「ウチのおかげさんは、加減ってもんを知らねぇ!!」第1話 【漫画原作】
(本文10,000字以内)
■一人の子どもと、三人の大人イメージ
M:この世には…
M:三人の親がいる。
■男性1S
M:お父さんと、
■女性1S
M:お母さん。
■全身黒タイツ太眉人間1S
M:そして、おカゲさん。
■凪斗と三人の親の4S
M:俺、今西凪斗も例外ではない。
M:物心がついた時から俺には親が三人ともいる。
■タツヤ家とユウコ家、それぞれ4S
M:タツヤん家もそうだし、ユウコん家もそう。
■サダヨシ家は3S
M:サダヨシん家も…
M:あ、サダヨシの父母は離婚してるから
お母さんとおカゲさんの二親体制だっけ。…まぁそれはいいか。
■凪斗宅外観、朝日、小鳥のさえずり
T:令和xx年4月1日
■凪斗、ダイニングでトーストを頬張りながら父母と会話
凪斗「今日から新学期かぁ」※背後におカゲ
父「もう4年生かぁ、早いなぁ」
母「ついこの間までこんなに小さかったのに」
凪斗「いつの話だよ、それ」
■凪斗の父1S
父「凪斗、ここから学力に差がついてくるからな!
エリートの道に進むよう、しっかりやるんだぞ!」
凪斗「へいへい」
■凪斗の母1S
母「凪ちゃん、そろそろお塾も検討した方がいいかしら?
通いたくなったらいつでも気兼ねなく言ってね!」
凪斗「分かったから」
■凪斗宅玄関、父母が見送り、おカゲは同行
凪斗「いってきまーす」※背後におカゲ
父母「いってらっしゃい」
■凪斗、すました顔で街を歩いている
M:自分で言うのも変だが、
M:俺はどこにでもいる平凡な小学生だと思う
■凪斗、ランドセル背負って街歩くバックショット(ヒキ画)
M:ただ1つ、胸を張って言えることは…
M:勉強も、スポーツも、習い事も、ぜんぶ努力して
「中の上」か「上の下」くらいの位置には居られていること
■過去の回想
M:学期末テストは全部80点以上だったし(社会はギリギリだったけど)
M:サッカークラブでも、ぎりぎりスタメンだし(右サイドバックだけど)
M:毎週学んでいるトロンボーンの演奏も、最近やっと様になってきた!
M:何事もある程度は、努力で何とかなると自負している。
■凪斗ウェストショット、背後にはおカゲがぴったり付いている
M:しかし、そんなオレには…
小学四年生になる今、深刻な悩みがある
カゲ「おい凪斗、おまえ今…
今年もユウコちゃんと同じクラスになりたいって思っただろ」
凪斗(ピクッ)
(めくり1ページ)
■凪斗とおカゲ、胸ぐらを掴みあい
M:俺には今だに…コイツ(おカゲさん)がついている、ということだ!!
凪斗「てめぇいつまで俺について来るつもりだコラァー!!!!」
カゲ「知らねぇよ俺も好きでお前についてんじゃねぇんだよ!!!!」
※下位置にタイトルベース:
【ウチのおカゲさんは、加減ってもんを知らねぇ】
■タツヤとユウコのバックショット(それぞれ背後におカゲさん居る)
M:おカゲさんは、お父さんやお母さんとは違って…
凪斗「タツヤー、ユウコちゃん、おはよう!」
■タツヤとユウコ、笑顔で振り返って(それぞれのおカゲさんも微笑む)
タツヤ「おす、凪斗」
ユウコ「おはよう、凪ちゃん」
M:いつか突然、いなくなるらしい。
■凪斗・タツヤ・ユウコが横に並んで通学(それぞれおカゲを引き連れて)
M:おカゲが居なくなるタイミングは分からない
タツヤ「春休みどうだった?」
凪斗「特になにも。毎日習い事づくし」
ユウコ「そっか〜」
M:ただ、最近まことしやかに噂されている一説では…
■三人のおカゲさん同士も会話している
M:コイツらがついているか、ついていないかが…
凪おカゲ「こいつ、ユウコと同じクラスになりたいって」
ユおカゲ「あらやだ、若いっていいわねぇ」
タおカゲ「青春ってやつだなぁ」
凪斗「うるさいぞ!聞こえてる!」
M:人間の”成熟度”に関係しているのだという。
■エライ学者たちが研究を発表している様子
M:とある大学病院の教授によると…
M:令和xx年現在、おカゲが突然消える理由は、
医学的にも生物学的にも解き明かされていないそうだ。
■メンタリストDaiGoっぽい人の煽り文言だらけのサムネイル&喋り動画
M:しかし先月、自己啓発系YouTuberがそれっぽく論理的に…
YouTuber「あれって幻想やファンタジーなんかじゃなくて〜」
「脳内から分泌されるセロトニンっていう成分が体外で〜」
「つまり自己肯定感と大きく関係していて〜」
M:“おカゲさんまだついてるやつ、人として未熟説”を唱えた。
■スマホを見る凪斗
M:それを見た俺は、
■親戚モブたちを回想
※高校生の親戚にはおカゲいる、大学生の親戚にはおカゲいない
M:高校生や大学生になった親戚を見て、
M:「確かにな」と思いあたった節があり、やけに納得してしまった
■現代社会・スクランブル交差点の俯瞰の画
M:その動画はなんと驚異の500万回再生を突破!
M:それ以来、世間では…
■嘲笑う人のシルエットと、おカゲさん持ちの人たち
M:オトナたちの間で、おカゲがついたままの人間を嘲笑う風潮が
M:わずかばかりだが、生まれたように思う
■凪斗・タツヤ・ユウコ、学校に張られた新クラス名簿を見上げながら
M:これまで何でも努力で、大体のことは何とかしてきたんだ…
タツヤ「お!今年三人とも一緒じゃん」
ユウコ「やったー!二人ともよろしくね」
M:おカゲが隣にいるせいでクラスの笑いものにされるわけにはいかない
■廊下を歩く凪斗、その少し後ろでタツヤとユウコが会話
M:だからオレは…
タツヤ「あ、そういえばサダヨシの噂聞いた?」
ユウコ「え…なになに?」
M:おカゲさんが、どんなカラクリになっているかは知らないが、
■クラスの扉を開けて教室の中に入る
M:このクラスで一番乗りで…
凪斗「おーっす!」
モブ生徒「おす」「凪斗も一緒のクラスか」「このメンツ最強じゃん」
M:俺のおカゲさんを消滅させてみせる!
■凪斗たち、座席に向かいつつ…
M:クラスの人気者になりたい、なんて贅沢は言わないさ
タツヤ「実はサダヨシの奴さ…」
ユウコ「うんうん、どうしたの?」
M:ただ俺は…
■凪斗の熱い目UP
M:周りから浮くことなく、穏便に学校生活を送りたいんだ!(カッ!!)
(めくり)
■サダヨシらしき男、机につっぷして泣いている(※背後におカゲがいない)
タツヤ「あいつ、この春休みでおカゲさん居なくなったんだって…」
凪斗「!!??」
ユウコ「えっそうなの!サダヨシくんすごい!おめでとう!」
サダヨシ「うっ…ぐすん…」
モブ「サダヨシ、いつまで泣いてんだよ〜」
■凪斗、驚愕のカチコチ表情
凪斗「・・・・・・サ・・・ダ・・・」
■凪斗、サダヨシの胸ぐらを掴んでガクガクゆする
凪斗「サダヨシてめぇーー!!おカゲが居なくなったって本当か!?!?」
サダヨシ「うっ…うっ…ちゃんとお別れ言ってないのに…ぐすん」
凪斗「泣いてんじゃねぇー!!教えろ!!どうすれば居なくなる!?」
サダヨシ「分からないよ…ボクが聞きたいくらいだよ、うっうっ」
■苦笑いするタツヤとユウコ、背後に光速でかけつける凪のおカゲ
ユウコ「ちょっと凪ちゃん、良しなよ…」
タツヤ「そうだよ、俺たちまだ小四だしそこまで必死にならなくても…」
凪斗「うるせー!これにはワケが・・・!」
おカゲ(シュッ!!)
■おカゲ、凪斗を後ろから羽交締めしてロック
おカゲ「てめぇお友達に何やっちゃってんだ凪斗ちゃんよぉー!!」
凪斗「ぐおおお!離せ!オレは1日も早くお前を成仏させる!!」
おカゲ「オレは幽霊じゃねぇわ!!」
■サダヨシ、机につっぷして引き続き泣く(ちょいヒキ画)
モブ「でもサダヨシんちって確か離婚して…」
モブ「バカ、声でけぇよ」(ヒソ)
モブ「父親もカゲ親も居なくなって、もう母親だけなんだね…」(ヒソ)
モブ「なんか…酷だね…」(ヒソ)
(めくり)
■ザマスメガネ、ポニテ、ミニスカートの女性教師登場(全身見せる)
女教師「はいはーい、席について!そこ、今西凪斗、うるさいぞ!」
全男子のおカゲ「エロい!」「エロい!」「エロい!」
全男子(うるせーよ!)※顔を赤らめて
■女教師、教台で喋る
女教師「今年キミたちの担任になった西岡だ!よろしく頼む!」
■教室ヒキ画
西岡先生「いいか、君たちは小学四年生になったのだから、
これまで以上に責任感のある行動をとり、
勉学にもより一層励むように!
もしも勉強で分からないことがあれば、
いつでも聞きにきてくれ!お父さんお母さんに聞くのもよしだ。
おカゲさんは勉強面では全く頼りにならないので
アテにしないように!時間の無駄なので!」
全おカゲ「失礼な!」「このエロ教師!」「いてこますぞ!」
■凪斗、机の自由帳に「おカゲ消滅計画」なるものを書いている
凪斗(ガリガリガリ…)
※ノートには「テスト満点が鍵?」や「サダヨシを徹底分析」などと記載
西岡先生「〜であるからして、早速1時間目は算数だ、みんな新しい教科書を開け〜」
サダヨシ「あの〜、先生…」
■サダヨシ、腫れた目の青ざめた表情で立ち上がる
サダヨシ「ちょっと調子が悪いので保健室行って来てもいいですか…」
西岡先生「あぁ…。」
■西岡先生の優しい笑顔UP
西岡先生(何かを察して)「…無理はするな、行ってこい!」
■教室ヒキ画、サダヨシはドアからOUT
サダヨシ(ガラガラ…)
全おカゲ「エロいだけじゃない」「推せるな」「あの教師…伸びるわね」
■凪斗あおり顔、ノートを書き続ける、凪のおカゲはサダヨシを目で追う
凪斗「もっとだ…もっと完璧な作戦をだな…」(ブツブツ)
西岡先生「はーい、じゃあ今日から角度についてやります〜」
おカゲ「…」「なんか気になるな…」
■凪斗、デスクでノート書きながらサダヨシを待つ
T:2時間目。(キーンコーンカーンコーン)
凪斗「サダヨシ…許さん…徹底的に調べ上げて解剖してやる…」
■凪斗、ノート書きながらお腹パンパンでサダヨシを待つ
T:昼食後。(キーンコーンカーンコーン)
凪斗「サダヨシ…何をしている…給食、お前の分も食べてやったぜ…」
■学校の外観
T:そして、夕方―。(キーンコーンカーンコーン)
西岡先生「はーい、ではホームルーム始めるぞ〜」
■西岡先生、サダヨシの空のデスクを見つめる
西岡「とうとう帰らなかったか…まぁ、今日くらい仕方ないだろう」
■凪斗、ワナワナ、暗黒のオーラに包まれている
凪斗「サダヨシのやつ…勝ち逃げしたつもりか…?」
周り(ザワザワ…)
■凪斗、鬼のような顔UP
凪斗「必ず、春休みでどんなテクニックを使って
おカゲさん卒業を果たしたか…洗いざらい吐かせてやるぜ…」
タツヤ「なぁ、凪斗…」
■凪斗、鬼の形相のまま振り返る
凪斗「あ゛!?何だタツヤ、俺は今忙し…」
タツヤ「いや、凪斗のおカゲさんが…」
■デスクに座った凪斗、ちょいヒキ画
タツヤ「さっきからお前の後ろにいなくて…」
凪斗「え!?」
■凪斗UP、周囲見回して
凪斗「あれ!?本当だ!」
凪斗M(こ…これは…!)
■凪斗のノートのヨリ
※「洗いざらい吐かせる」「家に凸る!」「とにかく行動!」など殴り書き
凪斗M(オレの執念が神様に届いて…)
(めくり)
■凪斗、両腕でガッツポーズしながら立ち上がる。
凪斗M(ついにおカゲさんを消し去ったということかー!?)
※ヌケの窓ガラスに凪のおカゲが張り付いている
効果音:バァン!
■凪斗、窓の外にゴキブリのように張り付いたおカゲに気づく
凪斗「・・・・・・。」
凪のおカゲ「・・・・・・・。」
■凪のおカゲ、空を指差してクイックイッとジェスチャー
凪のおカゲ(クイックイッ)
凪斗「…?」
■凪のおカゲ、声が届かない距離なので口パクで何かを伝えようとしている
おカゲの口「あ、あ、お、い、あ、い、お、う、お、い、え、う」の形
周囲(・・・?)(なんだ?)(意味が分からん)
■凪斗、キョトンとした表情(ヒキ画・背景黒)
↓Zoom In
■凪斗、口だけ開いた表情(ややヨリ画・背景黒)
↓Zoom In
(めくり)
■凪斗、目の血走った衝撃走った表情(超ヨリ画・落雷)
凪斗M(サ ダ ヨ シ ガ 死 ノ ウ ト シ テ ル !!!!)
効果音:ピッシャァアアアア!
■凪斗、デスクを立ち上がる
凪斗「先生すみません!ちょっとお腹が痛くて…!」(ガタッ!!)
西岡先生「うん?あぁ…」
■窓の外から教室内を見る視点、手前に窓にはりつくおカゲ
凪斗(先生の前を通りすぎ、ダッシュで廊下へ駆け抜けていく)
凪のおカゲ(窓をゴキブリのようにカサカサと上へ進む)
周囲「うんこかー?」(ドッ)「給食おかわりしすぎだっつーの」
タツヤ・ユウコ「・・・・・・?」
M:もしかしたら、
■廊下を全力で駆ける凪斗
M:他の奴らのおカゲさんが反応せず、俺のカゲだけ反応したのは、
M:あの時、オレだけがサダヨシのことを考えていたからかもしれない
■凪斗、階段を駆け上がる
凪斗「ハァ!ハァ…!」
M:たしかに、おカゲの野郎は…
■学校の外観をカサカサと登り続ける凪おカゲ
M:ビジュアルもシャレてねぇし、なんか謎に包まれててキモいし、
■登校中にユウコについてイジったおカゲを回想
M:心にしまっておきたい余計なことをペラペラしゃべるし、
■西岡先生にエロいと言ったおカゲを回想
M:くだらないことばかり言うし…
M:そのくせ勉強は教えられない、親失格な存在だと思う。
(めくり)
■息を切らして走る凪斗バストショット
M:だけどなぜか…オレの心にある違和感を、
M:ちゃんとすくい拾ってくれるのはいつもおカゲ…
■息を切らして走る凪斗のUP
M:おカゲさんは…
M:そういう存在ッッ!!
■凪斗、階段の「立ち入り禁止」チェーンをまたぐ
M:だから、サダヨシ!
M:なんで突然お前のカゲだけ居なくなったのか、今は分からねぇけど…
■凪斗、鉄のドアノブに手をかける
M:オレが、サダヨシを…
■鉄の扉、開く(バァン!)
(めくり1ページ)
■屋上に到着した凪斗の後ろ姿、視線の先にはフェンスをまたぐサダヨシ
M:救わなきゃって思った!!
効果音:ドン!!
サダヨシ「凪斗くん…なんで…?」
■凪斗の力強い目、UP
凪斗「ゼェ…ゼェ…!」
■サダヨシ、フェンス上から凪斗を見つめる
サダヨシ「こないで…くるな…」
■凪斗、躊躇なく歩み寄る(目線は見えない)、サダヨシ驚く
凪斗(スタスタスタスタ)
サダヨシ「いや、そんな普通に来るの!?」
■サダヨシ、フェンス上から地上を見下ろしながら体重移動
サダヨシ「来るなってば…」
■落下方向を見て何かに気付くサダヨシの目のUP
サダヨシ「!」
(めくり)
■サダヨシ視点、見下ろすとゴキブリのように壁を張ってくる凪のおカゲ
サダヨシ(どうしよう…)(すごくキモい…!)
■サダヨシを真っ直ぐ見つめる凪おカゲの目UP
■サダヨシ、涙目になって…
サダヨシ「なんだよ…」
■凪おカゲの瞳が、サダヨシの(故)おカゲのそれと重なって見えて
■…サダヨシ、安全な屋上方向へ倒れる
サダヨシ「また、おカゲさんかよ…」
■スローな世界、凪斗が崩れ落ちるサダヨシをキャッチする体勢へ
※白黒・トーン無しの世界に※
■サダヨシ、(故)おカゲとの回想
サダおカゲ「サダヨシ、オレはお前のお父さん代わりとして、
お前を人一倍心の強くて優しい男に育てあげなきゃならん!」
サダヨシ「ボクが強く…?」
サダおカゲ「そこで私は!どうすればずっとお前を支えられるか考えた!」
サダヨシ「え、どうするの?」
サダおカゲ「お前がどこへ行っても通用する人間になるように、
この春休みで、ある一つのことを教えようと思う!」
サダヨシ「・・・?」
サダおカゲ「心して過ごすように!」
サダヨシ「うん!」
※白黒・トーン無し世界はここまで※
サダヨシM:オレが春休みに…
■サダヨシ、凪斗に受け止められ、一緒に倒れ込む
サダヨシM:カゲさんから教わったことって一体…
サダヨシM:何だったんだろう…
凪斗・サダヨシ(ドサッ)
■凪斗とサダヨシ、倒れたまま
(シーン)
■むなぐらをガッと掴む
(めくり)
■目が血走っている凪斗、ガバッと起き上がりサダヨシの胸ぐらをつかむ
凪斗「ごるぁ、サダヨシ!!
おカゲを消し去る方法を教えるまでは死なせねぇぞてめぇ!!!!」
サダヨシ「ひぃぃぃぃいいいい!!!!」
凪斗「どうやった!!??」「教えろ!!」
サダヨシM:「分からないなんて言えない!!!!」
■ゴチン!!(火花)
■凪斗の頭にげんこつマーク、凪おカゲにげんこつを食らっていた
凪斗「いてぇ〜!」
おカゲ「この大クソ野郎が!!」
■凪斗とおカゲが向かい合い絶叫、間にキョトンとするサダヨシ
凪斗「てめぇ、それただの悪口だろうが!」
おカゲ「やかましい!胸に手を当ててよーく聞きやがれ!」
■おカゲ表情UP
おカゲ「お前はサダヨシから聞き出したいことがあるか知らんが、
サダヨシの気持ちはどうだ!?」
おカゲ「話したい気持ちのないやつにいくら問いただしても、
その口はおろか、心まで閉ざしてしまうばかりだぞ!」
■おカゲ表情 更にUP
おカゲ「いいか!?良質なコミュニケーションの根本には
常にサービス精神がある!会話の始まりはサービス精神なの!」
おカゲ「それなのにお前と来たら自分の欲望のままに
サダヨシの心が追いついていないことにも気づかずに
情報ばかり抜き出そうとして…恥を知りやがれ!!!!」
(めくり)
■凪斗、白黒カチコチの表情
おカゲ「この!!!!」
おカゲ「大大大〜〜〜〜〜〜クソ野郎が!!!!(2回目)」
■凪斗、灰色になって膝から崩れ落ち、それをサダヨシが支える
凪斗「もう少し…言い方、加減してくれても…」
サダヨシ「凪斗くん!」
おカゲ「すまねぇなぁ、サダヨシくん。うちの凪斗がとんだ未熟者でよ」
■凪斗、朦朧とした状態でサダヨシの膝枕へ。おカゲは歩き去る
おカゲ「オレはしばらく席をはずすからよ」
サダヨシ「!」
おカゲ「二人で少し腹割って話し合ってみてくれや」
サダヨシ「あ、はい」
■凪斗、サダヨシの膝枕で目をさます
凪斗「うー…ん」
サダヨシ「凪斗くん、大丈夫?」
■凪斗、起き上がる
凪斗「あぁ…大丈夫だ…悪かったな。とにかくお前が無事でよかったよ」
サダヨシ「ううん、ボクの方こそびっくりさせちゃってごめん…」
■凪斗、フェンスにもたれかかる
凪斗「よっこらしょっと」
サダヨシ「凪斗くんはさ…」
(めくり)
■フェンスに二人並んでもたれる(超ヒキ画、真っ白背景)※吹き出し大きく
サダヨシ「どうして」
サダヨシ「そんなにおカゲさんを消したがるの?」
■サダヨシ真剣なまなざしUP
■凪斗、ふせた顔UP
凪斗「・・・・・・・。」
■そこに、大号泣する幼い凪斗本人の写真が何枚もフラッシュバック
凪斗「オレさ…」
■凪斗、フェンスにもたれながらニッコリ笑いサダヨシを見る
凪斗「この学校、18校目なんだわ」
■サダヨシ、衝撃の表情
■凪斗、ケロッと前言を修正
凪斗「あ、違った、幼稚園も入れて18だ。引越が通算18回ってことな!」
サダヨシ「そこはどっちでも…。
そっか、凪斗くんこの学校、去年からだもんね…」
■凪斗、切なく笑う顔UP
凪斗「そう」
(めくり)
■凪斗、回想
凪斗「どこへ行っても、その場所場所を牛耳るリーダーっぽい奴がいて」
凪斗「そいつとうまくやれば学校生活は穏便に進むけど、」
凪斗「そいつらに目をつけられたら学校生活はかなりハードになっちまう」
凪斗「転校して、環境が変わる度に、そいつらに合わせて」
凪斗「そいつらの求める自分像を作って…ピエロやって…
ずっとそうやって生きてきたわけよ」
凪斗「でも流石に、15回目くらいかな?
また親の転勤の都合で大親友と引き剥がされるとなった時、
さすがにブチンときてよ?」
■凪斗、おぞましい顔UP
凪斗「なんでオレが周りに合わせなきゃいけねぇんだよ」
凪斗「お前らがオレに合わせろや、って思ったんだよね」
■サダヨシ、凪斗の過去に唖然
サダヨシ「・・・・・・・」
■凪斗、小さくため息をつく
凪斗「それからは、ひたすら努力したよ」
■凪斗の回想
凪斗「勉強も、スポーツも、音楽も、全部において上位に食い込めば
クラスのやつらはオレを放ってはおけないだろ?」
凪斗「クラスのリーダー格のやつの方から歩み寄ってきてくれるし、
クラスの女子からもキモがられないで済む」
■聞きいるサダヨシ
凪斗「そうやってオレは…誰の力にも頼らずに」
(めくり)
■鳥の視点から二人を見下ろす
凪斗(諦めたような笑顔で空を仰いで)
「自分の力で何でも何とかするって決めたんだよなぁ…」
サダヨシ「・・・・・・」(驚きつつも、やや腑に落ちたような表情)
風の音:ザァァアアッ…!
■突然デフォルメっぽい画に
凪斗「で、これからの時代は、きっとおカゲさんが付いていない奴が
イニシアチブを握る時代になるだろう!」
サダヨシ「なんでそうなるの?」
■凪斗1S
凪斗「うーん、おカゲさんの消滅理由については色々な噂があるけどさ」
■凪斗、純粋な子どもみたいにキラキラした表情で
凪斗「なんか、おかげさんがいない方が…
大人!って感じでカッコいいじゃん!?」
■またデフォルメに戻り
凪斗「あと、これからは、いつまでもおカゲさんがいる奴が見下される
"おカゲいじめ"とか起きそう!」
サダヨシ「逆によくそんなこと思いつくね…」
■サダヨシ1S
サダヨシ「でも、それは大丈夫だよ」
凪斗「え?」
(めくり)
■サダヨシ、自信に満ちた表情UP
サダヨシ「それは絶対に起きない!おカゲさんの居ないボクだから分かる」
■凪斗、サダヨシを睨む
凪斗(じーっ)効果音:ムカァ…!
サダヨシ「ごめんごめん!そ、そんな目で見られても、
そう簡単に教えられるものじゃないからね!」
■凪斗、立ち上がり
凪斗「ふん、まぁいい!なんだかサダヨシに心のうち話したら、
初心を思い出しちまった。」
サダヨシ「?」
■凪斗、空を見つめて決意表明表情UP
凪斗「自分の力で、絶対になんとかする!」「この”おカゲさん問題“!」
サダヨシ「問題って…オーバーな…まだ小4だし…」
■サダヨシも立ち上がる
サダヨシM:でも凪斗くん、ありがとう…
サダヨシM:この年で親が一人なのは正直寂しけれど…
(1ページまるまる使う)
■凪斗が前方を歩き、少し距離を空けて後ろをサダヨシが歩く
サダヨシ「君×××××××××××××××、死なないで×××××××」
効果音:屋上ならではの強い風が吹くビュオオオオオオオオ
※「×××」部分は、風の効果音が覆いかぶさって隠れる(聞き取れない)
■凪斗が振り返る、サダヨシと2S
凪斗「あ?今、なんて?」
サダヨシ(顔を赤らめながら)「…秘密だよ!」
凪斗「なんか今、すげー大事なことを聞き逃した気が・・・」
■夕焼け空
■帰り道の交差点、凪斗がサダヨシに手を降る
■サダヨシの後ろ姿が遠くなる
■凪斗の背後からおカゲがヌッと出てくる
(ヌッ)
おカゲ「いいのか?」
凪斗「うおおい!ビックリした!何がだよ」
おカゲ「あいつまた自殺しかねんぞ」
■凪斗、バストアップ
凪斗「う〜ん…でもこれ以上はどうしようもできねーよ」
■凪斗、背後でおカゲがムズムズしていることに気づく
おカゲ(ムズムズ)
凪斗「おわっ!何か良いこと言いたい時の顔してやがる!」
■凪、おカゲに耳を貸す
■おカゲ、凪斗に耳打ち2S
おカゲ「いいか?友達の「友」という字はな…」
凪斗「うんうん…」
※キラキラ背景
(めくり)
■おカゲ、凪斗に耳打ちどUP
おカゲ「「又」「ナ」と書くんだぜ?」
※真っ黒背景
■寒い風が吹く
凪斗「えーと…」
効果音:ヒュー
凪斗「さすがにそれは流行らないんじゃ…」
■おカゲさん、バシッと凪斗の背中を叩いて喝を入れる
おカゲ「寂しさで押し潰されそうな友には、
明日会う理由一つ、くれてやれよ!!」(バシッ!)
■夕暮れの道、凪斗が遠くにいるサダヨシを大声で呼ぶ
凪斗「サダヨシーーーーー!!!!」
サダヨシ(振り返る)
■凪斗、良い笑顔のUP
凪斗「明日、給食、一緒に食おうなーーーー!!」
■サダヨシ、確かに今日一日で何かが少し変わった凪斗を認識し、驚く
■サダヨシ、良い笑顔のUP
サダヨシ「うん!!」
■夕焼けを見つめる凪斗とおカゲ
凪斗M:これは、オレがおカゲさんを…
■おカゲの股間UP(おしっこをもらした跡がシミになっている)
おカゲ(高いところ登るの怖すぎた…)効果音:ドォン!!
凪斗M:完膚なきまでに消し去るまでの物語!
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