真っ白。受け入れられずに斜めから下から上から見ては線が入らないかと必死に凝視する。もちろん線は入ってくれない。 しかも、いまだに生理の前兆を「着床

不妊治療に専念するために、休職/退職したほうがいいですか?

皆様、お久しぶりです。はらメディカルクリニック院長の宮崎です。 「不妊治療に専念するために、休職/退職したほうがいいですか?」という質問を時々いただきます。 これはとても難しい問題ですね。しかし、仕事か治療かという究極の選択が頭を悩ますこと自体とても苦しい状況がうかがえます。 実際のところ、文献的には今までどのような報告がなされているのか、調べてみました。 ここでは主な4つの論文を紹介します。 1.不妊治療を受ける女性は高いレベルの不安と抑うつを経験し、それが生活の質に